>オリジナルフルアルバム
>タイトル:星巡り、君に金星
>アーティスト:PEOPLE 1
>リリース日:2024年 1月 10日
>記事作成日:2024年 2月 29日





聴きました!

一昨年(2022年)の“気分だけでもロッキン”シリーズで知ったバンド。物凄くイマドキなバンドなんだけど、ある意味で“古風”にも感じる、ぼく好みのバンド。なんかこう、90年代のJ-POPシーンにいても違和感が無さそうな雰囲気なんですよねぇ。



『PEOPLE SAVE THE MACHINE』
イントロダクション。
可愛らしくてちょっと寂しげなオモチャのピアノみたいな音から、一気にノイジーなサウンドへ。このバンドを凝縮したようなインスト。

『銃の部品』
シリアスな空気を纏ったアッパーチューン。BPMは速いけれども、イケイケうぇいうぇいみたいな感じじゃない。ヒリヒリするようなシリアス。
ラップ的な要素が強い。そのラップに、物凄くきっちりと“ユニゾン”してる各楽器が凄い。ドラムスに至るまで、ブレスのところでブレスしてアクセントのところでアクセントを入れてる。気持ちいい。

『YOUNG TOWN』
前曲は物凄くクールでシリアスでカッコよかったんだけど、そういう曲だけでは息が詰まってしまう。この曲は、前曲とは真逆の、幸福感や軽やかさが感じられる(歌詞の内容ではなく、サウンドとアレンジの話です)。カルビ食べたあとのキムチのような、絶妙なセット。この辺はぜひ流れで聴きたい。
突き詰めるとジャクソン5の『ABC』なんかにもたどり着きそうな、ポップで可愛らしさもある曲。但し、歌詞はせつねぇ…。

『紫陽花』
突然、エモーショナルな曲。ほぼピアノだけの物静かなイントロから、少しずつ音が増えて…昼間から夜に変わっていく、そういうグラデーションのよう。静かに、でも確実にモノトーンになっていく。寂しいような、でも何故だか少し安心するような。
雰囲気自体は、深夜のテンション。一日動いた疲れと、無事に終えた安堵や開放感と、音のない寂しさと…そういうのが混ざったような、深夜の独特な空気を、ぼくはこの曲から感じる。
好き。

『Deadstock (feat.きのぽっぽ)』
あれ、このバンドってツインボーカル編成なんだっけ?と思ったら、ゲストボーカルあり。きのぽっぽさん…名前凄いな(笑)。ぼくが存じ上げなかったという事は、TikTok系の方なのかな(最近、“苗字+名前”スタイル以外の名前で、若そうなお声で、存じ上げない名前だと、全員TikTok系だと決めてかかってしまいます 笑)。
良い声してますね…大人っぽい瞬間とあどけない瞬間が、交互にやってくる。だから凄く面白い。
曲自体もそんな感じ。ちょっとビターでアダルティな雰囲気がありつつ、一方で何かこう甘酸っぱい青春感みたいなものが感じられる瞬間もあって。

『DOGLAND』
割とゴリッとしたラップ曲。でも、サビはこの上ないくらいにキャッチーな歌モノ。ぼくは、少し前に一世を風靡したトラップ的な音楽があんまり好きじゃなくて。どちらかというとこういう、ラップロック(ミクスミャーロック)的なラップの方が好き。
シャープな音には数学的な美しさがあるんだけど、ボーカルの感情先行の感じとの組み合わせが意外と(?)マッチしてていい。

『Ratpark (feat. 菅原圭)』
菅原さんという方も“初めまして”でしたが、こちらの方の歌声も好きだ。ひと昔まえ、ボカロP的なネット系音楽の歌い手さんに、こういう雰囲気の方が多かったような。オケ的にも、程良いピコピコ感と捲し立ててくるような速さのBPM辺りに、あの頃のボカロP感を感じます(とかいいつつ、ぼくはそっち界隈に強くはないのでほぼ偏見ですが 笑)。

『GOLD』
ピコピコソングが続きます(笑)。こっちのほうが、少し歌モノ感が強いかな。オケはデジタルフレーバーが強いけど、ボーカルラインがしっかりとキャッチーなので、とても聴きやすい。
凄いよなぁ…アルバム前半は、あんなに厚みのあるバンドアンサンブルで鼓膜を揺らしてくれたのに、こういう曲では程よくDTM的な味付け。とにかく、アレンジと音選びの幅が広い。

『closer』
ピコピコサウンドあり、ラウドなバンドサウンドあり…ありとあらゆるタイプの曲の後に、こういう曲が聴こえてくるのはいいなぁ。この曲も充分に個性的ではあるんだけれども、ぼくは変な“クセ”みたいなものは感じなくて、割とスッと聴けた。寿司の間のガリのような?家系ラーメンのほうれん草のような?スイーツブッフェのパスタのような?

