戯画日誌/シニア料金で初の映画鑑賞『唐獅子仮面』 | 戯画日誌

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キネマ旬報でやっていた連載を受け継ぎつつ、アニメーションに限らず映画全般、書きたくなったものを書いていこうと思います。

2月11日にめでたく還暦を迎えてしまった。

いろいろ思うことは多いのだが、唯一うれしいことがある。

 

それはシニア料金で映画が見られること!

 

いや、実はイオンシネマは55歳からシニア料金なので、そちらではしょっちゅうお世話になってはいるのだが、ほとんど全ての映画館は満60歳になってからなので、これからは頑張ってレイトショーとか割引デーとか、さほど意識しないで映画を見ることができる。

 

日本の映画料金はやはり高い。少しでも安く見たい!

 

その夢がようやく叶ったのだ!(生きててよかった!)

 

では、記念すべきシニア料金第1回作品に何を選ぶか?実は数日前から決めていた。

 

光武蔵人監督作品『唐獅子仮面/LION-GIRL』日本語吹替版だ。

 



本当は字幕スーパー版で見たかったのだが、1月26日から東京で数館公開されたものの、こちらの予定と上映スケジュールが全く合わず、おまけに字幕版上映は2週間で全て終了し、残っているのは池袋シネマ・ロサの日本語吹替版だけだったのだ。

 

ただし、永井豪・原案を基にした世界観は海外キャストと日本語発声のアンバランスが逆に妙味をもたらすのではないかという期待もあったので、あえて見参。

 

結果は、大正解だった!

 

まさにディズニー・アニメ映画は原語(英語)も日本語吹替版も両方見た方がいいのと同じ理屈で、特に今回は東映ビデオが製作に参与していることもあってか、どこかしら東映戦隊ヒーローものの海外アレンジ作品の日本語吹替版みたいな不思議なファンタジック感が醸し出されている(しかも声優陣が内田真礼などメチャクチャ豪華だ!)。

 

内容も永井豪ワールドならではのお色気シーン(でもSEXシーンなどは皆無で、またグラマラスな女性たちの裸が満載ではあるが、それゆえに意外といやらしい感じはない)とバイオレンス、また隕石落下で地球のほとんどが絶滅した未来の東京を、いかにもアメリカの砂埃っぼい荒野でロケしました的な扱いで魅せているのも逆に潔い。

 

おそらく予算は少なかっただろう、特撮や特殊メイクなどチープに思える部分もあるが、決してそれはマイナス点ではなく、さらに申すと作る側の姿勢は茶化してもいなければ、ふざけてもいない、あくまでも真摯だ。

 

この手の作品で一番やってはいけないのは、作り手が見る側よりも先にふざけてしまうことで、本作はその意味でも大真面目に永井豪ワールドと光武ワールドの融合に腐心している。

 

唐獅子仮面の誕生エピソードに尺を割いていることや、演出が良くも悪くも若干まったりしていることもあって、およそ2時間の上映時間はちと長く感じたが(この手のジャンル作品は、今の自分の映画的生理としては90~100分くらいが程よいかな)、それでもプログラムピクチュアとしての良さは十分に満喫させてもらえた。

 

さすがにもう字幕版を東京のスクリーンで見られる機会はそうそうないかもしれないが、後々の配信なりソフト化なりで再確認してみたいものである。

 

いずれにしても、シニア料金第1号作品『唐獅子仮面』は大いに当たりであった(……よかった!)。