■生活が便利になるにつれて人は知らずに色々なものを失うという話 | たかみゆきひさオフィシャルブログ「shadowcube」Powered by Ameba

■生活が便利になるにつれて人は知らずに色々なものを失うという話

CDが売れなくなったとよく言われますね。

でも、レコードで音楽を聴いてた世代としてこの状況は当然かなぁと思う。

そんなお話。


僕ら1960年代生まれはレコードで音楽を聴いていた世代。
ジャケットが大きいことからアート性もあってレコード屋さんでジャケットを見て買うこともあり(いわゆる「ジャケ買い」)、レコードの表面にホコリが乗ってたりするとポツポツとノイズが入ることから、表面を綺麗にしてからレコード針を落としたり。
あと、レコードって溝を針が通ることで音が鳴るから、かけ過ぎるとレコードがすり減っていったり。
とにかく1曲聞くために手間がかかった。
だからこそレコードを大事にしたし、曲を聴く時の意識も強かった。


その後1980年代になってCDが登場。

音楽を聞くことが劇的に楽になった。
ジャケットが小さくなった上にプラケースに入ってるから収納にも便利。材質もポリカーボネートだからレコードのようにヤワではないし、何度聞いても理論上ほぼすり減ることはない。


そんなことでレコードに比べて扱いは更にぞんざいになったと思う。


その後iPodの普及によって音楽を劇的に聞くことが更に普及する。
クリックするだけでネットで入手でき、手軽に音楽プレイヤーに入れて持ち歩ける。
今度はすり減るどころか、データが消えちゃっても復活が楽ちん。


CDよりも更に扱いがぞんざいになったと思う。
苦労無く音楽が手に入るようになった。
音楽を手に入れる喜びは減ったよね。
ありふれすぎてるからというのもある。


手軽になったことで、聞き方もコンポなどのスピーカーから聞くよりもヘッドフォンで聞くことの方が多くなり、腰を据えて聞く割合も減った。


音楽に対する価値観が変わるのは同然かなって思う。
このままでは人の音楽に対する価値がどんどん落ちる。


結局のところ業界自体が自らの首を絞めているとも言える。


そしてこういった価値観の変動は当然iPodなどで音楽を聴き始めた世代には理解できないのも当然なので、しかたないところだとも思う。


先日、某超有名レコード会社のプロデューサーから衝撃的な事を聞いた。
新入社員で自分の会社がレコード会社であることを知らないで入ってくる人がいるというのだ。
その会社はアニメも作っているので、アニメの会社だと思ってるらしい。
メーカー名は言いませんが、誰でも知ってる(はず)の巨大な会社ですよ。
もはや音楽を作り出している会社=ブランドというものも希薄ということなのか。
そして、そういう人が業界にどんどん入ってきて、そういう人たちがこれからの業界を支えていくことになるのか。


このまま行くとどうなってしまうのでしょうね。


とても不安でならない。


そしてこれは映像にも言える。
もちろんアニメにも。

そんな話はまた次の機会に。