>オリジナルミニアルバム

>タイトル:点描

>アーティスト:三浦透子

>リリース日:2022年 12月 14日

>記事作成日:2023年 1月 26日






聴きました!


再三に渡り言及してきましたが…ぼくは、基本的に俳優やタレントによる“兼業ミュージシャン”が好きじゃなくて。本業のネームバリューで音楽を売ろうとしていたり、単なる話題作りでポンとCD出してみたり…音楽以外の要素で音楽を発信している、もしくは“片手間”でお気軽に音楽をやっているような輩が多い気がしてそこに抵抗がある訳なんですが。でも時々、ぐうの音も出ない程に、素晴らしい曲を作ったり素晴らしい歌声を聴かせてくれたりする人も居て。この方はぼくの中で、まさにそのカテゴリに居るお方。




『通過点』

R&B色のある、洒脱なミドルバラードからスタート。

のっけから、コレ。気だるさというか、囁くようなボーカルにゾクゾクする。オトナの色香。

楽曲提供、YeYeさんなんですね! YeYeさんご自身の作風とも、またちょっと違った雰囲気。


『私は貴方』

不思議な曲。物凄い固有名詞が幾つも出てくるのに、日常感というか生活臭みたいなものは皆無。普通、固有名詞ってのは聴き手と曲世界が“地続き”だと思わせて親近感を煽る時に使いそうなものなのに…まるで宇宙に放り出されたかのような浮遊感と非現実感。

ちなみに、ODD Foot Worksの有元さんプロデュース。さすが、次代のバンドの作品は次元が違う。


『intersolid』

ぼくは存じ上げなかったのですが、CRCK/LCKS(クラックラックス)というバンドのメンバーの方による楽曲提供。

独特な音色のピアノが特徴的な、ミステリアスな曲。ミュートペダルを甘く踏みながら弾いてる感じ。しかも、グランドピアノの深みというよりはアップライトのミニマムな感触っぽい(実際の使用楽器が何なのかは存じませんが)。

まろみのある音は、それだけ聴けば懐の深いあったかい音にも感じられるのですが、随分と低音が強調されていてしかも不協和音に近いコードで尚且つこもった密室感のある音質で。何とも不穏。それがクセになる。


『点灯』

前曲があまりにも不穏な雰囲気だった事もあってか、この曲の人肌の温もりのようなあったかさが物凄く身に沁みる(笑)。

もちろん、声は前曲までと一緒。ボーカルスタイルにも、極端なギアチェンジは感じられない。でも、それでも、さっきまでのミステリアスな雰囲気はこの曲にはなく、しなやかで暖かくて優しい声に包まれるんです。曲自体のしなやかな雰囲気と相まって、寒い夜のスープのように染み込んでくる。

ちなみに、作詞作曲はbutajiさん。ホント、アーティストネームのトリッキーさとは真逆の、普遍性に満ちた曲を作る方ですよ。


『風になれ』

本作で初めての、疾走感が感じられるアップテンポな曲。三浦さんのシルキーな声はそのままに、でも湿度感は下がって気持ちの良い爽やかさを感じる曲。

歌(歌声、メロ、歌詞)ももちろん素晴らしいけど、この曲は、バンドの音を堪能すべき曲。渋みがあるのに新鮮味もある。イメージ的には、昭和レトロ的な?(笑) 伝統と革新が同居するような。

楽曲提供は羊文学の塩塚さん。そう言われてみれば、確かに羊文学みを感じますなぁ。爽やかな感傷。


『漂流』

再び、感傷と、寂寞と、焦燥と、情念の世界へ。

モノトーンというか、ダークな質感はアルバム前半の雰囲気に通じているんだけど、でもこの曲には躍動感もある。ある意味で凄く静的で、またある意味で凄く動的。

楽曲提供は剣持学人さんというお方だそうな。


『blur and flower』

ラストも、剣持学人さんによるこの曲。

ラストの2曲はEDM色が強め。デジタルの先鋭的な音と、三浦さんの滲むようなウィスパーボイスとのコントラストが面白い。




そんな、計7曲。


やっぱり良かった。

前作『ASTERISK』よりも、深く潜った感じがする。キャッチーさとか華やかさみたいな陽性のものよりも、ぐっと奥に潜った深みみたいなほうが強い。だから、“一見さん”なら『ASTERISK』のほうが好きかもしれないけど、そちらを聴いてる人なら本作も存分に楽しめるだろうなとも思いました。


しっかし…この、淡々としてるのに“表情”豊かな歌声は、凄いよなぁ。一瞬で引き込まれる。世界観が出来上がり切っているアーティスト。先天的なアドバンテージに妬みすら覚える(笑)。いや、もちろん、ご本人の努力によって磨かれた技術もあってこそだとは思いますが。


ぼくは、ドラマや映画を観るときに、あまり役者さんとして見ない(あくまで登場人物のキャラクターとして見る)ので、この方が役者さんとしてどんな作品に出演されているのかをあまり存じ上げませんで。唯一、『架空OL日記』のかおりん役だけ強烈に覚えていて(笑)。あの、ちょっと不思議なオーラを醸し出すかおりんとこのアルバムの三浦透子さんの雰囲気がどうしても一致しなくて、すごく面白い。






お気に入りは、

#03 『intersolid』

#04 『風になれ』

#05 『漂流』






この作品が好きなら、

・『愛のゆくえ』/きのこ帝国

・『too close to know』/showmore

・『うたびこ』/青葉市子

などもいかがでしょうか。






DLしてライブラリに追加!レベル(^∇^)











ぼくの、もう1つのブログもご贔屓に!