>ベストアルバム
>タイトル:Go!! Somewhere!!
>アーティスト:ウソツキ
>リリース日:受注生産/2021年 11月
配信/2022年 2月 14日
>記事作成日:2022年 5月 22日
聴きました!
先だって、ボーカル•竹田さんのソロユニットというカタチになったウソツキ。
音源は毎回チェックしていますが、ワンマン等には行った事がなくて。正直“フェスに出てたら観に行く”くらいの距離感ではあったのですが…楽曲はもちろん大好き。更にはロッキンにて、その立ち居振る舞いから照れを完全には排除出来てない感じの初々しいステージングを何年か連続で観ていて、親戚の子が頑張ってるのを見るようなそんな気持ちになってたんですよねぇ。だから、メンバーがちょっとずつ減っていく過程を見たりしながら、なんか無性に切ない気持ちになっちゃって。
…この方(々)はバンドマン、そんな憐れみみたいな視線で見て欲しくなんかないであろう事は分かるんだけど、なんかね。
だから、このベスト盤も、なんか凄く感傷的に聴こえてしまって…。
『ミライドライバー』
元々、線が細めというか…4人組バンド(当時)ではありつつも、“音圧でぶん殴る”というよりは“テクで聴かす”系の佇まいのバンドのイメージがあって。この曲なんかは、その最たるものかもしれない。メロディアスで、程よくダンサブルで、そしてほんのり控えめ。もしかしたら、アレンジやプレイにもうちょっとだけ“グイグイ感”があったなら、今はもうちょっと違うアーティスト活動をしてたかもしれないなーとか思ったり思わなかったり。優しくてマイルドでちょっと控えめな感じが、凄くこのバンドらしくて“持ち味”なんだけれども、優等生過ぎたのかなぁ。
いや、大好きなんですよ?この曲。
『金星人に恋をした』
そういう意味で言うと、この曲もそうなのかな。よく言えば軽やかで、悪く言っちゃうと“厚み”に欠ける。ギターのキラキラ感にはときめくし、BUMPを彷彿とさせるところもあるんだけど…リズム隊にもうちょっと存在感が欲しいような。カレーで例えると…決して「もっと激辛に!」と言いたいのではなくて、「もっとコクが欲しいな」という話かなー。美味しいんだけど、ちょっとだけウスターソースを足したくなる(笑)
『夏の亡霊』
この曲なんかは反対に、さらりとした軽い味付けがガッチリはまってると感じる曲。こういうタイプの曲でリズム隊が主張し過ぎると、やり過ぎ感が出ちゃうというか。カフェオレにクリープ足しちゃう感じというか。
この曲や次の『0時2分』のような繊細でスタイリッシュな曲、大好きなんだよなぁ。そして、だからこそやっぱり思うのは、アップテンポな曲ではもっとリズム隊がゴリゴリにやっちゃってほしかったなぁという事。ロックな曲がちゃんと骨太にロックする事で、こういう感じの曲たちの線の細さが“儚さ”とか“繊細さ”とか“美しさ”みたいな聴こえ方に繋がって、よりドラマチックになっていったような…。
『0時2分』
という訳で、この曲。この曲も、前曲同様に線が細くて華奢な感じがして、それが聴き手の心の敏感な部分をツンツン刺激してくる曲。
この曲、確か、ギタリストさんが抜けて3人編成になってからの最初の音源だったような。それまでのウソツキは、どこか過度に前向きだったりポジティブな事を歌おうとしていたりする雰囲気があり、ちょっと“構えている”印象を受けたのですが…未練タラタラ、カッコよさのカケラもない歌詞を出してきたところに、なんか凄く好感を覚えた記憶があります。やっぱり、明るいだけの人も前向きなだけの人もポジティブなだけな人も存在はしてなくって、人それぞれの影を、陰を、そして暗さを抱えている訳で。その両方を表現出来るアーティストを、ぼくは好きなんです。
『コンプレクスにキスをして』
ライブでの、ボーカル竹田さんのMCなんかも踏まえて聴いた時に、この曲の歌詞が竹田さんが、そしてバンドが一番言いたい事なんじゃないかなーと感じるのです。多分、ご自分たちの事を“完全無欠のロックスター”だなんて思ってなくて、むしろその逆…まさにコンプレクスを原動力にして音楽に昇華するタイプのバンドだと思っているので。そう考えながら聴くと、そんなバンドのデーソングに聴こえてくる。あくまで恋愛をテーマにして歌詞は展開するんだけど、多分、恋だ愛だに限らない信念なんじゃないかなーと感じます。
