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首都圏の1都3県に発出されている緊急事態宣言ですが、2021年3月7日までだった期限が2週間延長となり、3月21日まで継続されることになりました。
東京都などは緊急事態宣言が解除された後も、飲食店に対する時短営業要請を3月末まで続けるとしています。
いくら協力金が出るとしても、「もう限界だ…」と悩みを抱えている経営者は多く、規模に関係なく多くの飲食関連の企業が苦しんでらっしゃることでしょう。
すでにこのままでは生き残りは難しいと、様々な方法で資金を調達している企業は少なくありません。
その1つが「ロイヤルホールディングス(HD)」で、「ロイヤルホスト」「てんや」「シズラー」などで有名な外食チェーン店の他、ホテルや機内食も展開している純粋持株会社です。
外食にホテル、機内食といずれも新型コロナウイルス感染拡大が直撃する業界ですが、2020年12月期には赤字に転落し、275億円のマイナスとなっています。
ロイヤルホールディングス(HD)の菊地唯夫会長は、存亡をかけた決断として国内総合総社である「双日(そうじつ)」と資本業務提携を結ぶことを決めました。第三者割当増資の他新株予約権発行により、約178億円を資金調達することとしています。
菊池会長は2020年9月ごろから証券会社などを通じ、資本業務提携できる相手を探していたようです。ただ、再建策はすでに4月の段階で模索し始めており、出資してくれる可能性のある相手との接触も図っていたとされています。
そもそも菊地会長は日本債券信用銀行が経営破綻したときに頭取秘書を務めていた経験があるため、事業を続けることができなくなる状況を肌で感じていたようです。
過去の経験を活かし、ロイヤルホールディングスの運転資金や自己資本で、あとどのくらいが残された時間なのか判断できていたと考えられます。
不採算店の閉鎖に希望退職者を募るなど、コスト削減を進めながら自力再建と資本業務提携のどちらがベストか模索していたのでしょう。
本来では自力再建したいと考えたかもしれませんが、想定していたよりコロナ禍の影響が強く、9月からは本格的に提携先探しを始めたようです。
提携先の候補として挙がった国内ファンドや鉄道会社などと協議を繰り返した結果、最終的には国内の総合商社である「双日」が選ばれています。
今回の資本業務提携により多額の資金調達に成功し、相乗効果も十分見込めることはお見事といえます。これは菊池会長のスピーディな意思決定があってこそであり、結果としてロイヤルホールディングスの自己資本比率は50%近く回復することも見込まれています。
コロナ禍により資本増強を急ぐ外食企業は他にも、「塚田農場」を運営している「エー・ピーホールディングス」などが挙げられます。
エー・ピーホールディングスの米山久社長は、10億円を個人で出資することは決めていたようですが、同時に外部の出資者も探す形で資本増強により生き残りを検討したようです。
公募増資ではどのくらいの資金が集まるのか読めないため、金額を把握しやすくスピーディに資金調達できる裁断者割当増資に踏み切ることを決断。
2021年2月、生鮮食品オイシックス・ラ・大地やファンドを引受先とし、第三者割当増資により約25億円の資金を調達しています。
今後はコロナ禍を乗り切ることができなかった企業が、次々にコロナ関連倒産してしまうことも考えられます。
特に新型コロナウイルス感染拡大が直撃する業界ではコロナ関連倒産が急増する可能性もあるため、自社が注意することはもちろんのこと、取引先も慎重に選ばなければなりません。
そして最悪のシナリオを回避するには、ロイヤルホールディングスやエー・ピーホールディングスのように、資金調達に向けた経営陣の素早い決断が重要です。
中小の企業であれば、資金を調達するにはロイヤルホールディングスやエー・ピーホールディングスと同じ方法では難しいかもしれません。
しかしどのタイミングで資金を調達するべきか、見誤ってしまえばコロナ倒産という最悪のシナリオに至ってしまいます。
2020年の倒産件数は全体でみれば増えていませんが、これは国主導の持続化給付金やコロナ融資などの支援策があったからです。
すでに持続化給付金は打ち切りとなり、2度目はありません。コロナ融資についても、追加で借入れを希望しても審査が厳しく、資金調達できない企業が増えています。
そもそも持続化給付金は、2020年で減少してしまった分の補てんであり、コロナ融資は半年分の運転資金としての貸し付けだったため、2020年12月末段階でそれらの資金は一巡してしまっているはずです。
収束がいつになるか予想がつかない中、1都3県では緊急事態宣言が延長され、今後はさらにコロナ関連倒産も増える可能性も出てきました。
会社の存亡をかけた経営陣の素早い決断が重要となる今、どうすれば倒産危機を回避できるのかわからず資金の調達方法に悩んでいるのでれば、まずは社長のきもちに相談してみてください。
経営者様の意向に沿う形で、コロナ禍を乗り切る方法を一緒に考えさせていただきます。