>オリジナルフルアルバム

>タイトル:NEE

>アーティスト:NEE

>リリース日:2021年 9月 1日

>記事作成日:2022年 7月 24日






聴きました!


気分だけでもロッキン2022”シリーズ、その⑫!

幼児の居る我が家では野外フェス参戦などもってのほかなんだけど、夏フェス気分は味わいたいという事で、ロッキンに参戦してた頃にやってた予習(まだ聴いた事のないアーティストの作品を聴いて、参戦するかどうかを決める作業)だけでもやって、気分を盛り上げたいなぁと。


今回はNEE。失礼ながらお名前も存じ上げなかったんですが、男女混合4人組のロックバンドだそうな。ご自分たちでイベントをやっていたり、ライブも沢山されているようですし、いわゆる“ライブバンド”ってヤツなんでしょうなぁ。




『全校朝会』

上記の推測から、勝手に“ライブに注力=ライブバンド=ラウドロックバンド”みたいな三段論法を完成させちゃっていたので、この曲を聴いて、びっくり(笑) そう来るか!


『第一次世界』

うん、やっぱりその路線なんだな。一旦認識を正してしまえば、違和感は無し!

凄く賑やかで、でもシニカルで。ありとあらゆる音がして情報量盛りだくさんなんだけれども、それが整然と並べられているから凄く聴きやすいんだよな。このアプローチは、米津玄師さんに近いかも。


『アウトバーン』

前曲はオケの雰囲気に注目が行ったけど、ぼくは結局、メロディラインが好きなのかもしれない。サビ以外も、どこを切り取っても例外なくキャッチー。しかも、音符の数に対して言葉数が多くて、でもそれがやはり“整然と”並べられているため、凄く気持ち良いんだな。数学的というか、幾何学的というか、右脳的というか。


『下僕な僕チン-元気ver.』

それ以外にナニver.があるんだよっ!という(笑) いや、ここは敢えて謎を謎のままにしておくんだ。

音の数も、言葉の数も、引き続き常識外。いや、これ、どうやってライブで再現してるんだ? デスクトップで組み上げた音楽をPAさんに再生してもらうスタイルしか思いつかないんだけど(笑) でも、生音が軸の“バンド”なんだよね…? ライブだとどう変わるのか(もしくは一切変わらないのか)、そういう意味でフェスで参戦してみたいわ。


『You are はっぴー』

ひとっっっつも“はっぴー”じゃなさそうな曲…「急にどうした⁉︎」ってくらいに雰囲気を変えて、音の“種類”も“量”もグッと絞られた、不穏な空気が漂うミドルチューン。なんて言うんですかね…わらべ歌みたいな感じの、そこはかとなく怖さが漂う曲。ここまでの曲が一様にわちゃわちゃしていたので、急にこの曲が聴こえてくると背筋が凍るような気持ちになる…。

いや、それが、まったくもって「悪くない」んだ。クセになる。


『九鬼』

サウンド(アレンジ)に関しては序盤のテイストに戻って、でも曲に漂う雰囲気としては、前曲のような得体の知れない怖さみたいなものがちょっと残ってる感じ。こちらは、ヒトこわ的な怖さなのかな。なんか、シニックが満ち満ちている感じ。


『ボキは最強』

そうかそうか、最強でしたか。それはそれは。

…正直ちょっと、ホッとする感じあり(笑) ここ2曲の“毒素”がぼくには強過ぎたため、このくらいの曲でもほっとする。この曲だって毒っ気は強めなんだけど、アレンジがキャッチーなもんで、安心して聴ける。

…というか、若干、RADWIMPSみが強過ぎないか?(笑)


『夜中の風船 Mark Ⅱ』

なんか、ここへ来て、凄くバンド感の強い曲へ。序盤の、シーケンスが無いとライブでは難しいんじゃないか?という曲調もそれはそれで好きだけど、バンドの音が真ん中にあるこの曲も好き。


『本当は泣きそうです。』

ここまで、随分と攻撃的に、或いはシニカルに、或いは一方的に音楽を展開する流れで進んできたアルバムなので、この曲タイトルが、バンドの心の叫びのように聴こえてしまう(笑) 口が悪いヤツ程、強がって突っ張ってるヤツ程、本心ではナイーブだったりするじゃないですか。その感じ。いや、実際には、別にそういう歌詞でも無いんですけどね(このバンドは…というかこのバンドのソングライターは、歌詞で自身の心境を吐露したりは絶対にしなさそうな気がしてならない)。


『因果オウホウ』

なんか、キッズ向け番組のオープニングテーマとかで聴こえてきそうな感じ。歌詞的には全然違うけど(笑) “おもちゃ箱をひっくり返した”感の強い、キャッチーにゴッチャリした音。凄く情報量が多いんだけど、凄く分かりやすい。


