>オリジナルフルアルバム
>タイトル:Duality
>アーティスト:小林武史
>リリース日:1988年 11月 21日
>記事作成日:2021年 1月 19日





久しぶりに聴きました!

音楽家・小林武史をしるぞ!シリーズ⑮。
今回も、小林P自身の作品。今はもう“プロデューサー”としての仕事オンリーになってますが、“プレイヤー”そして“ボーカリスト”としての小林武史を知る事が出来る貴重な作品。
ちなみに…セールス的にヒット作とは言えないこの作品を、しかももうまったく異なる時期(リリースから10数年以上)に、中古CDショップで見つけて購入したのですが…それって、凄い確率ですよね〜。そんな経緯もあって、勝手に縁を感じている小林P(もちろん、ただの“いちリスナー”でしかないんだけど 笑)。



『Looking For America From The Kitchen』
今コレを書きながら思い出したんだけど…昔、Mr.Childrenの桜井さんがこの曲に言及していた気が。その内容はよく覚えてないけど…ぼくはこの曲を聴いて、キッチンにてアメリカを中心に動く世界への違和感みたいなものを想うという事への(しかも、バブルに浮かれる世の中で)、なんというか「面白さ」みたいなもので。それと似たような事を桜井さんも指摘していたような気がして、記憶の片隅に引っかかってたんです。
曲自体は、非常に淡々と展開しております。アルバムの“顔”と言うべき一曲目とは思えない程に、淡々としている。別の言い方をしたら、「このアルバムはセールスを狙ってないんだろうな」って(笑)

『ひまわり』
引き続き淡々としたサウンド。でも、特筆すべきは小林Pの歌声。「エモーショナル」というのともちょっと違うのかもだけど…なんか、凄く気持ち良さそうに歌ってる(笑) よく言えば「冷静沈着」、悪く言っちゃえば「何考えてるのか分からん」小林Pが、これ程分かりやすく伸び伸び歌っているサマは、かなり貴重かと。
…この人の場合、「そういうディレクション」の可能性もありますけどね(笑) 「開放感の溢れる歌い方こそが、この曲に合ってるので」みたいな。どこまでも“底”の見えない男、それが小林武史。

『His Crime』
シンセの使い方なんかには、サザンであったり桑田さんソロを思わせるような部分がありますね。音質であったりアレンジのアプローチはまだまだ“(昭和の)ポップソング”の匂いが強いけど、端々で“(90年代以降の)J-POP”の片鱗が感じられて、面白い。

『何秒か前に』
爽やかで、広々とした空気感の曲。プロデューサーとしての作品には、サウンドに関して言えば緻密でミクロな作り込み方をする印象があるのですが(歌詞については一貫して俯瞰の視点)、この時期のサウンドは結構広々として余裕があるものが多いなぁと、改めて気づいたりします。こんなに爽やかな小林Pは、激レア。

『変わらぬ想い -Sail Away With You-』
なんか、エモい…こんなに初々しく瑞々しい感傷を表現する小林武史って、かなり貴重なんじゃ…。
アレンジの面では、例えば元ちとせさんなんかを彷彿とさせる、オーガニックで東洋的な雰囲気を醸し出ている。歌詞は、割と直球に思いを伝える感じ。
この曲、好きなんですよねぇ。

『Curve』
ここからは再び、クールで都会的なサウンドへ。
歌声が、なんかセクシー。なんか若いな小林武史。
決して激しくはないんだけど、存在感のあるバンドのプレイも印象的です。

『Subway』
凄くオシャレなアレンジなんですよね。テクニカルで、なんかデスクトップ上で切り貼りしたみたいに先鋭的なサウンド。でもこの時代なのでそんな手法を使っているはずはなく、おそらくすべてアレンジの妙とプレイヤーの技量によるものなんだと思います。
とにかく都会的で、先鋭的で、クール。

『Strange Times』
幻想的…いや、“幻想的”とはちょっと違うのかな。夢の中みたいな浮遊感と美しさ。ふんわりとしていて、人肌くらいの温もりがあって、でも感触も無ければ掴みどころもない。そんな、不思議な曲。聴き終えたあと、「あれ、あの曲は夢だったのかな?」って(笑)

『水のパレード』
小林Pにとって、水というのは本当に大切なモチーフなんですね。あらゆるアーティストとのコラボの中で幾度となく用いられてきた水のイメージ。それがこの曲でも。
小林Pのボーカルが前に来ている、珍しい曲。小林Pの曲は、ボーカルよりもサウンドが前に来ている曲が多いので。

『Silent Voice』
ラストもまた爽やかに締めますねぇ。クールではあるんだけども、一方でとても感傷的。珍しく、ナイーブな感じを隠してないなぁとぼくは感じました。「完璧超人にも、弱いトコあるんだ」みたいな(笑)
この曲の小林Pもまた、気持ち良さそうに歌っとる。



そんな、計10曲。

うん、やっぱり、小林Pの歌声が好きだわ。
アレンジは言わずもがなの良さで、曲(歌詞やメロディ)も当時若手とは到底思えない成熟度で。でもそれはある意味で想定内というか、意外性というよりは「やっぱりね!」の範囲内なのですが…歌声の良さは、今回改めて気付いた、ある意味でもっとも“予想外”の収穫でした。

“太陽の匂い”が一切しない、インドアな音楽。ぼくはそれが大好き! 昼休みになると校庭ではなく図書館に行くタイプの、休日には渋谷じゃなくて神保町に行くタイプの、そんな人におすすめの音楽(笑)
…そんな音楽の作り手が、その後華やかさの極みみたいな男・桑田佳祐とヒット曲を量産していくんだから、人との縁や相性なんて分かんないもんですね。





お気に入りは、
#02 『ひまわり』
#03 『His Crime』
#05 『変わらぬ想い -Sail Away With You-』
#07 『Subway』





この作品が好きなら、
・『NEW MOON』/大貫妙子
・『風街ろまん』/はっぴいえんど
・『Three and Two』/オフコース
などもいかがでしょうか。





DLしてライブラリに追加!レベル(^∇^)
…実際にはCDでしか聴く手立てがありませんが。










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