私立探偵ブルーは奇妙な依頼を受けた。変装した男ホワイトから、ブラックを見張るように、と。真向いの部屋から、ブルーは見張り続ける。だが、ブラックの日常に何の変化もない。彼は、ただ毎日何かを書き、読んでいるだけなのだ。ブルーは空想の世界に彷徨う。ブラックの正体やホワイトの目的を推理して。次第に、不安と焦燥と疑惑に駆られるブルー…。’80年代アメリカ文学の代表的作品!
内容「BOOK」データベースより
アメリカのポストモダン作家ポール・オースターが描くニューヨーク三部作の1つ「幽霊たち」、第一作品である「ガラスの街」は探偵小説の形式をとりながらもアイデンティティーを問いかける哲学めいた物語だったのだが・・・今作「幽霊たち」はより一層磨きが掛かった印象を受けます。
登場人物の名前が、とっても特徴的です。 「ガラスの街」では著者と同姓同名のポール・オースターを登場させている著者だけに名前の付け方にコダワリがあるのではないでしょうか?今作ではホワイトにブラック、そしてブルーと登場人物の名は全て色によって表現がされています。 この効果により、色独特の印象は受けるものの名前から得る人物の先入観といったものが一切無くなっています。自分と他人の境界線を見失ってしまうといった物語でアイデンティティーとは何かを考えさせる作品にはぴったりの名前の付け方だと言えますね。
本作の文体が全て現在形なのも特徴的といえます、よりサスペンス色が強くなるのと同時に自らの人格が崩壊していく主人公に読者は寄り添いながら物語を読み進めることができます。
日本では本作題名の舞台が発表されているそうですが・・・配役等を見ると一人で二役を演じている様子です、これはかなりのポイントではないでしょうか?俳優の出演料の関係から一人二役って事も十分に考えられるのですが・・・作品のイメージからいえば、一人の人間も名前や台詞が変わる事で様々な登場人物になりえる。 そして一度その登場人物が自分の存在に疑問を持ったとすれば・・・舞台上では混乱が発生するのではないでしょうか?まさにそんな世界が描かれている一冊。 舞台も見てみたかったなぁ・・・
探偵モノとして・・・先の「ガラスの街」も同様なのですが、探偵としてはポンコツとしか言いようのない主人公なのも面白い所ですね。 最終的に人格崩壊に近い状態になってしまうのですから・・・仕事能率うんぬんのレベルではないのですけどもね、同じ作業や工程ばかりの日々に次第に精神が疲弊していき自らを見失うのですが、ある意味で仕事人間で息抜きが出来ない主人公なのかな?なんて単純解釈をしてしまいました。 探偵が大活躍するミステリー好きには評価されないものの、職業探偵としてこれほど真摯に物事に取り組んだ探偵はポール・オースター作品以外にはいないのではないでしょうか???といってもやっぱり人格崩壊してちゃ~元も子もないですけどねw
