(昨日の記事の続きです)
 探偵アベリーが行った捜査方法は、至って簡単なものでした。2回に分けて丹伯くんとディ奈ちゃんをホームパーティに誘い、2人の皿に代わりばんこに下剤を混ぜたのです。1日目・・・丹伯くんだけが下剤入り料理を食べさせられ、翌日は腹痛で学校を休んだため、登校したのはディ奈ちゃんだけでした。落書き事件は、いつも通り起きました。2日目・・・今度はディ奈ちゃんの食べた方が下剤入りでした。ディ奈ちゃんは翌日欠席、丹伯くんだけが登校しました。事件は起きませんでした。その後同じパーティを何度開催しても、ディ奈ちゃんが休んだ日だけは、事件が起きないので、探偵アベリーは「ディ奈ちゃん、犯人は君だね?」と言いました。しかしディ奈ちゃんは、「いいえ、これはただの偶然だわ。犯人が事件を起こさなかった日と、私が欠席した日がたまたま一致しただけよ」と反論しました。探偵アベリーは、ディ奈は限りなく黒に近いが、状況証拠だけでディ奈の犯行を立証するのは難しいな、と感じました。

 アベリーと同様に、この事件を追いかけていた探偵がいました。最強コンビ、ハーシー&チェイスの二人です。二人は、丹伯とディ奈の食べ物の好みに目をつけていました。丹伯は肉が好きだが、甘い物は全く苦手。逆にディ奈は肉類には見向きもせず、甘い物は際限なく食べられることが判っていました。ハーシー&チェイスも、ホームパーティーを主催し、丹伯とディ奈を招待しました。食卓には溢れんばかりのステーキ皿とプリンの山。予想通り、丹伯くんはステーキだけ、ディ奈ちゃんはプリンだけを食べています。パーティが終わって二人は帰宅。今回は下剤が混ざったりはしておらず、翌日は二人とも元気に登校しました。二人は数日後に開かれた二度目のパーティにも、大喜びで参加しました。教室の落書き事件は毎日続き、一向に止む気配はありませんでした。

 ある日、ハーシー&チェイス最強コンビは、廊下にいた二人を呼び止めました。「落書きをしたのは、どちらですか?」
 丹伯 「僕ではありません。僕はこの教室に入っていませんから」
 ディ奈 「私も違うわよ。今日はこの教室に一歩も足を踏み入れてないもの」 
 最強コンビ 「わかりました。では今から、お二人のうちどちらが嘘を言ったのかを発表します」
 丹伯・ディ奈 「えっ???」

 最強コンビが教室のドアを開け、「さあどうぞ皆さん、教室の中へ!」と招きます。
 丹伯 「うっ、なんだ?この強烈なニンニク臭は・・・。あっ、そういえばパーティで食べたやつかも・・・」
 最強コンビ 「そう、実は昨日の料理に大量のガーリックを混ぜておいたのです。ただしプリンの方にだけ」
 ディ奈 「あたしが犯人だっていうの?丹伯だって、パーティで食べたって言ったわよ。そうよね!」
 丹伯 「うん。僕もたしかにこの臭いがするステーキを食べた覚えがある。」
 最強コンビ 「ははは。素晴らしい記憶力だ。たしかに我々はステーキにもガーリックを混ぜた。ただそれは昨日ではなく、先週のパーティでの話です。昨日はプリンだけ、先週はステーキの方にだけガーリックを混ぜました。

 先週も落書き事件は起きたが、教室にニンニク臭はしなかった。
丹伯くんは教室には入っていません。犯人は・・・ディ奈さん、あなたです!」

 え~、この後は、ディ奈が火曜サスペンス風に高笑いするでも、時代劇風に「もはやこれまで~!」と叫んで暴れるでも、好きに続けてください(笑)。この物語をしっかり頭に叩き込んだ上で、次のように対応させながら実際の科学史に戻します。


 事件→形質転換や自己複製 丹伯くん→タンパク質 ディ奈ちゃん→DNA 下剤→分解酵素 プリン→P(リン) ステーキ→S(硫黄) ガーリック→放射性同位体 教室→大腸菌の細胞


 3人の探偵のうち、ハーシーさんがノーベル賞取ってますね。詳しくは生物の教科書を読んでください。
 さあ、まだまだ続くよ(笑)。次回は「シャルガフの規則」編を、A:青総高 T:多摩高 G:学芸高 C:芝浦高 とか適当な学校名に割り当ててストーリーを展開します。繰り返しますが、ほとんどの人は読まなくていい記事です(笑)