ちなみに、この曲はリズム隊(特にベース)の存在感が強いミックスになっていて、凄く聴き応えがある。
『旗揚げ運動』
何だかんだで、ウソツキの中でトップレベルに好きな曲。ちょっと気恥ずかしい程に甘酸っぱい歌詞も、ライブでギタリストさんが先導(?)するカタチで展開する“旗揚げ運動”も、それを自分たちでやらせてるのに自分たちがちょっと照れてる感じも。Cメロ(って言うのかどうかもビミョウだけど)の「シャルウィーダンスっていう話です)も。もちろん、アレンジもプレイも。“甥っ子の頑張りを見つめる感じ”が一番強くて(笑)、だからもう大好きなんだ。気心の知れたメンバーが、バンド内であーでもないこーでもないと考えに考えて出来上がったライブパフォーマンスなんだと思うし、もう“一人組”になっちゃったらそんな空気感も感じられないんだなーという感傷が押し寄せてきて切ない。
『一生分のラブレター』
軽快なリズムに、爽快なアレンジが乗っかって、甘酸っぱい歌詞が展開する。ぼくは、このバンドにおいてこの曲はひとつの“完成形”なのかな?と思っています。この曲と『恋学者』の2曲を聴いて、「これは、フェスで観に行かねば!」と決めたもんなぁ。
この曲に関しては、クドさは無いけど存在感のあるリズム隊が印象的で。他の曲たちと同様にスタイリッシュではあるんだけれども、バンドの“圧”も感じられて。だから特に好きです。
『恋はハードモード(Album Mix)』
この曲が配信リリースされた時は、なんかスカッとしましたねー。なんちゅーか…真面目が取り柄の少年が、ある日茶髪にしてきた感じ(笑) それまで、凄く素朴で若干控えめにすら感じられたバンドが、“頑張って”はっちゃけた感じ。そのハジケっぷりには不慣れなぎこちなさは残っている一方で、「あぁ、音楽の新しい楽しみ方を見つけたんだなー」っていう感覚もあって。
…って、やっぱり、完全に甥っ子を見る目線だ(笑)
『ピースする』
あれ?ぼく、この曲、初めて聴いたかも。
率直に言っちゃうと…バンプの影響強過ぎないか?(笑) 声の出し方が完全に藤原さんだし、シンプルなリズム隊にメロディアスなギターが乗る武骨なアレンジにも初期のバンプを感じるし、歌詞の“凄く巧い事言ってる感”にもバンプの影が…。
パクリだなんだとネガティブに言うつもりはないですよ? むしろ、憧れのバンドに近いディレクションをしてしまう事なんてのには自分にも散々心当たりがあるので、そういう甘酸っぱさを追体験出来るという意味でも凄く良い曲だと思います。
『恋学者』
今回のベスト盤、作成にあたってリマスターとかしてるんですかね?(まったくしてない訳はないと思いますが、そう言う事じゃなくて、『リマスターver.』と強調するようなレベルのソレの事です)。それこそ低音のダイナミズムが増してる気がするし、ギターの聴こえ方もより“不純物”が少なくなってるように聴こえるし。マスタリングが理由なのか、この曲順で聴く事で“聴こえ方”が変わったのか。
“真面目くんの最大限のユーモア”みたいな表現の歌詞が、凄く好き。
『本当のこと』
アコギが効果的に使われてるなぁと思います。曲(歌詞、メロディ)の何ともナイーブで儚げな雰囲気が、アコギの音色によって強調されていて、いい感じ。リズム隊も、そんなふうにボーカルとギターが醸し出している世界観を、うまく受け止めて“増幅”させている印象です。
『過去から届いた光の手紙』
アップテンポでキラキラ感のあるポップチューン。やっぱり再び、「もうちょっとリズム隊が“効いて”いてもいいのになー」と感じました。ギターもレスポール的というよりはテレキャス的な軽やかでメロディアスな佇まいだし、ボーカルも“声量で勝負”というよりはテクニックな感じがするので、そことのバランスを考えてリズム隊も控えめにしてたりするのかな…? まぁ、軽やかで爽やかな空気感を強調するために敢えてそうしてるのかもしれないし、この曲単体で聴くなら全然悪くないMixなんだけど…こんな感じのアップテンポポップロックチューンが、一様にそんな感じに聴こえて。既視感を覚えてしまうところがあるというか。
