>オリジナルフルアルバム

>タイトル:E

>アーティスト:奥田民生

>リリース日:2002年 9月 19日

>記事作成日:2022年 4月 16日






久しぶりに聴きました!


これを書いている今日は、今シーズン初めて、上着なしで出勤した感じの暖かさで。「春になったなぁ…」と実感。

世の中、春の歌といえば各種桜ソングや『サヨナラバス』(ゆず)、『春の歌』(スピッツ)、『CHE.R.RY』(YUI)、『ハルノヒ』(あいみょん)etc星の数ほどありますが、ぼくは結構、本作収録の『花になる』が浮かぶんですよねぇ。直接的に春の風景描写がある訳でもなければ、出会いや別れを歌ったものでもないのに。多分単純に、ガキンチョの頃のぼくが春先に繰り返し繰り返し聴いてたっていうだけなんですけどね。

こんなにうららかな春の日には、『花になる』がよく似合う。


ぶっちゃけ、リリース当時はぼく的にはそこまで印象に残らなかったこのアルバムなのですが(すいません)…今回聴き直したら、あの時代の熱と、圧と、衝動とが蘇ってきて。気持ちがアツくなって、それと同じくらい切ない気持ちになりました。懐古趣味と言われれば、否定はしない。




『俺は知ってるぜ』

90年代中頃〜2000年代初頭にかけての、いわゆる“J-POP”というものの黄金期の音がする。野太い低音は、だけど現在の流行りの音楽のようにトリミングされたお行儀の良い音とはまるっきり違って粗野で、激しく、荒々しく、最高に重たい。最近の音楽が針で刺すようなシャープな衝撃だとしたら、この曲は金属バットでフルスイングするような衝撃。“どっちが正解”なんて無いんだろうけど、ぼくはやっぱり、金属バットでボッコボコにぶん殴られたいタイプ(笑)

ロックンロール!!!!な曲。


『まんをじして』

今回、『花になる』が聴きたくて本作を再聴したワケですが、なにげにこの『まんをじして』という曲も大好きなんだなぁ。ぼくは、『股旅』の辺り以上にこの時期のほうが“奥田民生の黄金期”だと思ってる。もちろん、黄金期は幾つもあるとは思いますが。

これもまた、リズム隊がラウドで。でも、圧では敵わないはずの低音に押し負ける様子が一切ないギターもまた、最高にカッコいい。各楽器(ボーカル含む)の総力戦といった様相のロックチューン。

一曲目からの流れがまた最高なんだなぁ。


『花になる』

今回のお目当て。これもまたバンドの厚みが堪能出来る曲ではありつつ、キーボードなんかも重なって非常にキャッチーなアレンジ。言い方は悪いかもしれないけれども“テレビ的”というか、マスに響く人懐っこさがある。

ボーカルはダブルトラックかのかな、存在感もありつつまろやかさというか“協調性”もある感じが、曲のキャッチーさを際立たせていると思います。

うん、やっぱりいい曲だ。気分も上向く春先に聴くと、なおさら前向きな気持ちになれる曲。


『花になる〜黄昏のテーマ〜』

この辺から雲行きが怪しくなる(笑) ここまでは間違えようの無いロックチューンが続いてきて、「今回はそういうヤツなんだな」と思っていたところでこの曲。キーボードが主役の、『花になる』のインストバージョン。いや、今になれば(ぼくの側に)こういう遊び心を楽しめる余裕が出来たから良いけど、ガキンチョにこのユーモアは分からんて!(笑) 曲自体は哀愁たっぷりでいい曲なんだけど、なぜこの曲がこの位置に⁉︎っていうね。


『E』

まぁ、『黄昏のテーマ』だけなら、『花になる』とこの曲の間を取り持つクッションという理解も出来るんですけどね。後々出てくる『鼻とフラワー3世』とか、『●週の●曜日』とかが…。

…という事で、哀愁溢れる前曲からいい感じに繋がる、落ち着いた雰囲気の曲。アコギの音が乾いていてカッコいい。ボーカルラインは割と湿度を感じるというか、じっとりとねっとりとした熱を感じる。派手な曲ではないけど、なんか頭に残るミドルチューン。


『モナムール』

これは、ベースの存在感が凄い。実際の製作過程なんて知る由もありませんが、まるでベースラインに対して他の楽器(及びボーカル)が肉付けされていったようにすら聴こえる程ですよ。

…とか言いつつ、ヴィンテージ感の強いギターの音色もそれはそれで物凄く存在感があってカッコいいんだなぁ。

更には、音の質感も好き。間違いなくロックンロールのアンサンブルなんだけど、レコードの音みたいに“閉じた”感じのアナログサウンドには、ダンディズムを感じてしまいます。

大人になって、良さがわかるようになる曲(笑)


『鼻とフラワー』

OT特有の熱い…語弊を恐れずに言うなら「熱苦しい」程の粘っこいロックサウンド。歌詞がこんなに“記号的”なのに、それでもそれを補って余りある程の熱量。そこが面白いんですよねぇ。一昔前に流行ったような“頑張れ頑張れ系” “俺たちは俺たちは系”の応援歌系アーティストがやってるような熱量で、適当な事(?)を歌ってる。ニヤニヤが止まらんのですわ。


『鼻とフラワー三世』

コーラスは、ABBA的とでも言うんですかね? 古き良き時代のUS音楽を想起するような、もしくは『ルパン3世』で流れてくる音楽的というか。一方で、奥田民生成分ゼロ(笑)


