今朝郵便局に行くのに、自宅から自転車で坂道を下っていた。近くの公園を通りかかった時、いつもは近所の老人会の方々がゲートボールをしているのだが、今日は一人の男性が棒を持ち、もう一人の男性が3脚に据え付けた望遠鏡のようなものを覗いているのが見えた。

 幼少時の同様な光景を思い出し、そこで立ち止まった。

 今から50年ほど前になるが、自分が小学校低学年か幼稚園のころ、数人の学生さんが巻尺や望遠鏡のようなものを持ってよく近所を測定して回っていた。近くに工業高校があり、土木科の生徒さんが学校の周辺で実習をしていたのだ。父はそれを見て、「あのお兄ちゃんらなんぞ覗いてるやろ。測量してまわってるんやで。」といった。父はその望遠鏡のようなものをトランシットということを知っていた。それを聞いて、私はその言葉を覚えていた。しかし、測量士補講座のテキストではトランシットとは言わず、セオドライトとなっているので戸惑った(トランシットでも間違いではないようだ)。

 三角形の1辺とその両端の角度が分れば三角形は確定する。他の2辺の長さは三角関数の正弦定理を使って求めることができる。


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図において、正弦定理よりAB/sinα=BC/sinβ=CA/sinγであり、三角形の内角の和はα+β+γ=180°だから、

BC=AB×sinβ/sinα=AB×sinβ/sin(180°-β-γ)

CA=AB×sinγ/sinα=AB×sinγ/sin(180°-β-γ)

となり、1辺とその両端の角度によって未知点までの2辺の長さを知ることができる。

このような方法を三角測量というが、工業高校の生徒さんたちは1辺と2角を測って三角測量の実習をしてたんやと思う。

しかし、今朝公園で見たのはトランシットではなく、トータルソリューションというものだった。現在では距離を角度の値から計算で求めなければならない三角測量は用いられず、光波測距儀で直接距離が測定される。トータルソリューションは、光波測距儀とセオドライトを1台にしたもので、距離、水平角、鉛直角が同時に測定できる。トータルソリューションの望遠鏡の狙った先には、スタッフ(赤白の棒)だけでなく、反射鏡が置かれていた。光波測距儀と反射鏡の往復距離を測定するからである。トータルソリューションが設置されていた真下は、公園の土が少し掘られていて、十字の頭の鋲が見えた。この鋲は測量のデータ(経緯度データか)を持っているんだという。これを基準に何カ所かの測量をしていた。公園の運動場の中に基準点のようなものが埋められているとは知らんかったな~。

三角測量は過去のものとなり、今では光波測距儀や汎地球測位システム測量(カーナビに使われているGPSのようなもの)、写真測量などが用いられるようになったという。