>オリジナルフルアルバム
>タイトル:Strobo
>アーティスト:Vaundy
>リリース日:2020年 5月 27日
>記事作成日:2020年 8月 7日





聴きました!

ロッキン2020予習シリーズ!!!
…無くなっちゃったけどね。せめて気分だけでも。

今回も、“お初”のアーティストさん。お名前がこうなのでてっきりバンドか何かかと思ったんだけど、ソロアーティストさんなんですね。しかも、作詞作曲のみならずアレンジやらアートワークやらまでご自身でこなすという…まさに最新のスタイルのアーティストさん。



『Audio 001』
オープニングの、“曲”というよりもSEですね。

『灯火』
本編スタート。アコースティックサウンドが、だけど牧歌的な感じではなくて凄く都会的で先鋭的な質感。
ルーキーがこれをセルフプロデュースしているというのは、驚異的。一方で、“全部自身でやってる事の凄さ”を一旦置いといて“楽曲の評価”という意味で言えば、正直ちょっと、「他にも似た雰囲気のアーティストは居るよなぁ」という感じでした。オリジナリティという部分に重きを置いて聴いちゃうぼくの、一個人の印象でしかないんですが。
いや、すげーのは間違いないんですけどね。

『東京フラッシュ』
これもまた、アーバンでスタイリッシュなナンバー。深夜の首都高ベイエリアをゆったりドライブする感じ?…そんな事は殆どした事がないから、イメージでしかないけど(笑)
ピアノの音が艶かしくて、リズム隊がアダルティ。もう(年齢的に)充分な大人のぼくが、「オトナの音楽だぁ」って思うヤツ。

『怪獣の花唄』
こういう感じの曲もやるんですね。最初の何曲かは都会的で落ち着いた感じの曲調だったけど、この曲なんかはバンドで「いっせーのーせっ!」で音を出したようなヤンチャさのあるロックチューン…いや、音が恐ろしく整っているので、一発録りじゃない事は分かるんですが。イメージの話です。

『life hack』
この曲とは全然関係ないけど…ここ数年で急激に浸透しましたね、ライフハックという言葉。
グルーヴィなギターと、落ち着きのあるリズム隊との絶妙なバランス。女性のコーラスを携えたボーカルは、この上なくセクシー。

『不可幸力』
言葉遊びも秀逸で、なんかどこをとってもハイセンス過ぎてなんか腹立ってくる(笑) 醜い嫉妬。
ラップ的な要素を多分に含んだ、ここまでの曲たちとはまた雰囲気を異にする曲。ヒップホップ 的であり、同時にブラックミュージックの匂いもする。全体的には艶かしくてしっとり感のあるミドルチューンなんだけど、ボーカルはびっくりする程エモーショナルで、そこのギャップも素敵です。
カッコ良過ぎて、「カッコいい〜」しか出てこない。

『soramimi』
少しユーモラスな雰囲気のトラック。そこに乗っかるのは、前曲のような“ラップ「的」”な曲ではなくて完全にラップな曲。
ヴァースはそんな感じなんだけど、サビはもうゴリッゴリなアゲアゲチューン。何というか…T.M.Revolutionとかそういう感じの音楽を彷彿とさせる、コッテコテなシンセ。新しいんだけど、なんか懐かしい感じもある。面白い。

『Audio 002』
インタールードですね。極限で上がったボルテージを一旦クールダウンさせてくれる、静かで柔らかい生活音。

『napori』
骨組みが剥き出しっぽい感じすらする、音数の絞られた曲。でも、前半のゴリゴリの感じは無かれど、その分一言一言、1音1音を噛み締めるようなゆったりとした贅沢な時間が流れる。
物静かな曲ではあるんだけど、なんかなんの予定もない休日とかにぼんやり聴いたらちょっと幸せな気持ちになれそう。

『僕は今日も』
最近のみなさんは、自分の内面にある弱さとか葛藤とか悩みとかを非常に綺麗に流暢にアウトプット出来るんですよねぇ(この曲の歌詞が“歌い手の内面吐露”だと言うつもりはなく、単にネガティブな感情や場面や上手に表現なさるなぁというお話)。一昔前は、そういう弱さやダメさを誤魔化したり不器用に吐露するのが音楽における様式美なんだと思ってたけど。

『Bye by me』
へぇ〜、こういう風に展開してきたアルバムを、こういう曲で〆るんですねぇ。なんか、新鮮でした。攻撃的で刺激的な方向に、もしくは内に向かうエネルギーに、そのどちらかに振り切れたような鮮やかな楽曲を展開してきて、そしてその最後は偉く肩の力が抜けた曲。精一杯の背伸びしてメンチを切ったあとの、無邪気な笑顔みたいな。その落差に、キュンときちゃうじゃないかこのヤロー!! ずるいぞっ!
なんか、凄い好き。うん、凄く好きだこの曲。スチールギター(ボトルネックか?)の牧歌的なフレーズに、呼吸するみたいに自然に鳴るアコギに、軽い口笛に、呟くような歌声に。全てが自然で、全てが柔らかくて、全てが温もっている。ほんのちょっとの皮肉はご愛敬。



そんな、計11曲。

ぶっちゃけ、特に前半は「凄く聴きやすいけど、“この人が奏でる音楽”をもっと聴いていきたいなぁ」とは思わなかったんですよね。似たような味付けの音楽は沢山あるので、Vaundyというアーティストの音楽をこれ以上に掘り下げていきたいとは思わなかったというか。
でも、『Audio 002』を境にした後半は、「誰っぽい」が減って、曲の世界に引き込まれる感じがありました。しかしそれはよく考えたら、前半の刺激的で攻撃的なパートがあったからこそ後半にこんなに引き込まれたような気もするし…。
正直、まだよく分かんないです。Vaundyというアーティストに興味は持ったけど、例えば1ヶ月あとに「Vaundyのアルバム、こんなところが凄く良かったなぁ」っていうのがパッと出てくる程のインパクトを受けた感覚はないし。

ありとあらゆるタイプの曲が入っていて。バリエーションが豊かで聴き応えがあるのは間違いがないんですが、一方でぼくは、「あんな事も出来ますよーこんな事だってやれますよー」という主張であるようにも聴こえた気がして。古い価値観のぼくは、「“多く”よりも“深く”行こうよ」なーんて思うところも無くはない。でもこれも、「かといってこれ以上一部分だけを掘り下げて行かれてもつまんないかも」とも思うし…。

いろんな意味で、「まだよく分からないアーティスト」でした。もう何作かは聴き続けていって、その“正体”を探りたいもの。
メジャー1st.でここまでやれる凄さというものだけは、既に疑いようがないけれど。

ロッキンなら…“裏”が無ければ行ってみたいくらいかなぁ。





#04 『怪獣の花唄』
#09 『napori』
#11 『Bye by me』





この作品が好きなら、
・『HELP EVER HURT NEVER』/藤井風
・『Quote』/須田景凪
などもいかがでしょうか。





サブスクにあれば聴くかな…レベル(^_^;)










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