>オリジナルフルアルバム
>タイトル:感覚は道標
>アーティスト:くるり
>リリース日:2023年 10月 4日
>記事作成日:2024年 2月 22日





聴きました!

驚きです。オリジナルメンバーの、ドラムス・森信行さんが参加した編成での新作。
くるりは現行のお2人以外のメンバーさんがかなり入れ替わっている印象があるんだけど、やっぱりくるりと言ったらこの3人組というイメージが強くて。まさか、再びこんな編成での作品を聴く日が来ようとは。
少し前に出た『愛の太陽 EP』も恐ろしく良かったので、かなり期待値を上げて聴いてしまいました。



『happy turn』
この曲のイントロで、「既に好き」ってなる。USロック的な、乾いたギター。ぼくが大好きな、『Nikki』の頃のくるりの質感。この曲の(何ならこのイントロの)時点で、ぼくの中で名盤が確定。

『I'm really sleepy』
引き続き爽やかな音色で、でも歌詞はもう、なんというか…(笑)。敢えて潰したような歌声には、奥田民生を強く感じる。
厚みのあるロックサウンドではあるんだけど、どこかトボけたような、なんとなくユルい感じも漂っている曲。

『朝顔』
急にシュッとした音に。スタイリッシュ。バンドのダイナミズムはありつつも、とてもクールでもある。暑い真夏にゲリラ豪雨を浴びるような、熱いのと冷たいのが一気に来る感じ(笑)。
インパクトはあるのに聴き終わりはすっきりとしていて、いい。

『California coconuts』
今度は、ちょっとネバヤンetc辺りを彷彿とさせるような洒脱さを見せる曲。サビ前からはバンドの“熱”が急にたぎって、バンドバンドしたバンド曲(笑)になりますども。

『window』
何とも不思議な雰囲気の曲。うたた寝から覚めた後の、夢なんだか現実なんだか分かんないような感覚の、ふんわりしたミドルチューン。
一方で、「window clean clean」のリフレインは、一度聴いたら頭の裏側にこびりつく中毒性も持ち合わせている。

『LV69』
シタールっぽい、南アジアっぽい音がする曲。民族音楽っぽいテイストがありつつ、でも一方ではオーソドックスなロックンロールでもあるし、J-POPでもある。色んな要素が、バランス良く組み込まれたアレンジ。このごった煮感に、ぼくはくるりを感じます。

『doraneco』
『リラックマ』関連とか、トリビュート盤の『となりのトトロ』とか…岸田さんがソロでやってる、可愛い系キャラクターとのコラボの時の雰囲気に近いアレンジだと感じます。軽やかで、人懐っこくて、とにかくキャッチー。

『馬鹿な脳』
タイトルは、『馬鹿な脳』。そこにどんなシニックが潜んでいるのかと思ったら、割とストレートに馬鹿な脳の詩だった(笑)。いや、噛み砕くと、そこには色々な示唆や隠喩や主張があるのかもしれないけども。
アッパーでユーモアもあるオケ。そこにこの歌詞。ぼくはこの曲から、悩んでるくらいなら取り敢えず動け”というメッセージを受け取りました。その解釈が正しいのかは分からないけど、ぼくにはそう聴こえる歌だった。

『世界はこのまま変わらない』
やはり、ほんのりとユーモアが香るオケ。今回のアルバムは本当に、ユーモアがいっぱい。
ヴァースにはユーモアが、サビには真摯な温もりが感じられる。文言だけに注目すると、げんなりするようなネガティブなワードも多いんだけど(笑)、それを笑い飛ばしながら前に進もうかなと思える曲調。

『お化けのピーナッツ』
このアルバムの中で、なにげに一番好きな曲かもしれない。感動とか、痛快とか、そういう分かりやすい「良い曲」とは違うと思うんだけど、何とも印象に残りまくる曲。
南米のテイスト。サルサとか、そういう感じなのかな。サンバ的なゴキゲンなヤツじゃなく、ねっとりむっちりした感触のやつ(笑)。
そして、お化けのピーナッツって何⁉︎(笑)。

『no cherry no deal』
最初に聴いた印象は、「こんなに分かりやすい感じのロックンロールを、やるんだな」ってところ。“分かりやすい”ってのは別に、単調だとか仕掛けが少ないとかそういう話ではなくて。乾いたギターに、キャッチーなボーカルラインに、小気味の良い譜割に。高校生あたりがこぞって学園祭でカバーしたくなりそうな、そういう類の分かりやすさ。ありとあらゆる、本当にありとあらゆる音楽を取り込んでアウトプットしてきたイメージの強いくるりが、ここに来てこういう“分かりやすい”ロックンロールをやるんだなっていう。ぼくは、嬉しく思いました。

『In Your Life (Izu Mix)』
その曲タイトルの通りに、物凄く、生活に近い曲だと感じました。メロは“高尚”ではなくキャッチーで、アレンジは大仰ではなくさりげなくて、歌詞には直接的に日常の匂いが描写されている。初めてのデートとか、特別な記念日とか、見知らぬ土地への旅とか…そういう特別なシチュエーションではなく、あくまで日常の景色の中で、聴いていたい。通勤電車で、コンビニへの買い物の道すがらで、家族を迎えに行く車の中で。

『aleha』
波の音が心地よい、静かで穏やかな曲。ぼくはくるりをそんなに熱心に追っかけ続けてきたヘビーリスナーではないけれども…それでも、何となく「くるりがこんなに穏やかな曲を歌う日が来たんだな」とは思った(笑)。
まぁ、“アコギ弾き語り曲”と“バンドアレンジver”が2in1になっていて、突然切り替わる辺りには一筋縄で行かないくるりらしさがありますが(サブスクだと、たまにデータがダウンロードされ切らないままキャッシュに残されちゃって、ぶつ切りで次の曲に行っちゃうことがあるから、それかと思った 笑)。
ちなみに、字面が“aloha”っぽいから曲タイトルは何処かの別の国の言語なのかとおもったんですが、「あれは」なんですよね。気付くまでにかなりかかった。



そんな、計13曲。

ぼくは、くるりの中でも『NIKKI』の辺りが特に好きで。それはどういう事かと言うと、くるりの“キャッチーで、気さくで、分かりやすい作風の側面が好き”っていう事だと思うんですが…今回は、その『NIKKI』に匹敵するキャッチーさでした。どの曲も、とにかく人懐っこい。
“トガっててこそくるり”ってタイプの人には少し物足りないのかもしれないけど、ぼくにとっては最強で最高のアルバムでした!





お気に入りは、
#01 『happy turn』
#03 『朝顔』
#06 『LV69』
#08 『馬鹿な脳』
#10 『お化けのピーナッツ』
#11 『no cherry no deal』
#12 『In Your Life (Izu Mix)』





この作品が好きなら、
・『股旅』/奥田民生
・『新・フラカン入門(2008-2013)』/フラワーカンパニーズ

・『サーフ ブンガク カマクラ(完全版)』/ASIAN KUNG-FU GENERATION
などもいかがでしょうか。





(評価)













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