>オリジナルフルアルバム
>タイトル:ストリーミング、CD、レコード
>アーティスト:ゲスの極み乙女。
>リリース日:2020年 5月 1日
>記事作成日:2020年 5月 22日





聴きました!

ゲスの最新作。
今回は、形態がよく分かりませんな(笑) とりあえず5/1に配信リリースされたワケですが、6月には“賞味期限付き”のフィジカルがリリースされるとの事で。この時点で既に充分訳わからん(笑) CDサイズのバウムクーヘンに、CDが付いてくるそうな。また、アナログ盤も同発ですって。
なんちゅーか…「カタチにはもはや意味がない」って事なんすかね? ぼくも近年は、スマホで音楽を聴くという聴き方しかしてないので…こういうのをきっかけに、デジタルデータとCDやアナログ音源とにどんな違いがあるのか、聴き比べてみようかな。ぼくのポンコツ耳には、違いが分からなそうだけど(笑)



『人生の針』
華やかでキャッチーな曲なんだけど、憂いというか哀愁を帯びたメロディラインには歌謡曲的な懐かしさも感じられます。新しいのに懐かしい。懐かしいのに先鋭的。川谷さんの、そしてこのバンドの引き出しの多さがのっけから炸裂!
前作『好きなら問わない』辺りは、結構マニアックでニッチな感じが前面に出ているような印象があって。とにかくキャッチーで鮮烈な印象を与える初期の作風に比べてぼくは幾らか物足りなさを感じてしまっていたんですが…この曲は、ぼくが大好きだった頃の作風を彷彿とさせる感じがありました。

『私以外も私』
なんて遊び心豊かなタイトルなのか。それこそ、ぼくが大好きだった頃のキャッチーな作風の、その極みみたいなシングル曲『私以外私じゃないの』を想起せずにいられない曲。但し、曲(アレンジや詩曲)については、完全にオリジナル。
濡れたエレピのサウンドがゾクゾクする程セクシーな、オトナな曲。休日家長さんの、上品なのにうねりにうねるベースラインも秀逸。

『秘めない私』
年々、ほないこかさんのボーカルパートが増えてますよね。ぼく、結構、いこかさんと絵音さんの掛け合いみたいなボーカル割、好き。
そして、なんと言ってもこの曲の聴きどころは、サビのベース。もう、ドキドキしてしまいます。アグレッシブこの上ない。低音が、ぼくの耳と頭をぶん殴ってくる感じ。恐ろしく気持ちいい。ぼくは、もしこの曲を10代の頃に聴いてたら、きっとギターじゃなくてベースを買ってたと思う。

『綺麗になってシティーポップを歌おう』
曲調自体は、全っ然シティーポップじゃない(笑) いや、豊潤で艶かしいサウンドはシティポップ的ではあるんだけど、それ以上に歌声の、そしてアレンジの独創性が強すぎて、シティポップなのかどうなのかとかいうカテゴライズが出来ない(というかその必要性を感じなくなってしまう)という。
タイトル、歌詞、歌、アレンジ、演奏…なにを取り上げても、独創性しかない。

『哀愁感ゾンビ』
なんか物凄い暗喩を秘めた歌詞だと感じるのは、漠然とした表現が多い中で「3年間」などの超具体的なフレーズが混ざっているからだと思う。でも、それが何を示唆しているのかの解釈には至らず…実はそんなに意味ねーんじゃねーのかってのが、最新のぼくの見解(笑)

『ドグマン』
配信シングル。これはぼくの中では、“最近のゲスの作風”って感じ。コア層狙いというか、“キャッチー”よりも“マニアック”を狙ってるというか…密室的な感じ。「分かる人にだけ分かれば良い」とまでは言わないけれども、「マスに向けた」というよりは「聴いてくれる気のある人にだけ目がけてる」感じ。ぼくみたいなライトリスナーは、初期のような全方位型のキャッチーな曲のほうに惹かれてしまうけど、逆に言えばそういう人にでも「おっ!」と思わせる独特な良さがあるという事でもある。

『問いかけはいつもためらうためにある』
もう、ほんと、あと何作かののちにはボーカルが完全にいこかさんに移行してるんじゃないかってくらいに、いこかさんのボーカルパートが増えてますね。この曲では、ラップも披露。カッコいい。
サビのメロディがキャッチーで、凄く魅力的。絵音さんの鬱蒼とした(?)ボーカルよりも、こっちのほうが確かにだいぶ映えますね。

『蜜と遠吠え』
アグレッシブなストリングスが、儚げで物憂げなバンドサウンドといい具合に絡み合っている。そして、演奏陣全体のまとまりを生んでいるのは、やはり休日課長さんのグルーヴィなベース。本当に好きだわ、課長さんのベース。
ラップというよりは“喋り”に近いようなヴァースの絵音さんは、なんか初期を思い出します。
しかし…クレジット見れてないから分かんないけど、コーラスはえつこさんですよね? 相変わらず素晴らしい存在感。

『透明な嵐』
演奏陣のプレイが存分に堪能出来る曲。ちゃんMARIさんのエレピは妖艶に濡れていて、いこかさんのドラムスと課長さんのベースはしなやかな中に暴力的なまでの衝動を感じる。絵音さんのギターは、もはやサイケデリックですらある。普段は絵音さんのソングライティングに耳目が行きがちなんですが、この曲では、改めて演奏陣のスキルと表現力の豊かさを感じる事が出来ました。

『フランチャイズおばあちゃん』
おいっ、タイトルどーしたよ⁉︎(笑) でも、歌詞、めっちゃ切ないな。大切な人が亡くなっても、フランチャイズが出来たら確かに嬉しいですよねぇ。でも、(ぼくも肉親を亡くしてからしばらく経つけど)もう会えないからこそ感じる想い、根付く感情、光る思い出ってのもあるんですよね。フランチャイズ出来ちゃったら、そういうものを大切にしなくなっちゃう気もする。

『キラーボールをもう一度』
煌びやかなサウンド。ゴキゲンなブラスと、それに呼応するようにゴキゲンなベース。ディスコファンクテイストの、ちょっと猥雑な感じもするノリがとても魅力的。夜の街のネオンみたいな、毒々しい美しさ。
ちなみに、『もう一度』ってのは、やっぱりあの『キラーボール』を踏まえてなんですよね?

『マルカ』
これまた、演奏陣のプレイが光る。一見まとまりのない、とっ散らかったような音。でも、俯瞰で見るとそれが物凄く複雑に絡み合った一つの塊である事が分かる。なんて洒脱なアレンジなんだ! これが才能か…。
サウンドと同じくらいにカッコいい、絵音さんのラップ。特に1番のヴァース、これまでに無いくらいの高速ラップ。
何をどうすればこんなアレンジが、そしてこんなメロディラインが浮かんでくるんだろうか。
近年のゲス楽曲の中で、一番好きかも。



そんな、計12曲。

『ドグマン』のところでも書いた通り、近年のこのバンドは“万人ウケ”ではなく“玄人好み”な感じになってきたような気がぼくはしていて。
一方で、前作『好きなら問わない』や前々作『達磨林檎』に比べると、キャッチーに振れた曲もまた増えてきたような感じもします。





お気に入りは、
#01 『人生の針』
#03 『秘めない私』
#07 『問いかけはいつもためらうためにある』
#09 『透明な嵐』
#11 『キラーボールをもう一度』
#12 『マルカ』





この作品が好きなら、
・『834.194』/サカナクション
・『DADASTATION』/DADARAY
・『泣きたくなるほど嬉しい日々に』/クリープハイプ
などもいかがでしょうか。





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