>セルフカバーアルバム(になるのかな?)
>タイトル:アナザー・ストーリー
>アーティスト:スカート
>リリース日:2020年 12月 16日
>記事作成日:2021年 2月 8日
聴きました!
10周年記念の、企画盤。インディーズ時代の作品の再録作品だそうです。
“再録”と書いてあったので、てっきり「“再”度、収“録”し直しました(音源は過去のもの)」かと思ったんだけど、「“再”度“録”音しました」だったみたいで。単なる再編集盤じゃなくて、嬉しい!
『ストーリー』
柔らかいメロディに優しいボーカル。「これぞまさにスカート!」って感じの幕開け。爽やかで軽やかで、でもちょっぴり切ない。
『セブンスター』
“いわゆるロックンロール”っていうイメージともちょっと違うのかもしれないけど、骨太なバンドのアンサンブルには確かに普段のスカートの作風よりはロックを感じます。ネイキッド感というか、各楽器の音がダイレクトに伝わってくる感じ。
『返信』
ブラスが良い味。よくあるようなギラついていてセクシーな感じではなくて、圧倒的に洒脱で都会的な温もりのある音。
タイトなドラムスもモダンなエレピも、すべての音がシュッとしていて垢抜けてる。
『ともす灯 やどす灯』
跳ねるリズムに可愛らしさがあり、でもボーカル(歌・歌詞)には何となく歌謡曲的な叙情もあるように感じる。
曲としての統一感はあるんだけど、部分部分でその都度アレンジの“表情”が変わる、さらりと凝った造り。
『月の器』
本作中でも1、2を争う、爽やかな曲。「疾走感」という程あからさまにスピーディな展開ではないんだけども確かにスピード感があり、「ポップ」ではあるんだけど底抜けに明るいというのでもない程良い影が楽しめて…奥行きがある曲だと感じました。聴きやすいけど聴き流せないというか。
『おばけのピアノ』
タイトルからすると、NHKの『みんなのうた』とかで聴こえてきそうな“対象年齢”低めの曲なのかな?と思っていたのですが…そうでもなくて、いつも通りのスカートサウンド。
とにかくメロディが秀逸で、更にはサウンド(プレイ)もアレンジも凄くぼく好み。全体的には落ち着いていて豊潤な質感なんだけれども、ピアノを中心として遊び心もキマッてる。曲には可愛らしさがありつつ、でもそれ以上にセンチメンタル。あったかいのにキュンとする、絶妙なさじ加減。
『千のない』
軽快なギターと、それ以上に軽快なリズム隊と。晴れた休日、海岸線をドライブする時に良いでしょうね。「歌詞が…」とかそういう話じゃなくて、曲全体のイメージとして。
『サイダーの庭』
ゴキゲンな曲。もう、湿度ゼロ%の感じ(笑) USかUKかで言えば、完全にUSロックのテンション。
演奏はもちろん凄く巧いんだけれども、でも曲の雰囲気的には、仲間内でガレージとかで適当にセッションしてるような自由さと開放感を感じる。
『スウィッチ』
程よく歪んだギターが心地良い。そして、澤部さんの歌声が普段以上に自由で伸びやか。楽しくセッションしてる感じが聴いてるだけで伝わってきて、まるで自分もその場に居るような気持ちになります。
『わるふざけ』
演奏陣の、音で遊んでる感が凄い。凄く安定感のある演奏ではあるんだけど、楽しく奏でてる感じが伝わってくるんだよなぁ。
終盤、ぼくもパラララ♪って一緒に口ずさまずにはいられませんよ。
『ゴウスツ』
澤部さんの音楽は鍵盤とストリングスが主軸のようなイメージがありますが、ギターが意外と(?)主張してるんですよねぇ。もちろんテクニックはあるんだと思いますが、親しみやすいというか何というか、親近感を感じられる素朴さがあってそれがいいんですよね。
『さかさまとガラクタ』
何拍子の曲なのかすら分かりません(笑) 玩具箱をひっくり返したような印象の曲…でもあれですよ?その飛び出してきた玩具は、欠けたキン消しとか腕が折れたフィギュアじゃなくて、外国の知育玩具みたいなスタイリッシュな奴ですよ?(何言ってんだ)。
『すみか』
再び、「スカートらしい曲」というべき曲。エモーショナルではありつつも、あくまでスタイリッシュに、都会的に。
『花をもって』
エレピの音がしっとりと濡れていて、とても愛らしい。トガッたギターと艶々したピアノの組み合わせが、絶妙な心地良さを生んでいる。
ちょっぴり儚げなボーカルだけど、それすらもなんか映画のワンシーンを観るみたいで心が豊かになる感じがします。
『月光密造の夜』
“密造”っていうワードのインパクトね…物凄く、ダーティなイメージ。でも、そこにくっついてるのが対極にあるようなポップな言葉だから、なんか面白い。ファンタジックなのにふいにシリアスが混じる、宮沢賢治の童話みたいなイメージ。
曲自体も、キラキラとトガリがいい感じに混じった、気持ちいい曲。
『ガール』
ラストも、カラリとした気持ちの良い曲。大人っぽい曲やニッチな曲が多いスカートさんですが、この曲はなんかヤンチャな感じがします。これはぜひライブで聴いてみたいものです。
そんな、計16曲。
16曲も入ってるのにトータル50分とちょっとなんですね。通りで、一気に聴けちゃう感じがしました。
このセルフカバー作品が出ると聞いた時、「オリジナルのほうと聴き比べがしてみたいな」と思って、インディー盤も一通り購入したんですよね。もう手に入らないものも多そうだったけど、取り敢えず流通してるものは買って。
実際聴き比べた結果、思ったのは「結構違うな!」って事でした。オリジナルのほうは結構荒々しいタッチのものも多く、対して本作のほうは「メジャーな存在になって以降のスカート」の音がしました。
もちろんぼくはメジャーデビュー以降にファンになった者なので、本作に収録されているもののほうが断然しっくり来ました。が、オリジナルのほうは、それはそれで味わい深かったんだよなー。
そのうち、オリジナルのほうの感想も書こうっと。
お気に入りは、
#01 『ストーリー』
#04 『ともす灯 やどす灯』
#06 『おばけのピアノ』
#08 『サイダーの庭』
#15 『月光密造の夜』
この作品が好きなら、
・『Blue』/大橋トリオ
・『OMNIBUS』/キリンジ
・『20 years (B)』/the band apart
などもいかがでしょうか。
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