労働なんかしないで 光合成だけで生きたい(初回限定盤 CD+DVD)>オリジナルフルアルバム>タイトル:労働なんかしないで 光合成だけで生きたい>アーティスト:スガシカオ>リリース日:2019年 4月 17日>記事作成日:2019年 7月 1日




聴きました!
スガシカオの最新作!やはり、なんと言ってもまず目を引くのはそのタイトル。これまでのスガさんは、あらゆるボキャブラリーを駆使したアルバムタイトルを設定しつつ、そのどれもが「クール」かつ「カッコいい」で統一されていた感じがありますが…今回のは、ニートもののラノベのタイトルみたいです(笑) でも、だからこそ、「スガシカオの本気」が見えるという感じもします。


そんなタイトルチューン、『労働なんかしないで 光合成だけで生きたい』からスタート。のっけから、妖しさとセクシーさと猥雑さとが入り乱れるスガシカオ流ファンクミューン! でも、サウンドも素晴らしいけど、やはり歌詞が素晴らしい。シニカルだし毒っ気があるんだけど、でも聴き終えた後には不思議とやる気を焚き付けられる感じ。光合成だけで生きる気なんか、さらさらない歌詞(笑)
そういう意味では次の曲も歌詞が良い、『遠い夜明け』。タイトルからして、希望に溢れた感じではない。でも、その夜明けは「遠い」だけであって、「来ない」わけではない…そういう意味での希望が、この曲にはある。落ち着きがあるけどグルーヴィでダンサブルなオケも、もちろん素晴らしい。
なんか、「若手時代のスガシカオ」を彷彿とさせる曲、『あんなこと、男の人みんなしたりするの?』。『FAMILY』とか、あの辺のアルバムに紛れ込んでても違和感のない曲だと思う。ギターを基軸としたファンクネスが炸裂してるから?ブラックミュージックの匂いが強いから??歌詞が生臭いくらいにリアルだから???…多分、その全部。
ストーリーテラーとしてのスガさんの才能が爆発してる、『am 5:00』。「音楽を1曲聴いた」というよりは、「映画を1本観た」っていう感覚に近い。しかも、この曲の歌詞にあるみたいな「不機嫌になる程つまらないひどい映画」とは真逆にあるような。ギターとパーカッション(打ち込み?)による、シンプルな編成。でも、編成はシンプルだけどアレンジはメチャクチャ凝ってる。大人の渋みというか、苦み走った感じの良さ。これは、鳥肌モノのカッコ良さだわ…「大人が若作りした上滑り感」などでは一切なく、「大人にしか出せない奥深さ」が光る、真のカッコ良さ。
タイトルが面白いな、『おれだってギター1本抱えて 田舎から上京したかった』。田舎者には田舎者の、都会っ子には都会っ子の苦悩があるんですな。ニヒルなユーモアにメロメロです。
久しぶりのこのシリーズ、『ドキュメント2019』。今回も、相棒はMummy-D!!!すげー、ぼくも「ただの天才」を自称してみたいぜ。でも、スガシカオが言うと嫌味に聴こえないのがすごい。むしろ、「うん、確かに」って、妙に納得してしまう(笑)そして、Dさんのラップも炸裂。ぼく、ライムスターとしてのダンディズムに溢れるDさんも好きだけど、スガシカオ作品で客演してる爽快で小気味の良いギアも大好きなんですよねぇ。この組み合わせ、最高!取り敢えず、このコンビでの『SONGS』はマジで目指して欲しい。
スガさんのセンチメンタルが爆発、『スターマイン』。涙をね、こらえるのに苦労する曲。いや、例えば最近ありがちな「泣ける曲プレイリスト」的なものに入ってくるような分かりやすいスローバラードとかではないんだけど…心の琴線を、さりげなく(でも確実に)刺激してくる曲。優しい言葉が、柔らかいメロディに乗って、淡いサウンドと共に伝わってくる。圧倒的に優しくて、その優しさのせいで痛いくらいに切なくなる曲。スガシカオに惚れ直す曲(ぼく、男だけど 笑)。
次の曲も珠玉のロックバラード、『黄昏ギター』。メロディがメロウ。哀愁を感じさせつつ、洒脱なポップスでもある。そのバランスが絶妙で、更にはそこに感傷的かつメランコリックな歌詞が乗る。ストリングスには、まるで走馬灯のように色んな感情を呼び起こす魔法がかかってる。『スターマイン』で込み上げてきたものが、『黄昏ギター』で決壊する感じ。
かと思えばノリノリのファンクチューン『マッシュポテト&ハッシュポテト』。グルーヴィなリズム隊に華やかなブラス隊が加わって、それはもうゴキゲンでキャッチーそのものの曲となっています。乾いたギターのリフも、超絶かっこいいですしね。
シメの曲は『深夜、国道沿いにて』。生活臭がぷんぷんする、いい具合に「くたびれた」曲。それはもちろん悪口では全然なくて…人は誰でもそれぞれに、背景を抱きながら生きている。その背景が醸し出す温もりや、切なさや、侘しさや、優しさなんかを、この曲は「言葉」というよりも「佇まい」で見せてくれる、そういう曲。いろんな経験を重ねれば重ねるほど、ある種の「くたびれ」は出てきてそれが「味」になるんだと思うんです。ダメージジーンズ的な?いや、もちろん、雰囲気だけじゃなくて歌詞もサウンドも抜群に良いんですけどね。


そんな、計10曲。
前作『THE LAST』は、ある意味で「スガシカオらしくない」作品だったように思います。別に、なにも「小林武史Pのオーバープロデュース」とかそういう話がしたいのではなくて、なんというか…一般的なJ-POPがウェルダンだとしたら、それまでのスガシカオはレアで、『THE LAST』は完全な生肉、みたいな。ユッケは、熱狂的な信者も居る(居た)反面でダメな人はダメだし、お腹痛くなっちゃう人も居るし。そんな、ある種「リスクを伴う」禁断の作品だったように思います(笑)それに比べて本作は、「レアのスガシカオ」に戻った感じ。もちろんそれは「マンネリ」だとか「二番煎じ」だとか「焼き直し」だとかっていう意味ではなくて、あくまでも「質感」のお話。多くの人の耳に心地良くて、だけど程よくマニアック感もあって、ちょっとニッチな層の心を鷲掴みにするようなサウンド。それが、最高にカッコ良かった。
スガシカオさんは、「似た系統のアーティスト」であるとか「同じようなテイストの作品」であるとかを探すのが本当に難しい。圧倒的にオリジナルだから。凄い事だと思う。そして、それだけ圧倒的なオリジナリティを発揮しているにも関わらず、ヒットチャートにランクインする(し続ける)からなお凄い。近年は特に、「シーンの傾向」みたいなものに流されて似たような雰囲気のアーティストばっかりになって現状があると思うので。そんな中でオリジナルを貫く、そして結果を出す男、スガシカオ。
ちなみに、初回版にはミュージックビデオ集と『ぶらり途中下船できない旅』が収録されたDVDが付いてます。何だか忙しくてぼくはまだ見れてないけど、そっちも早く見たい!




お気に入りは、#02 『遠い夜明け』#04 『am 5:00』#06 『ドキュメント2019』#07 『スターマイン』#08 『黄昏ギター』




この作品が好きなら、・『Yu Are Something』/さかいゆう・『a taste of dream』/Curly Giraffe・『F』/フジファブリックなどもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/









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