『リトル・シスター』 レイモンド・チャンドラー著 村上 春樹訳 | ほんとなかよし

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「行方不明の兄オリンを探してほしい」私立探偵フィリップ・マーロウの事務所を訪れたオーファメイと名乗る若い娘は、二十ドルを握りしめてそう告げた。マーロウは娘のいわくありげな態度に惹かれて依頼を引き受ける。しかし、調査をはじめた彼の行く先々で、アイスピックで首のうしろをひと刺しされた死体が…。謎が謎を呼ぶ殺人事件は、やがてマーロウを欲望渦巻くハリウッドの裏通りへと誘う。『かわいい女』新訳版。


内容 「BOOK」データベースより


「格安だ。 最初は格安料金で始め、おしまいにはもっと格安になる。」探偵フィリップ・マーロウは呟く。シニカルでタフな台詞、ギャングにマフィアとハードボイルドな世界観が全開のレイモンド・チャンドラーが贈る探偵マーロウもの全7作品の内の村上 春樹訳第三弾が「リトル・シスター」である。待望の文庫化で読んだわけだけど相変わらず面白過ぎて困る。探偵モノであるにも関わらず“誰が誰を殺したのか最後まで読んでも良く解らない”、容疑者に死体・犯行動機等が伏せられている訳でもなくむしろ動機がある人物が入り乱れ過ぎていて整理できていない状態なのである、推理派・謎解き派の人からすれば唖然とするかもしれない程の完成度の事件かもしれない・・・突拍子も無く登場する裏設定や事実にマーロウと読者は翻弄され続ける事になるだろう。物語の構成面でいえば欠陥だらけの作品といっても差し支えはなさそうなのに見事に完成された一つの作品だと感じてしまう所が本作の最大の特徴だろう。その原因は何だろうか?まず登場人物の会話の応酬が魅力的過ぎる!タフガイって言葉がピッタリのマーロウの毒舌・饒舌ぶりが半端ない、脇を固める人物達の個性的な会話も素晴らしいものがある。村上 春樹訳のマーロウものは特に会話部分が重視されているように感じる。よくテレビや映画に影響を受ける人がいるが、そういう類の人は村上 春樹訳のマーロウものを読むべきである、間違いなく読後に会話の中で隠喩や冷笑的な発言が増える事だろう。そんな台詞そのものが格好良いマーロウ、作中での活躍ぶりも素敵である、決して正義感や使命感に満ち溢れる訳でもなく好奇心や興味本位で動いている訳でもない・・・探偵家業上で巻き込まれるトラブルに半ば自殺・自虐的に踏み込んでゆく、疲労困憊でくたびれた姿勢ながらも這いずり回って真相へと近づいてゆく。真実に近づく為ならば法に抵触する行為は勿論道徳的規範なども無視する姿勢は正義のそれとはかけ離れたものを感じる、それでいて人道や人情に厚い一面も合わせ持つという清濁混合の探偵なのである。ある種ニュートラルな探偵といえるマーロウを好きになれるかなれないかが本作品やマーロウものの好き嫌いの分かれ目であると思われる。さて、村上 春樹訳マーロウものは「リトル・シスター」他に「ロング・グッドバイ」「さよなら、愛しい人」と現時点で3作品、これらはどれもが素晴らしい出来なので好きなのから読めば良いでしょう、おそらく全部読みたくなるでしょうから・・・村上訳にこだわらなくてもレイモンド・チャンドラーのマーロウものは全て翻訳本が出ているので読んでみるのも面白いと思う、私は「湖中の女」を読みましたが村上訳ほど会話の楽しみは少ないもののマーロウものの独特の雰囲気やチャンドラーのセンスがぎっしり詰まった作品だったので非常にオススメです。


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