『惑星TOKYO』
フルとしては2作目のアルバムに収録されていた曲。でも、デビューからはもう長くなっていたし、EP盤も含めると結構な作品をリリースしていた時期の作品。だからなのか、アレンジもだいぶ凝って…というか、“聴かせ方”が分かってる感じがする曲ですね。ギターのかぶせ方だったり、間奏にコーラスを入れて間延びを防ぐ感じだったりとか。凄くスタイリッシュで、尚且つ聴きやすい曲。ガッツリ肉肉しいのにクドくない、おろしハンバーグみたいな曲(笑)
『名もなき感情』
相も変わらず人懐っこくてキャッチーなボーカルのメロディラインだし、この曲に関してはそのメロディラインへの言葉の充て方が特に秀逸。テトリスみたいに、メロに言葉がかっちりハマってる。だから感傷的な歌詞の曲なんだけれども、聴くとなんかちょっとスッキリする感覚がある。それってバラードとしてどうなのか?ともちょっと思うけど(笑)
『1、2、3、』
ギターの音が底抜けに爽やかで、尚且つ甘酸っぱくて。青春を煮詰めるときっとこの曲になるだろうなっていうくらいに、青春な曲。この曲を聴いて胸が締め付けられるのが10代、ほろ苦く感じるのが20代、甘酸っぱく感じるのが30代…ぼくにはそんな感じがする(※個人の感想です)。10代の頃のトキメキを、やっぱりまだ20代くらいはね、どっかにトゲが残ってて、おおらかな気持ちで聴けないところがあるんじゃないかなー。それが30代ともなると、「いやぁ、そんな時代もあったよねぇ」と笑い飛ばせる。
『ラブソングは無力だ』
「ラブソングは無力だ」「ラブソングは死んだ」…センセーショナルなフレーズが、これでもかってくらいに“まぁるい”メロと音に乗っかって。そのフォーマットが、このバンド(そしてこのリリシスト)は本当に好きだなーと思います。で、実際、その面白い違和感にキュンとしちゃう訳で。
『新木場発、銀河鉄道』
このバンドらしい、ファンタジックで優しい雰囲気の曲でシメ。まぁ、やっぱりトリはこの曲なんでしょうなぁ。そんなにこのバンドに詳しい訳ではないぼくだけれども、この曲が特に大事な作品なんだろうなーというのは分かってる。
ギターの使い方に、「ほー、すげー」と思った記憶があります。
そんな、計17曲。
「楽曲の良さは確かなんだから、この先の活動にも期待!」みたいに物分かり良くまとめる事は簡単なんだけど…心配な部分は正直ありますよねぇ(苦笑) “不安”じゃないんだ、“心配”なの。それは、「アイツ彼女と別れたって聞いたけど、ちゃんとメシ食えてんのかなー」とか、「災難続きだけど、カラ元気で無理しないかなー」とか、そういうヤツ。ホント、甥っ子の心配する感じ(笑)
コンポーザーとしての才能は確かだと思うし、歌詞にも独特の魅力がある。だからそんな事を不安視してる訳じゃなく、「竹田くん、大丈夫かなー」って、そっち。知り合いでも親戚でもないのに。
ソロユニットになってから初の音源『x分の1』は、打ち込みで組み上げたポップチューンでしたね。アレはアレで好きな雰囲気だったけど、今後はあまり“ソロユニットなので”という事を意識せずに、サポートミュージシャンも交えながらバンドサウンドのダイナミズムも残していってほしいなぁと思ったりしました(サポートミュージシャンだってタダではないので、色んな意味で難しさもあるでしょうけど)。
お気に入りは、
#01 『ミライドライバー』
#03 『夏の亡霊』
#04 『0時2分』
#05 『コンプレクスにキスをして』
#06 『旗揚げ運動』
#07 『一生分のラブレター』
#08 『恋はハードモード(Album Mix)』
#10 『恋学者』
#13 『惑星TOKYO』
#16 『ラブソングは無力だ』
この作品が好きなら、
・『CAMPFRIE』/メレンゲ
・『POOTLEG』/Chicago Poodle
などもいかがでしょうか。
CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/
…受注生産でリリースした事を、知らなかった。
ぼくの、もう1つのブログもご贔屓に!