『ぱくちー』

なんか、若干“音頭”みたいなリズムの曲ですね。親しみやすくて。まぁ、言ってる事は相変わらず率直で辛辣ですが。

アレンジは結構好きかも。程よく柔らかくて、圧倒的に耳馴染みが良くて。

一方で、歌詞には(この曲に限らずだけど)棘があって、しかもそれはホッケの開きの背骨みたいなゴツい(でも身から剥がしやすい)ヤツじゃなく、サンマの小骨みたいな細かなもので。なんか、この辺ともなってくると、ちょっとそれが聴いてて疲れるようになってくるんだよなぁ。


『不革命前夜』

…ただの夜じゃねーか!と、タイトルだけ見たら突っ込まざるを得ない(笑) 

メロ、ハンバーグみたいに万人ウケしそうなキャッチーさがあるのに、“バルサミコ酢ベースのバター醤油ソース”をかけましたみたいなトリッキーな要素が端々にあって、一筋縄じゃないのが好き。耳馴染みの良さの中にひと匙ずつ振りかけられた“焦燥感”と“皮肉”がスパイスとして効いているアレンジも、好き。そういうオケの上だと、サンマの小骨的な棘を持つ歌詞もそれ自体が“歯ごたえ”として良い方向に機能していて、歌詞も好き。


『ビリビリのーん』

急に、ギターロックバンド的な曲が始まってびっくり(笑) まぁ、ギターが効いてはいるけど、全体的には変わらずミクスチャー的なアレンジですけどね。

ギターだけでなく、リズム隊も存在感があって良いですね。聴き応えがガツンと来る。この曲のバンドアンサンブル、好きです。


『こたる』

3連のリズムが感傷を誘う、エモーショナルなミドルバラード。適度に“しみったれた”歌詞がその感傷に絶妙に噛み合っていて、哀愁みたいなものが曲全体から滲み出てくる感じ。そう、「そう聴こえるように表現している」というよりも「滲み出ちゃってる」感じが良いんだな。


『歩く花』

フツーに受け取ったらファンタジー感のある曲タイトルなんだろうけど、このこのバンドの作品という前提で聴くと、なんか怖い(笑)

サウンドは、鋭角に。リズムや雰囲気が次々に変わっていって、イメージ的には組曲的というか、むしろもはやメガミックス的とすら言えるかもしれない。


『帰りの会』

一曲目の感じから推測して、てっきりアウトロ的インスト曲なのかと思ったけど、ガッツリと歌モノだった…。

学生時代の情景を想起するSE(?)が端々に。その感じにぼくの中のセンチメンタルが爆発するんだけど、でも、学生時代の事をこんなにセンチメンタルに受け止めるのって、きっと学生時代からもうだいぶ遠く離れた人なんだろうなって思ってほろ苦い気持ちになる(笑)




そんな、計16曲。


「相当にヒネクレたバンドだな」というのが、率直な感想(笑) 「音楽表現として」というよりは、「ヒネクレた性格の奴が作ってる音楽」という印象。コレ褒め言葉。

聴き手の事なんか一切見えてないみたいに、とにかく一方通行な音がする。「とにかく、俺(たち)はこんな音を鳴らしたい!」「こんな事を言いたい!」という事のみで成り立っているような。それを聴いた相手がどう受け止めるかなんて事は意識せずに、音を編み言葉を紡いでいる印象。もちろんご本人たちがどのように考えながら制作をしているかなど知る由もないですが、受け手としてのぼくは、そのように感じました。

ちなみにこれらは批判ではなくて。近年は、聴き手の受け取り方を優先して(率直に言っちゃうと“バズる音楽”を作ろうとして)器用な曲作りをする人たちが圧倒的に多くなっている中で、こんなにも自分たちを貫くスタイルでやれるというのは凄い事だと思ったんです。しかも、周囲がモノを言えない大御所という訳でもなく、まだ若手(多分)なのに(しかも、ビクターなんて名門に所属してるのに)。商業的な成功よりもやりたい事を貫く事を優先しているように見受けられて、そこが好感。


…ただ、聴いてて疲れる(笑)


イメージ的には、“シングル曲(真面目曲)を省いた米津玄師” “皮肉っぽい曲だけを集めたRADWIMPS”って感じでした。あくまでも個人的な印象だし、決してパクリだ二番煎じだという話がしたい訳ではないです。シンプルに、系統のおはなし。


フェスでは、“怖いもの見たさ”的に行ってみたい気はする。






お気に入りは、

#02 『第一次世界』

#03 『アウトバーン』

#12 『不革命前夜』






この作品が好きなら、

・『RADWIMPS 4〜おかずのごはん〜』/RADWIMPS

・『diorama』/米津玄師

・『PEOPLE』/PEOPLE 1

などもいかがでしょうか。






サブスクにあれば聴くかな…レベル(^_^;)












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