世の中が進歩すればするほど、人間が愚かになっていくのはなぜか!?情報にふりまわされ、「時間」病にかかり、「知ること」の恐ろしさを顧みない…このままでは、どんなにかたい頭の日本人が増えていくことか!「生きている実感」を欠いた日本人であふれることか!カチンカチンの世界に生きる人間への痛烈な警告!ここに養老人間学の原点がある。
内容 「BOOK」データベースより
「バカの壁」や「唯脳論」の著書でおなじみ養老 孟司さん。物事の見方や思考術が独特で面白く、なるほどごもっともと頷ける発見を与えてくれる書物が多い、私が最も敬愛する思想家の一人。本書は「自分は死なないと思っているヒトへ」と見事にハートキャッチ(興味を抱かせる)題名である、解剖医として死体と向き合う経験をされた著者ならではの死生観や発想から繰り広げられる現代人と死の関係について書かれている。題名だけを見ると、どことなく忠告や警告を発しているかの様な印象を受けるが、どちらかと言うと養老さんの視点でみる現代社会の考察ポイントや一度立ち止まって考えてみると不思議に思える事象などが書かれており読者はその都度思考を働かせてあれこれと感慨に耽ってしまう事になるでしょう。養老さんは自身を田舎の人間(古風とも言い換える事が可能?)と言い現代人を都市の住人と呼ぶ。自らの価値観を現代人に押しつけるのではなく、あくまで現代人とは異なった視点からの言及や提言を与えてくれるテイストである。そして何より面白いのは、本書を読んで何か答えが得る事が出来るかと言えばそうではない。簡単に答えを与えてくれるものではなく、むしろ諸行無常の自然観念を忘れてはいないか?と現代人に呼びかけてくれている所が本書の最大の魅力だろうか・・・自己啓発本が主流を占め簡単な答えを求める目的を持って読む事の多い新書の中で答えを与えてくれない書物は異彩を放つ!養老さんの書物の魅力はそういった読み手に考える事の大切さを教えてくれる所ではないだろうか?本書は刊行から数年が経過しているが、現在進行形で進化し続ける現代人にとっては常に有効と思われる自問が多く掲載されており価値は損なわれていないでしょう。独特の視点から切り込む価値観は歯切れが良く、一見素晴らしく感じる事もあるが実生活において即活かす事が出来るかといえば難しいだろう、養老さんが白黒つける問題一つ取りあげても様々な反論価値観が存在し決して養老思想が全て正と出来ないし、また養老さん自身もそんな事は思ってもいないだろう・・・本書に限らず、養老さんの書物に多い現代人特有の都市型思想“ああすればこうなる”の怖さと“手入れ”の価値観を感じるだけでも一読の価値はあると思います。最後に私は、養老 孟司さんの書物が好きだと言いながら結構以前に刊行された本ばかり読んでいたような気がします、東日本震災に原発事故という日本人の価値観が大きく変わった事象後に刊行された書物を読んでいない気がする、一度書店を探して見ようかなと考えております。国民の価値観が変容するほどの歴史的事象の前後の作品を読み比べてみようかなとふと思いました。タイトルにピンと感じるものがある人は手の取ってみてはいかがでしょうか?
大和書房
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