本日は授業ネタなので、音楽関係と駅伝マラソン関係と投資関係の皆様は、またのご来場をお待ち申し上げます(笑)。

 

さあ今頃、全国の高校2年生たちは、テスト勉強に明け暮れているか、休憩がてら始めたスマホゲームのやめ時がつかめなくて悪戦苦闘のことと思います。中でも必修科目の「物理基礎」は、等加速度直線運動で苦労しているはず。等速なら例の「きはじ」でサクッと答にたどりつけても、速度が刻一刻と変化する場合は「きはじ」は無力。数学が苦手な人が例外なく嫌う、グラフと公式で解くしかなく、逃げ道は無い。本日は、私の授業で力説している2つの内容をご紹介しますので、物理が苦手で困っている皆さんの、少しでもお役に立てたら幸いです。

 

まずは典型的な例題を解こう。

(例題)初速度2.0m/sで右向きに走っていた自転車が、10秒間加速して、速度が右向きに10m/sになった。この時の、自転車の加速度を求めなさい。

 

これが解けるなら、赤点の恐怖に怯えることはなさそうだが、手も足も出ない、とっかかりさえつかめないという者は、非常に危険だ。では解いていこう。

 問題文を一読しただけで、全体のシチュエーションを把握するには相当な読解力を要するから、我々凡人は、ささっと図を描いたりして、状況を視覚的に捉えなければならない。この単元では、何はともあれ、速さと時間の関係、つまりvtグラフを描くことが先決で、こちらがそのグラフである。↓

ここから加速度を求めればよいのだが、ところで加速度って何なんだ?グラフは右肩上がりだから、加速してることは伝わってくる。要は、その加速がどの程度凄いのかってことで、「めっちゃ凄い加速なんだ!」 「それじゃぁ、わかんねぇよ」 

 学校に設置してあるジュースの自販機は、やたら安いんだけど、「めっちゃ安いんだ!」を何べん繰り返すよりも「1本60円」を言えば誤解なく伝わるのと同じで、加速の凄さは、アクセルを1秒間踏んだ時に、どれだけ速さが増すか、を言えばいいことになる。

なぜ1秒で比較するかっていうと、別に2秒でもいいのよ。でもねぇ、「うちの学校の自販機、安いんだ。2本120円」・・・て、わざわざ言わないよねぇ。

 さあ、もう一度グラフに戻ってみてくれ。速さは1秒でどれだけ増えてるかな?ピンと来ない人は、単位を「m/s」じゃなくて「万円」こ代えてみよう。縦軸は僕の全財産。横軸は働いた日数だ。最初2万円持っていたのが、10日間アルバイトて、お財布の中味を見たら10万円になっていた。さあ、日給いくらのアルバイトだったのかな?

 数が苦手と思い込んでる人に言おう。あなたは決して数が苦手ではない。今、お財布の中に〇〇円あるから、帰りにサーティーワンに寄れるとか、お金の計算なら朝から晩までやっているからね(笑)。ピンと来ない数字は、単位を「万円」に置き換えてみよう。「万円」に縁が無いなら「千円」でもいいけど。というわけで、正解は日給8千円。加速度は0.8m/s² でした。

 

 じゃあ、最初の財産が2万円じゃなくて3万円で、働いた日数が10日間じゃなくて5日間だったとしても、計算のやり方は一緒だ。日給✕働いた日数=稼いだ金額 であり、初めの財産に稼ぎを足したものが、現在の財産になるから、それらを文字に置き換えると

 

 V=V₀ + at ・・・この式は、「今いくら持ってるの?それは、最初の所持金に、アルバイトで稼いだ分を足せばいいのよ。稼ぎはね、日給✕働いた日数だよ」 ってことを伝えようとしている。

 

 だから、公式を暗記するのが苦手という人には朗報だ。公式を使わなくたって、問題は解けるということだ。事実、上の例題は、グラフを描いただけで、或いはグラフさえ使わずに正解にたどりつくことが十分可能である。ただ、毎度毎度同じことをやるのが面倒なので、「こういう時は、こうやるよね」っていう、解き方のパターンを示したものが公式なのだ。

 

 なるほどと思ってくれた皆さんも、読んで損した、時間を返せと怒ってる皆さんも、みんなテスト勉強頑張って~!(笑)。