>オリジナルフルアルバム

>タイトル:奇妙礼太郎

>アーティスト:奇妙礼太郎

>リリース日:2023年 6月 21日

>記事作成日:2023年 8月 21日






聴きました!


最初に言っときますが、記事タイトルは打ち間違いではありません(笑)。奇妙礼太郎さんによる、『奇妙礼太郎』という名前のアルバム。バンドがセルフタイトルを掲げる事は珍しくないけど、ソロアーティストでそれはかなりのインパクトですね。パッと思いつく所では、寺岡呼人さんの『呼人』くらいか。


活動開始25周年の、節目のアルバムだそうな。収録曲全ての作詞作曲をご本人が担当するのは、初めてだとか。

塩塚モエカさんとか、菅田将暉さんとか…客演が超豪華。




『散る 散る 満ちる feat.菅田将暉』

のっけから、マサキ。

おおらかで柔らかなブラス隊と、まろみのあるピアノと。どの音をどう切り取っても、高級感があってなおかつ遊び心もある。色んな遊びを知ってる紳士のような曲(笑)。うっとりしてしまいますわ。


『春の修羅 feat.塩塚モエカ』

最初、『春“と”修羅』かと思って、宮沢賢治のあの静かな激情がほとばしるアレがモチーフなのかと思ったんだけど…非常にポップで爽やかな曲だった。

疾走感のあるアコギと、武骨なリズム隊。可愛らしさと粗野な感じとを同居させられるのは、この方ならでは。


『HOPE feat.ヒコロヒー』

まさかのヒコロヒーさん。ぼくは、この方の事を“ドラマ『ミステリと言う勿れ』に出てた方”くらいの認識しか無かった(芸人としてのお仕事を拝見した事がない)んですが…奇妙さんのこの程よくやさぐれでいてそれでいて下町人情のような懐の深さも併せ持つ作風を見事に再現されているなと思いました。発声には、素人感(揶揄ではなく、ボーカリストとして研鑽を積んでいる人には無いある種の“普通”という事です)が、たまらん。この曲は、上手に歌い上げるよりもこの素人感が大事なんだと思う。


『ONLY FOOL』

アコギの音こそ聴こえてくるけれども、“アコースティックチューン”ってよりは、オシャレなイベントとかで聴こえてきそうなスタイリッシュな曲。リズムトラックがいい味を出している。

ぼくは、奇妙さんの過去曲と比較して、“ありそうで無かった曲”って感じがしました。


『真夜中のランデブー』

前曲も結構“夜感”のある曲だと思ったんですが…この曲は、より。タイトルにもある通り、真夜中。でも、決して“物静か”とか“落ち着いた”夜ではなくて、知人がやってる小さなクラブのオールナイトイベントみたいなイメージ。リラックスして、気張る事なく楽しむ感じ。

音で言うと、クラシックを想定した音楽堂でやるロックミュージシャンのライブみたいな?(笑)。反響する音の無い、沼みたいなドロっとした音。あ、これ、最上級の褒め言葉です。この音、沼るわ。


『touch my soul』

いやぁ、いいわぁ…これもまた、夜感あり。この曲は、明日の朝は早起きしなくてもいい金曜日の深夜に、ちょっと強い酒でも舐めるように飲みながら、リラックスした雰囲気で聴きたい。

この曲に、没入したい。


『ほんまにおいしいお好み焼き』

かと思えば、この感じね(笑)。このギャップもまた、好きですよ。

念のために説明しておくと、お好み焼きで何かを例えたような歌詞ではない(笑)。ほんまにおいしいお好み焼きについて、歌っておられます。サウンドのクールさと歌詞の意味のなさとのギャップが、身震いする程好き。


『フレンズ』

今回のアルバムは、全体的に音が好き。特にリズム隊の音が、生々しくて良い。アンプから出てくるそのままの音を浴びている感じ。そしてギターには、自由がある。そんな、ぼくの大好きな音が、特にストレートに楽しめる曲。


『Vintage』

頭のネジが3つくらい外れてる感じ(当然褒め言葉!)の、超然としたアーティスト性が魅力のこの方。でも、そんな人が、人間臭さに溢れた曲を時々放り込んでくるんですよね。まさに、これがそういう曲。気を抜いて緩み切った鳩尾に、不意にグーパン決められる感じで歌詞に引き込まれる。


『いつのまにか猫』

ぼくの知ってる“奇妙礼太郎と言えば”の曲。庶民感と、昭和のちんどん屋みたいな賑やかさと、それでいてスタイリッシュな曲。

猫だから?猫だから??…と思っていると、ラストに「猫だ〜け〜に〜♪」と来て、なんか凄く満足感が得られる曲(笑)。

この、程よい肩の力の抜け具合が良い。




そんな、計10曲。


客演を沢山招いておきながら、非常に“奇妙礼太郎な”作品集になっていたと思います。静かな激情があり、リラックスした洒脱さがあり、愉快な涙があり。ある種の浮世離れをしているのに、凄く親しみやすくて。凄く不思議な感覚になるのです。そこがとても、奇妙礼太郎らしかった。


周年の総括をベスト盤でする人たちも多いですが、オリジナルの作品でこうやって歩みを総括するのもとても素敵だなと思いました(ご本人に、総括する意図があるのかどうかは存じませんが)。






お気に入りは、

#01 『散る 散る 満ちる』

#03 『HOPE』

#04 『ONLY FOOL』

#05 『真夜中のランデブー』

#06 『touch my soul』






この作品が好きなら、

・『エピソード』/星野源

・『発光帯』/ハナレグミ

・『Blank Envelope』/Nulbarich

などもいかがでしょうか。






CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/











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