「サンデー毎日」に連載の「これは、アレだな」を書籍化した第３弾。

第2弾は「だいたい夫が先に死ぬ　これも、アレだな」です。

『だいたい夫が先に死ぬ　高橋源一郎』「サンデー毎日」で連載された「これは、アレだな」におさめられたコラム集。表題の「だいたい夫が先に死ぬ」は、コラムの中から最も気に入ったタイトルをとったそうです…

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【感想】

その時々に話題となったニュースや出来事、読んだ本、見た映画、聴いた音楽を「これ」としてピックアップし、過去の時代にあった似たような事例を「アレ」として対比させ、「これ」についてさらに深く考えて自論を綴ったエッセイ。

筆者は今、世の中で若い世代に支持されているもの、例えば「推しの子」などの気になった作品や文化等に関しても興味関心を示し、理解を深めていく姿勢がすごいと思いました。

とても面白くて読みやすいエッセイでした。

【印象に残ったフレーズ】

「不適切にもいろいろあるが」〔P11〕

不適切は、人間の価値観ではなく、時代の価値観が優先される。

だから、時代が変われば、その人は全く別のことを言うだろうし、かつてと違うことを言っても、何の痛みも感じないはずである。

「ギョギョギョとじぇじぇじぇ」〔P33〜35〕

さかなクンは、好きになると一直線の子供だった。

「さかなクンの一魚一会　まいにち夢中な人生！」（さかなクン作・絵　講談社青い鳥文庫）は、なんと、予想をはるかに超える面白さだったのだ。

さかなクン本人よりもお母さんの言動の方なのかもしれない。全くブレないのである。

「学校の勉強も、…」と言われると、「成績が優秀な子がいればそうでもない子もいて、だからいいんじゃないですか。みんながみんな一緒だったら先生、ロボットになっちゃいますよ」

「絵の才能を伸ばすために、絵の先生をつけて勉強をさせてあげたら」と言われると、「そうすると、絵の先生と同じ絵になってしまいますでしょ。あの子には、自分の好きなように描いてもらいたいんです」

家族みんなが、この一風変った男の子を丸ごと受け入れていた。だから、さかなクンが生まれたのだ

「これは、アレじゃない」〔P68〜72〕

「6ヵ国転校生　ナージャの発見」（キリーロバ・ナージャ　集英社インターナショナル）

著者のナージャさんが、6ヵ国を転校生として過ごした記録。

ナージャさんは、なんと小学校1年から中学3年までの間に、ロシア、日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダで教育を受けた。その結果、ナージャさんが分かったのは、「これは、アレじゃない」ということだったのである。

「これは、アレじゃない」は、狭い視野からではなく、世界の多様性を、世界の豊かさを知る一つの優れたやり方なのではないだろうか。

「これは、アレじゃない」の旅を続けたナージャさんは、最後にこんな結論にたどり着く。

転校するたびに変わるのは「ふつう」だ。ある国の「ふつう」は、別の国では「ふつう」ではない。だとするなら、コロコロ変わる「ふつう」を追いかける必要などない。「まわりと違う自分の『ふつう』こそが、『個性』の原料」なのだから。

「育児本3.0」〔P88〜92〕

いま最もオススメの育児本（これ）を調べてみたら、
「カリスマ保育士てぃ先生の 子育てで困ったら、これをやってみ！」（ダイヤモンド社）
で、あらゆる生活シーンでの「ああ、そうすればいいのか！」というヒントが満載されている。

「着替えてくれなくて困る！というときは、服を選んでもらうといい。ここで選ぶのは子供の服ではなく、大人の服。例えば『ママのお洋服どっちがいいかなぁ？』と子供に聞けば、張り切って選ぶ。そうしたら『次は〇〇くんのお洋服を選ぼうか！』とつなげる。ほかで上げたモチベーションを自分に使ってもらう」

過去に読んだ育児本でオススメの本（アレ）は、

「スポック博士の育児書」（暮らしの手帖社）

「子供を育てるのに、今までとは違う、もっと確固たる理想をもつことです。子供たちの要求を満たしてやるだけでなく、もっとゆるぎない価値観、例えば、協力、親切、正直、自分とは違うものを受け入れる寛容さ、といったものを大事にする人間に育てることです。このように育てられた子供たちは、きっと、他人を助け、人と人との絆を強め、世界に平和をもたらすでしょう」

「定本　育児の百科」（松田道雄　岩波文庫）

「自分は人間ができていないから、赤ちゃんを育てる資格がないと思うのにも賛成できない。人間は完成するものでないし、完成に近づいたにしても、その頃には子供を育てられない。だが親になることは、人間を完成に近づける機会であることに間違いない。子供の側からすれば、あまり自信のある親は、よい親ではない。子供と一緒に人生を探求し、一緒に育ってくれる親がいい」

《「『不適切』ってなんだっけ　これは、アレじゃない」高橋源一郎著　毎日新聞出版刊　より一部抜粋》

『さかなクンの一魚一会　さかなクン』さかなくんクンの自叙伝で、これまでの時間を凝縮してまとめられた本。さかなクンもすごいけど、それをサポートし、ずっと陰で支えてきたお母様が素晴らしい方でした。敢…

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「不適切」ってなんだっけ これは、アレじゃない 高橋源一郎

「不適切」ってなんだっけこれは、アレじゃない　高橋源一郎