成果より誠実さが人をつくる。倫理は心の指針。
仕事と倫理の真理そして人間性~赤信号、みんなで渡れば社員旅行?~◆ はじめに:倫理って何のためにあるの?「それ、倫理的にどうなの?」 職場でよく聞くセリフですが、言われた瞬間に空気が2℃ほど下がるあの不思議。 倫理とは、簡単にいえば「人としての筋道」。 でも仕事の現場では「成果」が求められ、「人としての筋」よりも「売上の数字」の方が太く見える日もあります。 だけど、ここでひとつ心理学的に面白いことがあります。 人は“正しいこと”より“許されること”を選びやすいのです。◆ 「バレなきゃOK」の心理メカニズム 心理学では「認知的不協和」という現象があります。 これは、「自分はいい人だ」と思っている人ほど、非倫理的な行動をしたときにその矛盾を解消しようとします。 たとえば、 「みんなやってるから」 「上司がそうしろって言ったから」 「会社のためなんだ」 という言い訳が生まれます。 こうして“倫理”は“現場の空気”にすり替えられていくのです。 まるで社員旅行の宴会芸みたいに、誰かが一発ギャグをやるまで沈黙していたけど、一人がやった瞬間にみんな笑って立ち上がる。赤信号、みんなで渡れば……いや、それ、渡っちゃだめなやつ。◆ 良心は誰のもの?「仕事だから仕方ない」と割り切るとき、私たちは“職業人格”を装います。 けれど、良心は制服のポケットに預けてはいけません。 倫理とは、「見えないお客さま」です。声を出さないけれど、ずっとあなたの仕事を見ている存在。 レジでお釣りを多くもらって黙って立ち去るか 忙しいときに新人のミスをなかったことにするか 上司の不正に気づいて、目をつぶるか…その判断の一つひとつが、「あなたの人間性」を丁寧に刻んでいきます。◆ 笑い話じゃ済まされないけれど ある企業の新人研修で、「社内不倫は倫理的にどうか?」というグループディスカッションがあったそうです。 最終的な結論が「社内規定に違反していないならOK」だったという話を聞き、ベテラン社員がひと言。 「でも君たち、その倫理観でいずれ管理職になるんだね……それも試練だねぇ」 全員、笑ったそうです。 でもその笑いの奥に、「いつか自分も試される日が来る」と感じていたに違いありません。◆ 仕事における“真の倫理”とは 本当の倫理とは、“人の目”ではなく“自分の目”で守るものです。 それは、**「正しさ」ではなく「誠実さ」**に近い。 心理学者エーリッヒ・フロムは言いました。 「人間は自由であるがゆえに、自分の行動に責任を持たなければならない」仕事とは、成果を出すことだけではなく、自分の人間性と日々、握手を交わすことでもあるのです。