>オリジナルフルアルバム
>タイトル:Empire
>アーティスト:yonige
>リリース日:2024年 1月 10日
>記事作成日:2024年 3月 7日





聴きました!

あまり“久しぶり”な気はしなかったんだけど、3年8ヶ月ぶりのアルバムなんだそうな。



『Super Express』
タイトル通りにアップテンポな曲。一方で、とてもシンプルなアレンジなのでさらりと聴けちゃうところもある。この曲へのこの印象は、アルバム全体にも共通して言える。退屈とかでは一切ないんだけど、ゴテゴテしていなくてさらりと聴ける。そこが好きでした。

『愛しあって』
落ち着いた、重心の低いバンドサウンドが魅力的のミドルチューン。やはりシンプルなアレンジなので、歌とごっきんさんのベースがとても映えている。
程よく憂鬱な歌詞と歌が特に良いですね。例えば「死んでしまいたい」みたいな極端な悲観ではなく、周囲からは気付かれないような、だけど確実に横たわっている憂鬱。大人になると、そんなのと対峙するのが日課になったりしますらね。

『walk walk』
アレンジがエモーショナルになりました。プリズムのように小刻みな光を放つギターは、だけど“キラキラ感”みたいなポジティブなものでもなくて。どちらかというと、日常の端々で引っかかってくる小さなトゲのような、喉に引っかかった魚の小骨のような“チクチク感”。聴き手(ぼく)の疲れた心に、心地良い刺激。

『DRIVE』
骨太なロックサウンド。この辺まで来て、ようやく『アボカド』のようなラウド感が出てくる。『Coming Spring』『girls like girls』辺りから入った人にはうってつけな曲かと思います。勿論こういう曲は最高だし、本作の大半を占めるシンプルでスッキリしたアレンジの曲も最高。

『Club Night』
タイトルの雰囲気から想像する、“それそのもの”の印象の曲ですね。ウーファーが効いた、クラブっぽい音。そして、深夜の空気が醸し出す、どことなく妖しくてちょっぴり寂しい独特の感触。
なんか、ドキドキする。

『神様と僕』
ギターが人懐っこい。メロディも人懐っこい。気だるい雰囲気と、そこはかとなく香るやさぐれ感…それはそれでちゃんと(?)ありつつ、一方では物凄くキャッチーで人懐っこい曲。ツンデレ感が良いです。それは、このバンドの根幹とも言えそうだけど。

『スクールカースト』
タイトルを見て“社会派陰鬱ソング”かと思ったけど(笑)、違かった。むしろ、青春が詰まってた。その時その瞬間だと死んでしまいたくなる程悩んだりしてて、でも20年経って振り返るとそれすら輝いて見える、その“青春”ってやつ。青春を、当事者寄りの時点で切り取った歌詞。ぼくの「やわらかい心」は、一体どこに消えたんだろう(笑)。

『Exorcist』
これはまた…なんでしょう?(笑)。
インスト曲とは言わないんだろうけど、牛丸さんの歌声はあんまり聴こえてこない(いや、“クリーチャー部分”もエフェクトかけた牛丸さんの声なのかもしんないけども)。
サウンドは、本作の中でも一番好きかも。ドラムスは、シンセなのかな…? 物凄く切れ味の鋭い、シャープな音。太いのにキレッキレ。そこに絡むベースが妖艶で、ギターはヒステリック。とにかく、サウンドがヒリヒリしててカッコいいんだ。

『seed (re-recording ver.)』
一転、直球のポップロックチューン。サウンドは、余計な飾り気のないシンプルなカッコ良さが際立っている、ロックンロール。歌詞とメロは、とても耳馴染みの良いキャッチーなポップ。合わせると、“ポップロック”(本来のポップロックの意味とは多少違うけど)。

『デウス・エクス・マキナ』
タイトル、なんか呪文みたいで怖かった(笑)。ちょっと検索してみたら、演出の手法のひとつなんですね。
メロも割と淡々とリフレインする感じだけれども、ベースの手数は多くて。熱量の高いリズム隊と、淡白なウワモノ。不思議な曲。

『True Romance』
これがyonigeの曲なのか…アコギの、柔らかくも繊細な音。伸びやかなんだけど湿度のある、濡れた歌声。日本語詞だけど、凄く洋楽っぽい雰囲気。ぼくは洋楽を一切聴かないのでイメージでしかないんだけど…。
これはこれで、凄くいいな。

『a familiar empire』
最後も、憂いの強いしっとりとした曲。
ギターの感じが好き。キラキラなんだけどミラーボールみたいな陽気なものではなくて、割れたグラスの破片のような歪で危ういもの。
「自分のことを信じていたかった」と繰り返すラストに、なんとも言えない物悲しさが残る。



そんな、計12曲。

本作を色で表すと、暖色ではなく寒色ですね。しかも、ぼくには藍色みたいな濃い青が見えた。聴いてると、ぐぐぐっと気持ちが深く沈んでいく。別に“落ち込む”とか“ヘコむ”じゃないんだ…静かに深海に落ちていくような、ある種の心地よさみたいなものすら感じる感覚。
このバンドが、こういう方向に進むとは思ってなかった。とても良いな。





お気に入りは、
#01 『Super Express』
#02 『愛しあって』
#03 『walk walk』
#05 『Club Night』
#08 『Exorcist』
#09 『seed (re-recording ver.)』
#11 『True Romance』





この作品が好きなら、
・『ターゲット』/FLOWER FLOWER

などもいかがでしょうか。





CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/













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