#タイトルからしてすでに傑作な映画『八月の狂詩曲(ラプソディー)』 | 戯画日誌

戯画日誌

キネマ旬報でやっていた連載を受け継ぎつつ、アニメーションに限らず映画全般、書きたくなったものを書いていこうと思います。

#タイトルからしてすでに傑作な映画



『八月の狂詩曲(ラプソディー)』



祖母と孫たちのちょっと不思議な夏休みを“狂詩曲”に例えた黒澤明監督作品。



巨大な目玉をきのこ雲の代わりに据え、ねじ曲がったジャングルジムのみで原爆の惨禍を秀逸に描出するあたり、あえて惨禍を見せなかった『オッペンハイマー』と照らし合わせて語りたいものもあります。



正直1990年代初頭の子供たちとは思えない孫たちの佇まいは、恐らくは黒澤自身の少年期の再現であり、リチャード・ギアを「ジョン・ウェインみたい」と呼ぶ時代錯誤感も、ある程度時が経つともうさほど気にはならず。

(あの子達の父親が往年の西部劇ファンで、いつも一緒にテレビ洋画劇場を見ていたのかもしれないし)



ラストの傘がおちょこになるところは、まさにあれこそ「ザッツ映画!」だと、見るたびに確信させられています。