どうしたんですか そんなにお顔を濡らして…
微笑んでも 誤魔化しきれていません
どうぞ こちらへ
何をそんなに泣かれているのですか
私に申し上げてください
何か貴方様の力になりたい
私はそのためだけに在る存在なのですから
今日はお話は本の素晴らしさを知った人のお話です
たった1冊の本があります
この本は有名な作家が書いたわけでもありません
ただの詩人が 詩に乗せて 書いた本なのです
その本をぎゅっと持つ小さな女の子
母親を待っているのでしょうか 水たまりばかり見ています
「世界を変える 私を変える本」
水たまりに言います
水たまりには少女ではない誰かが映っています
少女はきっとこの人に話しかけているのでしょう
左目からは溢れた涙が頬を伝って 水たまりへ
弾かれるのではなく 中へと吸収されるように
「……淋しいだけなの」
水たまりに映る人物は言いました
少女は水たまりに本を落としました
水たまりに映る人物の手には しっかりと本が
「私が貴女なら これを読んで」
少女はそういうと、どこかへ行きました
少女はそれから水たまりにはいきませんでした