『御免ライダー』

この曲も、今回聴き直して初めてその良さに気付けたかもしれない。この曲に関しては、メロディは華やかでアレンジも分かりやすいキャッチーさがあって、「シングル曲でもおかしくないんじゃない?」という雰囲気なのでガキンチョのぼくでも食いついてておかしくないハズなんだけどなぁ。どうなってるんだ?ぼくのセンサー。

というワケで、疾走感もあるのにパワフルでもあって人懐っこくもある、最強のロックチューン。


『先週の月曜日』

先週の月曜には、ゲーセンにでも行ったんでしょうか…。そんな感じの、懐かしい系ピコピコ音のインスト曲。

“インタールード”と言うには、あまりにも存在感がある(笑)


『みんな元気』

野太くて、力強くて、程よくユーモラス。キーボードがいい感じにファニー。

ボーカルラインで言えば、このアルバムの収録曲の中でも有数の“歌モノ”と言えるかもしれない。


『野球で言うと』

これもまた、低音がズシンと響くサウンドが気持ち良い。パワーコードでガーっとやるようなロックンロールではないんだけど、でもこれは確かにロックンロール。泥臭さと、哀愁と、程々の毒っ気と、ひとつまみのユーモアと(いや、考え方によっては“100%ユーモア”なんだけれども)。


『哀愁の金曜日』

“哀愁”の割には快活なロックチューン。歌詞は、例の如くよく分からん(笑) それがいい。

野太いギターもイケるけど、この曲みたいに乾いた音も良いんですよねぇ。考えてみるとギタリストさんには、レスポール系のズッシリ音のイメージがある人(B'zの松本さんとか、スガシカオ

さんとか)とテレキャスター系の軽やかで乾いた音のイメージがある人(Mr.Childrenの田原皇帝とか、ポルノグラフィティのハルイチさんとか)とに分かれる気がするんですが、そういやOTにはあまりその辺のイメージがない。レスポール担いでても違和感ないし、テレキャスとかストラト持ってても違和感ない(近年はアコギのイメージが強いですけどね)。


『来週の日曜日』

来週の日曜にも、ゲーセンに行くつもりなのかな(笑)


『家に帰れば』

ちょっとシリアスな空気感のロックチューン。ギターの音は先鋭的で、ベースはうねりにうねる。音の感触的には他の各曲と地続きな感じがするんだけど、この曲だけは凄くオケに緊張感が感じられる。使い分けが巧過ぎる。プロのプロたる所以を見せつけられる感じ。


『CUSTOM(JPNバージョン)』

OT風ロックバラード。この曲もこの後に入ってる『The STANDARD』も、括りで言うと同じ“ロックバラード”という事になるんだろうけど…カラーが全然違うから凄いですよねぇ。

いい意味で“小ぢんまりしている”というか、自分の行動半径内に収まるような雰囲気の曲。大仰な事じゃなく、大袈裟な事じゃなく、身近にある気持ちが歌われている感じがして好き。


『ヘヘヘイ』

この曲はね…いわゆる“シングル曲”なワケですが、当時ガキンチョだったぼくはTVCMでこの曲のリリースがアナウンスされているのを観てある種の衝撃を受けたんですよね…「肝心カナメのサビで、まさかの“ヘヘヘイ♪”しか言ってねぇ!!!」って(笑) 当時は“シングル曲”という存在が今とは比にならない程に価値の高いものであって、そのアーティストの“名刺”や“顔”だった訳だし、セールス(経済的効果)の軸だったし、とにかくどのアーティストにとっても特に重要なモノのはずだったんですよね。いかに、当時既にトップアーティとであった奥田民生と言えどもそのハズなんだけど…「ヘヘヘイ♪」しか言ってねぇ!!!っていう。もっと時間が経ってから、作り込まれた音であったり独創的なアレンジであったり、もっといろんな要素に耳と目が行くようになってからはフツーに好きな曲なんですけど。とにかく“初対面”では、「ヘヘヘイ♪」しか言ってねぇ!!!という…(笑)

パッショナブルかつパーカッシブルなこの曲、今は大好きです。熱帯のオーラを感じる。


『The STANDARD』

この曲の第一印象は「あ、岡田民生が奥田民生をしてる」だった気が。OTにとっては、こういうストレートなロックバラードってそう多くはない気がするんだけれども、でもなんかこういう重厚で濃厚なロックバラードのイメージが結構あって。だから、そんな“奥田民生感”を感じて、そういった感想になりました。


『ドースル?』

ギターのカッティングが心地良い。適度にユルい歌詞はもっと心地良い。対して、ボーカルと演奏陣は“全力投球”って感じですね。熱が凄い。こういう曲を、ぜひライブでナマで体感してみたいもんだなぁ。“聴く”っていうより、“浴びる”なんだろうなぁ。




そんな、計19曲。


曲数だけ見るとゴツいアルバムのようですが、そこは『●週の●曜日』シリーズがあるんでね(笑) 1時間ちょっとのボリュームの中にあらゆるタイプの曲が詰まってるので、聴き応え充分。聴き応えが充分なのにクドくはならないところが、民生さんのアルバムの凄いところ。


うん、やっぱり、ぼくの中での一番の“黄金期”は、このアルバムの辺りだな。

うららかな天気の今日、春と奥田民生を満喫です。






お気に入りは、

#01 『俺は知ってるぜ』

#02 『まんをじして』

#03 『花になる』

#06 『モナムール』

#09 『御免ライダー』

#16 『CUSTOM(JPNバージョン)』

#17 『ヘヘヘイ』






この作品が好きなら、

・『CHRONICLE』/フジファブリック

・『夢の日々〜SERIOUS & JOY〜』/真心ブラザーズ

・『ハネダ!ハネダ!ハネダ!』/SUNNY CARWASH

などもいかがでしょうか。






CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/











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