>オリジナルフルアルバム
>タイトル:PURSUE
>アーティスト:のん
>リリース日:2023年 6月 28日
>記事作成日:2023年 8月 28日
聴きました!
シングルは何曲か聴いた事があったけど、アルバムとしては初かな。
ご自身の制作曲以外にも、Go!Go!7188のフロントお二人とか、忘れらんねえよの柴田さんとか、アジカンとか…豪華なお名前が見受けられる作品集。
『Beautiful Stars』
底抜けな爽快感のパワーポップチューン。
“本作にアジカンが参加している曲があるらしい”という前情報だけ持ってたんですが…この曲が聴こえてきて、冒頭のギターの音だけで「あ、アジカンだ」と分かる。それくらい、ギターの音がアジカン。作詞作曲がゴッチさんのようですが、ぼくはむしろギターの音色とアレンジのほうにアジカンを感じました。
『ナマイキにスカート』
ロック色はありつつ、同時にガーリーな可愛らしさもあるポップロック。
これは、元Go!Go!7188のお二人がそれぞれ作詞と作曲をなさっているという曲。このお二人の参加も前情報としては知ってましたが、こっちはまさかこの曲だとは思わなかったなぁ。
ギターのリフとかも含めて、なんかクセ強な曲ではある。つまり中毒性がある。
『わたしは部屋充』
ぼくのなかで、“のんさんの曲といえばこの感じ”な曲。パンクロックとメロコアを足して2で割った感じというか。ボーカルも、端的に言っちゃうとはちゃめちゃ。「ピッチ?うるせぇ」って感じ(笑)。“考えるな、感じろ”の世界。
ちなみに、忘れらんねえよ柴田さんの曲だそうな。
『薄っぺらいな』
自省というか、決意表明というか。このタイプの歌詞はご自身の作詞だと説得力が出るんだろうなぁと思ってクレジットを見たら、のんさんご自身。決して“のんさんの日記”ではないんだろうけど、リリシストとシンガーが同一人物だからこそ爆発力が増す曲ってのは、確かにありますからね。
『エイリアンズ』
キリンジのカバー。キリンジ、アーティストからのリスペクトが凄いですよねぇ。この曲も色んな人がカバーしてますが、誰かがカバーしてるのを聴くたびに「歌詞の意味が全然理解出来ないなぁ」と思い、そして「理解出来ないのに感動出来るってどういうことよ?」とも思う(笑)。今回もそう。
アルペジオのシンプルなオケの上で、深みというよりは瑞々しさが魅力の『エイリアンズ』でした。
『夢が傷むから』
“Inspired by 東京百景”という表記がありました。ぼくは知らなかったけど、又吉直樹さんの小説作品なんですね。『東京百景』という字面からはアーバンでスタイリッシュな印象を受けますが、曲はエモーショナルなロックチューンですね。でも、メロディにも歌詞にも感傷がいっぱいで、厚い音なんだけど胸が締め付けられるような感覚もある。
『こっちを見てる』
なんか、歌い方に90年代ガールズバンド感を覚えるというか…もっと端的にいうと、プリプリ(奥谷さん)とかLINDBEAG(渡瀬さん)とかを彷彿とさせる感じ。軽く小節の効いた歌い方というか。新しい曲なんだけど、なんか懐かしい感じがする曲。
あと、サビの「こっちを見てる」が、何故だか頭から離れなくなります。
『僕は君の太陽』
のんさんが作詞をしているみたいですが…例えば“君は僕の太陽”だったら、既発曲が沢山ある気がするんですけどね。“僕は”なのは、なんか新鮮。捉え方によっては「大きく出たな」と思うかもしれないですけど、自信を持ってそう言う姿になんか爽快感です。ぼくはこの曲の主人公が好き。
『Oh! Oh! Oh!』
ここまでとはまた全然雰囲気が違う曲。なんというか…ロケンローな(笑)。“ロックンロール”じゃなく、“ロケンロー”。プレスリーにツイスト踊ってもらいたくなる感じ。
クレジット見てびっくり。作詞曲からアレンジまで、堀込泰行さんとな。自分のバンドでは絶対に出してこないような引き出し。「堀込さんが仮歌うたってんのかな?そっち聴いてみたいな」とか、そんな事を思ってしまう(笑)。
『むしゃくしゃ』
ヤンチャ。もしくは奔放。もしくは腕白。女優さんですからね、“感情が振り切れて”じゃなくてあくまで“奔放さを演じてる”んだとは思うけど(それがダメだとか、嘘くさいとか、そういう話ではないですよ!)。
まぁでも、結構、枠にとらわれない感性をお持ちの方のような気もするので、本当に素でこのテンションの可能性もゼロではないけど(笑)。
『この日々よ歌になれ』
前曲からブランクレスで、この曲へ。
アルバム終盤のこの位置に相応しい感じの、センチメンタルたっぷりのミドルロックチューン。
なんてったって、メロディが良いんだ。青臭いんだけど洗練されていて、ごちゃごちゃしてるんだけど洗練されている。このメロが、このバンドサウンドに乗っている事が最高に嬉しい。
そしてこの歌詞。しみったれてんのに最高にカッコいい。
作詞曲、そしてアレンジ、全て忘れらんねえよ柴田さん。このお方の作品、ほんと好きだ。あのキャラからこの曲が生まれる意味が、全然分からん(笑)。
最高。そして最高。
『荒野に立つ』
ラストにして、壮大なバラード。スケール感が半端ない。バラードではあるんだけど、“繊細さ”“儚さ”ってよりは、“雄々しさ”“気高さ”。人間のナイーブな内面を歌いつつ、でも何があっても前に進もうとする凛とした強さを感じる歌詞にグッと来ます。
ストリングスがダイナミック。歌詞がエモーショナル。リズム隊が凛々しい。そんな、バラード。
そんな、計12曲。
フィジカルにはもう一曲入っているようですが。
なんか、予想外に(?)聴きやすかった。
ぼくが聴いたことのあるのんさんの曲は、奔放さが過ぎてちょっとそのノリについていけない部分が正直あって(笑)。興味はあって何回か新曲チェックをしてみたりしたんだけど、割と毎回そんな感じで。絵で例えると、多分ぼくは写実絵画のほうが好きなタイプなんだけど、のんさんの作品は抽象画っぽいイメージ。“分かる人”が見ないと、何のこっちゃ分からんというか。
でも、本作は、特に楽曲提供を受けている曲たちのほうが非常に“分かり易”くて。上記の例になぞらえると、個性的なタッチではありつつも何が描かれているのかがパッと見て分かる、写実絵画寄りの曲が多かった。印象派っぽい感じと言うのかな? だから凄くとっつき易くて、一気に聴けた。そういうアルバムでした。
あと、ぼくは多分やっぱり、忘れらんねえよ・柴田さんの“感じ”が好き(笑)。
お気に入りは、
#01 『Beautiful Stars』
#02 『ナマイキにスカート』
#06 『夢が傷むから』
#11 『この日々よ歌になれ』
この作品が好きなら、
・『PLANET』/佐藤千亜妃
・『J・A・M』/JUDY AND MARY
などもいかがでしょうか。
DLしてライブラリに追加!レベル(^∇^)
ぼくの、もう1つのブログもご贔屓に!