>オリジナルフルアルバム
>タイトル:エス・オー・エス
>アーティスト:スカート
>リリース日:2010年 12月 15日
>記事作成日:2021年 7月 19日





久しぶりに聴きました!

スカート・澤部渡さんの『20/20』『トワイライト』等のメジャー作品が大好きなので、ある時「インディーズ時代の作品も聴きたい!」と思って(その時点で手に入るものを)一通り購入したんですよねぇ。
本作は、幾つもあるインディーズ作品の中でも最初の作品だそうな。ジャケットも複数あるらしく、色々と型にはまらない、面白い作品。



『ハル』
アンニュイな雰囲気が独特な、トロンとした空気感の曲。ぼく的には“春ののどかさ”というのもビミョウに違う、独特な空気だと感じます。感傷が強めなのかな…「歌詞の」ではなく、「アレンジの」。

『花をもって』
メジャー以後の澤部さんの作風そのまんまの、爽やかで洒脱でほんのちょっっっとだけシニカルな、“あの感じ”の曲。ヴィンテージ感のあるギターの音色も、とにかく軽快なアコギのストロークも、シティポップ 的なテイストが強くて、聴いてるだけでちょっとおしゃれピーポーになったと錯覚出来る(笑)

『Taroupho』
一転して、マニアックさが炸裂。デジタルが基調の淡々としたビートに、ユーモラスな“ウワモノ”が乗る。呟くみたいなボーカルから始まって、オクターブが上の明らかにキーが合ってないコーラスが重なって、どうやら澤部さん以外の歌声も重なって、そしてグロッケン(?)とか何らかの簡易楽器的な(グロッケン??)ものも乗っかって、なんか小学生の合奏みたいになっていく。ユニーク。

『スウィッチ』
前曲とは別の意味で、マニアックさが炸裂する曲。どの楽器もどこかトボケたような音が鳴りつつ、ギターだけは鋭角でカッコいい系。そこがいい感じにアンバランスで面白い。ユーモラスな曲。

『千のない』
軽快なアコギのストロークからスタート。全体的に、パーカッシブルで軽快な曲ですね。
なんか…「この人にも若い頃があったんだな」って感じ。メジャーデビュー作にしてあの完成度のものをリリースした方なので、最初から完璧な人のように感じてしまいますが(笑) この曲は、凄くキャッチーなんだけどボーカルの荒削りさが際立っている感じがして。そこに、親しみを感じたりする。

『本を読もうよ』
非常に、なんというか…だる〜んとした感じの曲。イメージ的には、梅雨のじっとりした休日に、扇風機の風にあたりながらゴロゴロと読書しながら聴きたい。あまりにものんびりとゆったりとした雰囲気なので、歌詞の内容があんまり入ってこないかも(笑)

『3と33』
珍しく、ちょっとアシッドなテイストのアッパーチューン。でも、ぼくが“そういう聴き方”をしちゃってるからだとは思うんだけど…澤部さんのスタイルに、こういう感じのアシッドなテイストは合わない気がする…。クラスの優等生が、ある日突然ワルに目覚めたような似合わなさが(苦笑) 少なくとも、歌い方と声質からは、こういう荒々しい歌い方は似合わないと思う…。
※個人の感想です

『ディスコミュニケーション』
ちょっと、ビートルズの時代の作品みたいにアナログ感が強い質感。“アナログ感”なのかなぁ…安いスタジオで、モニターの返りを直接聴いてるみたいな感触とも言えるかも。この感じ、好きだなぁ。

『おまえ』
曲調は全然違うけど、この曲も音の質感が好き。それこそモニターに直で繋いだ音をヘッドフォンで聴いてるような感じがする。
歌詞的には、これはもはや哲学とすら言えるのかもしれません。

『S.F.』
音の質感がまたガラリと変わって。アレンジのテイストも含めて、ちょっと荒井姓時代のユーミンの曲みたいな、洒脱なシティポップを感じますね。憂いがあって、でも圧倒的にキャッチーで。
エレピがいい味出してるんだ。

『ポップソング』
これは、ポップソングだ(笑) まごう事なきポップソング。ボーカルラインが凄く人懐っこい。そして、サウンドが良い意味でチープ。それこそスタジオでモニターの音を聴いてる感じ…というかアレだ!学園祭の軽音部ライブで、自分たちのバンドの音を録音しといて後から聴く感じ! そんな感じの青春チープ。はぁ、甘酸っぱい。

『ゴウスツ』
アルバム『アナザー・ストーリー』のバージョンは知ってましたが、こちらは女性ボーカリストさんとのツインボーカルバージョン。今手元に歌詞カードが無いからクレジット確認出来ないんだけど、この方、どなたなんでしょうか。あどけなさを感じさせつつも凛とした強さも見受けられるこの歌声、嫌いじゃない。

『わるふざけ』
ラストは、肩肘張らない雰囲気のこの曲。これも、セルフカバー盤の『アナザー・ストーリー』で再構成されてましたが、こっちの荒削りな造りのほうもそれはそれで味があって好き。なんか、好きにやってる感じがして、いい。



そんな、計13曲。

とにかく荒削りですね(笑) いや、“雑”とか“散らかってる”とか、そういう事ではないんです。けど、メジャー以降の洗練されたスタイリッシュな作風を想定して聴くと、物凄くハンドメイド感に溢れていて。
音大の卒業制作的な気持ちで作ったアルバムだそうですね。いくら音大生とはいえ、学生でここまでのものを殆どお一人で作り上げるってのは凄いし、ぼくが同じ年頃に自分(たち)で録って自分でミックスした音源よりは10の10乗倍くらい完成度が高いけど(笑)
「あの国民的俳優の、デビュー作でのチョイ役演技」みたいなのをチェックして楽しめる人には、この上ない作品。





お気に入りは、
#04 『スウィッチ』
#06 『本を読もうよ』
#13 『わるふざけ』





この作品が好きなら、
・『PICTURE』/王舟
・『Ni』/suzumoku
・『ばかのうた』/星野源
などもいかがでしょうか。





サブスクにあれば聴くかな…レベル(^_^;)
…無いけどね。










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