■ファン仕切りのライブで驚愕した話 | たかみゆきひさオフィシャルブログ「shadowcube」Powered by Ameba

■ファン仕切りのライブで驚愕した話

昨日アップしたブログ 関連で、僕が体験して当時とても驚愕した話。

今から20年程前のことです。


アイドル冬の時代にタレントがステージに立てる機会を!ということで発足した「歌姫伝説プロジェクト」から僕が身を引き、各ライブハウスをまわったり、そこで開催されるイベントの現場でノウハウを教えたりなどして、「地下アイドルライブ」と呼ばれるフォーマットの普及を始めたかなり初期の頃。

僕が面倒を見ていたアイドルさんが とある対バンのアイドルイベントに出演する事になって、その現場に行ったんですね。
そしたらそれは実はファン主催のライブイベントだったのです。

ファン主催のイベントかぁ、とちょっと心配しつつ様子を見ていたのですが、リハーサルが始まってびっくり!

なんと
あちらこちらからスタッフが一斉にステージ前に集まってきて、写真を撮り始めたのです!

ちょっと想像してみて下さい。
リハーサルで出演者がステージ上でリハーサルをしている光景。
普通はリハーサルを進行すべき人やマネージャーなど見るべきスタッフがぽつりぽつりといるくらいです。

そこにだだだっと人が自分の仕事そっちのけで持ち場を離れて集まってきて、まるで撮影会であるかの如くステージの写真を撮り始めたのです。
しかも、何の許可も無く。

それはそれは凄い光景です!!


通常はこういった複数のタレントが出演するライブで他の事務所の子のリハを無許可で撮影する事は御法度です。
(これができてない残念な人を今でもライブやイベントの現場で結構見かけるのですが、基本的にはNGです。撮影したい時は必ず許可が必要です)
ちなみにイベントの主催者であろうと撮影許可を取るのが本来は筋です。


僕はあまりの光景にしばし絶句し、すぐにタレントの事務所のスタッフに「これ、事務所としてはどうなの?」と聞き「大丈夫ではないです」ということだったので、すぐに辞めてもらった。
(↑面倒なプロセスだが、直接僕を通してきている仕事では無いので、こういう時は筋としては事務所の確認をとらねばならない)


いやはや、

あの時の光景はいまでも忘れる事ができません。


と、同時に「モラル無しに誰でもライブをできる状況を作ってしまった」という罪悪感をとても感じました。
アイドルが冬の時代を迎え、お金をかけなくてもステージができるようにしなくちゃという思いで尽力してきたつもりでした。
でも、そこには功と罪がありました。

それはDTMやDTPの発達で誰でもが音楽やデザインを発表できるようになったけど、粗悪なものが大量発生した事と似ています。


それでも、そんな中から新たな芽が出てくるという可能性を広げる事ができたと考え、「それでよかったんだ」と自分に言い聞かせると同時にマーケットの事を考え、マーケットが衰退しないためにはどうすべきかをとても考える切っ掛けにもなりました。




昨日ブログで「ファンがファンである対象の仕事に就く時、ファン活動はやめなければならない」という事を書きました。

それは言い換えればつまり、「ファンである事=好きである事」によって生じる行為が自分に向いていた事を自分の為では無く、その対象の為にするという事へ切り替える事なのです。

エンタメっていうのは受け手である時は対価を払って満足を得るという事なので、それが自分の為の満足であって当然です。(中にはそうでないという人もいるかもしれませんが)

送り手にまわるという事はそれとは逆に自分の為では無く、その対象を光り輝かせるために尽力し、その対価をもらうという事なのです。
自分の利益が先行してはなりません。
(お金のためということでは自分の為ですが、今はそういう話ではない)


なにが最優先事項であるかということを忘れてはならないのです。