本日のピアノ発表会で、ついに「別れの曲」を弾きました。ついに、っていう意味を説明しよう。これ、本当に「ついに」なのです。

 

 私は小学生の時に3年間でピアノを引退(笑)して、大学生の時にエレクトーンを極めて、やっぱり3年間で引退して、当時の先生からはピアノに戻れと勧告されました。でも、それはうやむやにしたので、そのままいけばピアノを弾くことは二度と無いはずでした。さて大学を卒業して就職した先は中学校、いきなり2年生の担任となった私は、当時は当たり前だったパワハラ系とは全然違うタイプだけど、意外と熱血でした。

 最初の体育祭で、若いんだからというだけの理由で、男子1500m走にエントリーされるも、周回遅れを喰らって惨敗(笑)。その直後に、冬のマラソン大会では負けないからな!と宣言。毎日走り込みを開始して、その進捗状況を学級だよりで報告。苦手なことも、努力次第で進歩できることを、身をもって示してやろうと考えたわけだ。実際その年度の冬までに、タイムはぐんぐん縮まって、男子にはかなわなかったけど、女子のトップよりは速かったから、今の自分の走力と比較したら、とんでもないレベルだ(当たり前だけど)。当然、生徒たちからの反響も凄くて、「有言実行、尊敬します」とか、「私も苦手な科目を頑張れる気がしてきました」とか、ううう、生きた教材になったぜ。これに気を良くした私は、第2弾を企画する!その時の学級だよりのタイトルは「直井先生の頑張るシリーズ、ショパン別れの曲に挑戦!」(笑)。これが始まりだったのだ。

 

 完全に学園ドラマの熱血主人公気取りだから、お題は何でも良かったんだけど、あの有名な下校の音楽を弾けたらカッコいいし、しかもバイエル終わったくらいのピアノ歴で難易度Fを攻略したとなれば、再び生徒たちに勇気を与えられるだろうから、まさに一石二鳥だ。そんなわけで、別れの曲のピース(1曲だけバラ売りされてるもの)を買ってきて、チャレンジスタート!

 

 いや~、激ムズだ(泣)。難易度Fだから覚悟の上ではあったんだけど、時間かけてる割に全然進まず・・・。やっとの思いで前半の遅い部分だけは弾けるようになったんだけど、中盤以降が本当に無理。ある休日に音楽室にこもって、たったの2小節を4時間練習したけど弾けず、さすがにここで心が折れました。今の私に「別れの曲」は弾けない、ハードル高すぎた・・・。学級だよりには、挫折したことを正直に書きましたが、こうも書いた。「でもこれは一時的な撤退だ。いつの日か、私は必ず別れの曲を弾く!」 ってなわけで、本日有言実行できたので、今51~2歳になってる、当時の2年3組のみんなに聴かせてあげたかったぜ(笑)。

 

 それにしても、弾けた自分が一番ビックリしてます。以前にもこのコーナーで論じたことがあるけど、結局、自分で自分の限界を決めてただけなんだよな。実はそこは限界じゃないってことを示して、もうワンプッシュしてくれる先生に出会えたことで、案外すんなり弾けたんだと思います。今日の自分の演奏を振り返ると、完璧ノーミスではなくとも、レッスンで教わったことはほぼ生かせたと思うので、とりあえず通せましたっていう状況ではなく、ちゃんと自信もって「別れの曲を弾きました!」って言えます。

 さあ、熱血先生の頑張るシリーズ、続編は何にしようかな。なるべく苦手なものの方がいいから、剣玉にする(笑)。