>オリジナルフルアルバム
>タイトル:タンデム
>アーティスト:冬にわかれて
>リリース日:2021年 4月 14日
>記事作成日:2021年 5月 28日





聴きました!

確認事項…バンド名が“冬にわかれて”で、アルバムの作品名が『タンデム』だとの事(笑)
ずーーーっと前、いっときハマってよく聴いていた寺尾紗穂さん。その寺尾さんが、ベースの伊賀航さんとドラムスのあだち麗三郎さんと組んでいるバンドが、“冬にわかれて”。バンドネームのキラキラネーム化は若手を中心に行くところまで行っちゃってますが、ベテランであるこの方々もまた、かなりパンチのあるバンド名にしましたね…。

本作はバンドとしての2作目との事。ぼくは今回初めてこのバンドの作品を聴きました。まず音楽情報サイトで偶然見かけたこのバンド名に興味を惹かれ、記事を読んだら寺尾紗穂さんのバンドだと知り、ジャケット(上記参照)を見たらなんか凄く雰囲気がある感じがして、だから「これは聴いてみなきゃ」と。



『もうすぐ雨は』
ベースの音がいいんですよねぇ…物凄い、アナログ感。独特の、角が丸いというか柔軟というか厚みがあるというか、そんな感じの音。このベース音を聴く為だけでも、本作を聴く価値がある。
寺尾さんの素朴な歌声が、リズム隊の洒脱な雰囲気と不思議な相性の良さを見せている曲。UK的な音質なのに、日本的な情緒が感じられます。

『rain song』
雨ネタ(?)が続きます。
この曲もやはり、リズム隊のアナログ感にシビレます。なおかつ、エレピの滲むような音色がそこに彩りを加えている。歌モノなのに、歌よりも音に耳が向く。そんな音楽はそうそうないです「もちろん、「歌が弱い」とか「歌はいらない」とかそういう事が言いたいのではない!)。

『揺れる』
ちょっと、雰囲気が変わって。可愛らしさと軽やかさが際立つポップチューン。オーガニックな音色と、透明感のある歌声に心が軽くなる。
あんなに幅を利かせていた(?)ベースが、この曲では歌とピアノの引き立て役に回ってる。引くとこ引ける、プロの技。

『静かな夜明け』
これもまた素朴な質感の曲。サウンドとアレンジは素朴な感じなんだけど、メロディにはなんかちょっと不穏な空気が混じる瞬間や、そうかと思うとひたすらに儚さを感じる部分が出てきたり…結構、表情豊かな感じの曲。

『tandem』
表題曲って事になるんですかね。ピアノの音色が素朴なんだけど艶やかで、なんだか印象に残るインスト曲。

『山のミルトン』
異国情緒が漂う…でも具体的に「どこの国」とか「どこの地方」って感じがある訳でもない、何となく漠然と「異国っぽい」って感じがした。海のほうってよりは山のほうだろうな(曲タイトルからのイメージってだけでなくて)。

『星の誕生祭』
こちらはなんだかちょっと、宮沢賢治の世界観っぽい感じ。田舎の素朴さと、宇宙のキラキラ感と、日常の延長線上にあるような哲学と。そうやって聴いていると、この曲自体が少し『星めぐりの歌』のような童謡的な佇まいに聴こえて来るような(曲が似てるとかいう話じゃないですよ)。

『高度200m』
再び、演奏が印象に残る曲。ピアノがなんか不安定(下手とかズレてるっていうのしまゃなくて、なんか漠然と心許ない気持ちになるという意味)な感じがして、それが歌声に独特な世界観を付与している。他の楽器も、ピアノと歌声が醸し出す世界観に寄り添ってる感じ。

『彷徨い』
タイトルはちょっとネガティブな匂いもする『彷徨い』ですが、実際には着実に地に足をつけて日々を生きる市井の人のような安定感と実直さみたいなものを感じさせる曲。可愛らしさと凛とした力強さ、ユーモアと生真面目さ、軽やかさと落ち着き…相反するふたつのものが両方違和感なく入ってる感じの曲。



そんな、計9曲。

思いがけず(と言ったら失礼でしょうが)良い作品に出会った…素朴さとシンプルさが土台にありつつ、プレイに魅せられる部分もある。片田舎にやってきたサーカスに期待せず入ったら、シルク・ド・ソレイユだった感じ(笑) もちろん、このバンドの方々を過小評価している訳ではなくて、アレンジであったりプレイであったり表現のアプローチであったりという意味で。隣人のような距離感で、テレビの向こうの事を見せてくれたような感じというか。

とにかく、ベースを始めとして音がどれもすんごい良かった! ぜひアナログレコードで聴いてみたかった…なーんて思ってたら、LPでリリースされているとの事。さぞ良いんだろうなぁ。





お気に入りは、
#01 『もうすぐ雨は』
#02 『rain song』
#03 『揺れる』
#07 『星の生誕祭』
#09 『彷徨い』





この作品が好きなら、
・『ホロホロ』/中山うり
・『ひと』/YeYe
・『1ミリのキセキ』/村上ゆき
などもいかがでしょうか。





CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/










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