>オリジナルフルアルバム
>タイトル:&
>アーティスト:一青窈
>リリース日:2005年 12月 21日
>記事作成日:2020年 8月  3日





久しぶりに聴きました!

なんか、最近あまりお見かけしなくなった気が…。
正直、小林武史Pとのうんぬんかんぬんがあってちょっと素直に作品を聴けない時期もありましたが…まぁ、作り手と作品は切り分けて鑑賞出来るようになりました。川谷絵音さん関連の音楽を音楽として楽しめるのは、小林Pとこの方のおかげなのかもしれない(苦笑)



『Banana millefeuille』
それまでの一青さんと言えば、オリエンタルというか、アジアンなフレーバーの強いしとやかな曲のイメージでしたが…この曲は、色んな音や色んな要素をコラージュ的に組み合わせた、なんか“ごった煮”でユーモア溢れる曲。アルバムの顔である一曲目にこういう曲を持ってくるというのは、もしかしたらこの時期はアーティストとしてのイメージチェンジを図ってたのかもしれませんね。“チェンジ”というか、“プラスアルファ”というか。そういう意味での『&』だったりして。

『ホチKiss』
そういう意味では、それまでの一青窈的と言えるのではないかと思うこの曲が2曲め。新機軸ばかりだと置いてけぼりを喰らうけど、こういう“らしい”曲と革新的な曲とが両方並んでると安心して聴く事が出来ます。“変化”も過度に意識せず受け入れられるというか。

『うれしいこと。』
オモチャのピアノの音色が、なんか可愛らしいのに切なく響く不思議な感触の曲。
歌詞の言葉選びというか、そういうのを含めた全体的な雰囲気が、ちょっとあどけなさを感じて。子どもに向けるような、優しくてあったかい気持ちに包まれる曲。やはり、武部聡志Pと一青窈さんの相性は抜群。

『かざぐるま』
シングルですね。
別に演歌とか民謡とかそういう事でもないんだけど、凄く日本的な雰囲気が強い曲。タイアップ先(『蝉しぐれ』という、時代小説を原作とする映画の主題歌なんですよね)のテイストを色濃く汲んでるんでしょうね。でも、“一青窈の作品”としての世界観もちゃんとある、素晴らしいコラボ。
古き良き日本というか…里山的な風景が脳裏に浮かびます。色鮮やかで淑やかな、素晴らしいバラード。

『影踏み』
ぼく、今回聴き直すまでずっと、この曲も武部Pの手掛けた曲だと思ってた。違うんだ。
王道のミドルバラードという感じでしょうか。アレンジは、ピアノとストリングスを軸とした柔らかい雰囲気。メロディラインは、トリッキーな動きはせずスッと入ってくる分かりやすい展開。そしてボーカルは、歌詞のメッセージを“最短距離”で届けてくれるもの。

『指切り』
小林武史Pによる、ドラマチックでセンセーショナルな楽曲。なんというか…2時間ドラマ的というか。刺激的なんだけれどもちゃんとフォーマットに収まっているというか…だから凄く聴きやすいんですよね。こんなにスリリングなのに。さすが小林武史。飲みやすい青汁みたいな、太らないスイーツみたいな、いいとこ取りP。

『アンモナイト』
とにかく、メロディが秀逸。特にサビ。派手ではないのに、一回聴いたら忘れられなくなるメロディライン。そして、その“さりげないのに印象的”なメロディをダメ押し的に補強するような、“さりげないのに印象的”なアレンジ。
秋の空みたいに、爽やかですっきりしてるんだけどそこはかとなくセンチメンタルが香る、名曲。

『Oh la la』
秋の空的な爽やかな切なさという意味では、この曲の佇まいもそんな感じがするかも。曲調がカブってるとかそういう事では全然ないんだけど。
殆どアコギだけで展開する、ものすごくあっさりとしたアレンジ。その分、メロディが持つ機微というか、繊細なニュアンスみたいなものまでが伝わってくる。
讃美歌というか、祈りの歌みたいな曲。

『ピンクフラミンゴ』
かと思えば、ラウドなバンドサウンドがゴキゲンかつユーモラスに迫ってくる、独特な曲。
だいぶファンクよりなナンバーだと感じました。ファンクの遊び心と煌びやかさに、ハードロックの硬質な感触が融合した、とにかく独特なアレンジ。
ガッチリとした音に、しなやかな一青さんの歌声が異質。異質なんだけど、悪くない。

『&』
表題曲は、まさかの口笛。いや、歌パートもあるんだけど、1分半くらいの短い曲の中の半分くらいは、口笛。
呟くような、囁くような、まるで一青さんのパーソナルな部分を覗き込んだような、そんな“小さな”曲。

『さよならありがと』
ぼくは、大袈裟ではなく、この一曲を聴くだけのためでも、アルバムを購入する価値があると思ってる。それくらいに大好きな曲だし、名曲だと思ってる。飾らないアレンジに、派手さはないけど真に迫ってくるメロディ。そこに乗っかる、全身全霊の愛と哀しみが注がれた歌詞。
一青さんの歌詞は、“写実画”“風景画”というよりは“抽象画”みたいな佇まいがあって、だから聴き手(読み手)によって解釈が異なるものだとぼくは思っています。ぼくは、もう絶対に会えない相手(失恋とかというよりは、死別とかのレベルの別れ)への募る想いを感じ取りました。異性との恋愛的関係というよりも、親、きょうだい、隣人、恩人…そういう相手を思い浮かべても当てはまる歌詞だとも思います。自然と、涙が出てくる。



そんな、計11曲。

このアルバムがリリースされたのは12月の下旬…ど年末なワケですが。ぼくはこのアルバムに、秋の匂いを感じるんですよね。雲ひとつない抜けるような青い空、そんな眩しい情景なのに胸を締め付けられて苦しくなる感傷。あったかいのに切なくて、優しいのに鋭利。その感覚がすごく好きで、なんだか時々無性に聴きたくなるアルバムなんです。

ほんと、名盤。





お気に入りは、
#03 『うれしいこと。』
#04 『かざぐるま』
#06 『指切り』
#07 『アンモナイト』
#11 『さよならありがと』





この作品が好きなら、
・『レインボーロード』/絢香
・『そらのしるし』/My Little Lover
・『Merry Andrew』/安藤裕子
などもいかがでしょうか。





CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/










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