木村拓哉と二宮和也が主演した「検察側の罪人」がヒットスタートを切った。最終で興収30億円も視野に入る。緊迫感あふれる力作だが、ストーリーとは別に感じたことがある。これは、まぎれもないスター映画である、ということだ。
日本映画では、人気アイドルを起用することでヒットする作品は結構あるが、スター映画のくくりで大きな支持を得る作品は最近ではめっきり減った。アイドル映画は、ある特定のファンが中心だ。それに対し、スター映画は不特定多数の人々を相手にする。
木村と二宮は、これまでアイドル的な人気でヒット作を何本も送り出してきた。だが、2人はすでにアイドルの域を脱している。年長の木村は、昨年の「無限の住人」ではアイドル以降の立ち位置を模索し続けている感があったが、「検察側の罪人」はそれを吹っ切る糸口をつかんだのではないだろうか。
昔と違って、いまのスター映画は中身が重要になる。「検察側の罪人」で検事役に扮した2人はある犯罪の行方を巡って対立する。対立軸に、それぞれの“正義”が関与する。どちらも譲れずに火花を散らす。本作の見せ場である。
2人の風貌と演技には一段と風格が増し、そこには非常に安定感があった。浮ついた演技がなく、自身が抱く“正義”の発露を見事に表現していた。
木村の異様に思いつめた表情の数々、二宮のいつもの柔らかい風情が一転する怒号。どちらも演技の幅を存分に広げたと思う。
アイドルとスター。境界が曖昧なところもあるが、映画に関していえば、スター映画は甘っちょろい演技から生まれることはない。2人の成長が、ヒットのスタートを支えたのだろう。(大高宏雄/映画ジャーナリスト)(exciteニュースより)
日本映画では、人気アイドルを起用することでヒットする作品は結構あるが、スター映画のくくりで大きな支持を得る作品は最近ではめっきり減った。アイドル映画は、ある特定のファンが中心だ。それに対し、スター映画は不特定多数の人々を相手にする。
木村と二宮は、これまでアイドル的な人気でヒット作を何本も送り出してきた。だが、2人はすでにアイドルの域を脱している。年長の木村は、昨年の「無限の住人」ではアイドル以降の立ち位置を模索し続けている感があったが、「検察側の罪人」はそれを吹っ切る糸口をつかんだのではないだろうか。
昔と違って、いまのスター映画は中身が重要になる。「検察側の罪人」で検事役に扮した2人はある犯罪の行方を巡って対立する。対立軸に、それぞれの“正義”が関与する。どちらも譲れずに火花を散らす。本作の見せ場である。
2人の風貌と演技には一段と風格が増し、そこには非常に安定感があった。浮ついた演技がなく、自身が抱く“正義”の発露を見事に表現していた。
木村の異様に思いつめた表情の数々、二宮のいつもの柔らかい風情が一転する怒号。どちらも演技の幅を存分に広げたと思う。
アイドルとスター。境界が曖昧なところもあるが、映画に関していえば、スター映画は甘っちょろい演技から生まれることはない。2人の成長が、ヒットのスタートを支えたのだろう。(大高宏雄/映画ジャーナリスト)(exciteニュースより)
