■声優業界と芸能界のマネージメントは考え方が全く違うという話 | たかみゆきひさオフィシャルブログ「shadowcube」Powered by Ameba

■声優業界と芸能界のマネージメントは考え方が全く違うという話

【これから声優を目指す人、また、目指してる人向けのブログシリーズ】

この前は声優のギャラの話を書きましたが
今回はマネージメントのお話。

声優の仕事は今やアニメなどに声をあてるだけでなく、歌を歌ったりイベントステージなどをこなし、まるでアイドルタレントのような活動になって、とても華やか。

これを僕は「声優のタレント化」と呼んでいます。
「アイドル声優」とは呼びません。
「アイドル」という言葉はまた別の意味だと考えているので。
敢えて使うなら“「アイドル声優」と呼ばれる声優が活躍する現状”とでも言いましょうか。
(僕のアイドルについての考え方はこちらをどうぞ→「 アイドルって? 」、「 声優は職業だけどアイドルという職業はない 」)

そんなことで声優がタレント化している昨今ですが、基本的な声優事務所のマネージメントスタイルはいわゆる芸能事務所のように「タレントをマネージメントする」というものとは実は違うというお話し。


今、声優になりたいという若い子たちもそんな「タレント化した声優」の姿に憧れて声優を目指してる人たちがとても多いです。
なので、タレントのマネージメントについて、たまにはちょっと考えてみましょう。

(ここでは一般的な芸能事務所を「芸能事務所」と表記し、声優事務所と区別して記述しています)

さて、一般的に知られている、いわゆる芸能事務所というのは歴史的にはミュージシャンをマネージメントする事から誕生したところが多く、ミュージシャンの原盤を作る音楽制作だったり、ミュージシャンのライブの制作だったりと制作会社的な面が多いです。(というかそんな流れで制作会社も芸能事務所から独立してできたところも多い)ゆえにすべてタレントがタレント業をする上で必要な事をすることがマネージメントになります。

そう考えると、芸能事務所のマネージメントは仕事量がハンパ無いです。
それに加え、リスクや責任なども抱えている訳ですし、タレントへの投資と回収スキームを考えるところも事務所の仕事になります。

それに対して声優事務所の基本スタイルはモデル事務所や子役事務所のように「派遣すること」です。
声優は自分の取り分が多い代わりに自身の責任やリスクは自分で負うことになります。
例えば自分が成長するために必要なレッスンは自費だったりすることも多いので、自分を成長させるのも自分自身で行わなければならなかったり…ということです。
原則的に派遣業務は事務所が行い、自分自身のことは自分でやるということになります。
ある意味こちらのマネージメントの考え方では声優は自由です
ただし、自由な反面それなりの責任が生じます

ちなみにモデル事務所も派遣業と言いましたが、タレント化しているモデルがいるところはマネージメントスタイルが芸能事務所スタイルのマネージメントをしていたりします。
そんな感じでタレント化に合わせてマネージメントスタイルも変わっていく訳です。

声優業界でも近年は芸能のマネージメントの概念を採り入れる向きがあるのですが、それはまた別に書くとして、原則の考え方は前述の通りです。


世の中の風潮的にはそういったそもそもの前提を勘違いされていることが多く、これから声優を目指す人はこの辺をきちんと把握しておくことが大切です。
この辺は現在声優をされている方でもおそらく理解できている人はあまりいないと思います。

あなたが将来どこかの事務所に所属する場合、従来の声優事務所的マネージメントをしているところ、そして、芸能のマネージメントに基づいたマネージメント をしているところ、いろいろなパターンがあると思いますが、それらは考え方の根本が違うということを踏まえて声優の道を進んでいきましょう。
「これから所属するような新人が事務所を選ぶ」ということは現実的に考えづらいので、自分が所属する時、その事務所がどういうスタイルなのかをきちんと把握しておきましょう、ということです。

さて、そんなことで声優はすっかりタレント化に拍車がかかっているのですが、声優業界のマネージメント体制がタレントのマネージメント体制に移行するにはまだまだ時間がかかると思われます。
とは言え、それも時間の問題。
今、声優業界は色々な意味で過渡期です。
様々な動向を見据えていきましょう。


ちなみにこれは
どちらのマネージメントスタイルが良い、悪いということではありません
それぞれに長所と短所があります。
それぞれをきちんと把握しておくということが大事です。