『ドキドキする』
これは…何ていうのかな…懐かしい感じがする。全然思い出せないんだけど、このような雰囲気の曲を子どもの頃とかにどこかで聴いた気がするんですよ。アニメの主題歌的な感じか?それともこどものうた的な感じか? 特定の曲にカブってるとかそういう事じゃない気がするんだよな。これに似たような雰囲気の曲に、どこかで触れていたような気がして…思い出せずにモヤモヤしてる間に曲が終わってしまうのだけれども。

『ハートブレイク・ダンスミュージック』
とてもぼく好みなメロディライン。カップラーメンみたいな分かりやすい旨み、もしくはカレーのように分かりやすくスパイシー(別に安っぽいとか言いたい訳ではありませんよ!)。
再びのピコピコサウンドなんだけれども、音質の軽やかさとは真逆のコッテリとしたメロディライン。そのコンビネーションがたまらない、アップテンポミュージック。

『高円寺にて』
最近自覚したんだけど…地名が出てくる歌、ぼくは無条件で好きになるわ(笑)。直接的な情景描写が無くても、VR的にその街に溶け込んで、主観的にストーリーを追体験してしまう。例えば“誰かの恋物語”とか“創作のストーリー”として歌詞を追うよりも、自分の失恋だと思ったほうがグッと来ますからね。
そんな訳で、この曲には過度に没入してしまいます。

『君に金星』
ほぼほぼタイトルチューン。ほぼほぼタイトルチューンは、歌というよりも独り言のような、そんなポツネンとした曲。オモチャのピアノみたいな音だけで展開するバラード。
2分に満たないコンパクトな曲の中に、宇宙に放り出されたみたいな孤独感と寂寞感と(ほんのちょっとの)開放感がある。凄く寂しくて、凄く切なくて、僅かにホッとする。ネガティブな事だって、何かが終わればちょっとホッとした気持ちになりますからね。

『鈴々』
前曲でしっぽり終わるのも良いかな?とも感じたけど、やっぱりラストは軽快に痛快にはっちゃけて終わってくれてこそこのバンドな気もする。
いやぁ、大好きこの曲。聴けば聴く程好きになる。譜割が最高に気持ち良いんだよなぁ。パズルの最後のピースがピタッとハマるような、テトリスで縦棒を使ってガッツリ消すような、そういう爽快感。
ラップってのとは違うんだけど、ヒップホップ的な気持ち良さがある。



そんな、計14曲。

冒頭で書いた“90年代J-POPの面影”…「全員ぶっ潰して俺らがてっぺん取るぞ」みたいな野心を感じるんですよね(笑)。実際にどういうつもりで音楽をやってるのは勿論知る由もありませんが。最近は、シティポップならシティポップ、トラップならトラップ、アシッドジャズならアシッドジャズって感じで、“シングルイシュー”でまとめてくるアーティストが多い中…ラップロックもバラードも、ロックもポップスも、何でもかんでも全部取り込んでアウトプットしてやろうとしてるあたりに、それを感じるんです。お互いの領域を侵さず、“競合他社”とは仲良く…みたいなのを気にせず、やりたいようにやってる。「全部飲み込んだ俺らが一位じゃあ!!」みたいな(笑)。ぼくにはそう感じられて、それがギラギラ感に感じられて、90年代アーティストのギラギラ感を思い出したんだと思います。

いやぁ、ライブ行ってみたい。絶っっっっっ対楽しいやつじゃんこんなん。





お気に入りは、
#02 『銃の部品』
#04 『紫陽花』
#05 『Deadstock』
#06 『DOGLAND』
#09 『closer』
#11 『ハートブレイク・ダンスミュージック』
#12 『高円寺にて』
#14 『鈴々』





この作品が好きなら、
・『NEE』/NEE
・『Devil』/ビッケブランカ

・『NEW BORN GHOST』/Tele
などもいかがでしょうか。





CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/













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