Penny Rain(通常盤)(特典なし)>オリジナルフルアルバム>タイトル:Penny Rain>アーティスト:Aimer>リリース日:2019年 4月 10日>記事作成日:2019年 6月 6日




聴きました!
オリジナルアルバムを、2枚同時にリリースという。このご時世に、なんとも攻めたリリース方法(まぁ、2枚組としても展開しているので、そういう視点で見ると小賢しい感じもしなくもないけど 笑)
本作は、雨をテーマにしたアルバムだそうです。本作を聴く前、タイトルだけ見たときに「きっとこっちはスローバラード中心のしっとりした作品で、もう一個のアルバムのほうにアッパーチューンを寄せてるんだろうな」って勝手に思ってました。なんなら、ちょっと「安直だな」くらいに思っていて…はいすいません、そんな発想をするぼくのほうこそが安直人間でした(笑)   実際に本作を聴いてみたら、とてもとてもそんな安直で安易な作品ではありませんでした。


オープニングこそ、しっとりとした雰囲気のマイナー調インスト曲『pluie』でしたが、続く『I beg you』は攻撃的なアッパーチューン。この『I beg you』、スローバラードどころかアラビアンな雰囲気でギターが鋭角に鳴り響くかなり硬質なロックンロールチューンです。あらゆる音が鳴ってるのに存在感がピカイチのベースも、とにかくアグレッシブなドラムスも、異彩を放つストリングスも、、、どれもが個性的で、でも圧倒的なまとまり感もある。このトラックメイキングは、圧巻。
悲壮感とすら言える程のスリリングなロックバラード、『Black Bird』。とにかくサウンドが分厚い。分厚くて、武骨で、感情的で、、、かつ繊細。「特盛カレー」なのに、「多いな!」よりも「美味いな」のほうが先にくる感じ(笑)
『Sailing』。「なにかの曲に似てる」とか「ナントカっぽい」とかそういうのでは一切ないんだけど、何となく、懐かしい感じがしました。例えばMy Little Loverとかglobeとか…あの時代のアーティストの作品のような、圧倒的なキャッチーさ。聴きやすいんだけれども聴きやすいだけではなく、切ないんだけど切ないだけではなく、力強いんだけど力強いだけではなく…複雑に色んな要素が絡み合って、オリジナリティを作り出している感じ。ぼくはあの時代のJ-POPを邦楽の質的な黄金期だと思ってるんだけど、あの時代の楽曲にまったく引けを取らない、これは名曲だと思う。
かと思えば前衛的なトラックが光る『眩いばかり』。もうちょっとだけ明るいトーンだったならポジティブなだけの曲に聴こえた。もうちょっとだけ暗いトーンだったならネガティブなだけの曲に聴こえた。そんな、ギリギリの、ボーダーライン上にある感じのする曲。「なだけ」はつまらないけど、相反するふたつのものをひょいひょい行き来する感じはとても面白い。大げさに言うなら、無重力体験をしてるみたい。つか、詞曲ともにCoccoさんだった!こっこさん、ご自身のリリースが最近ご無沙汰ですなぁ。
『Stand By You』。こっちはちょっとゴシックスタイルのテイストを感じる。アグレッシブでありながらも、独特な格調の高さと美意識の高さも感じたりなんかして。本作中において、Aimerさん個人のキャラクター的なものがもっともよく垣間見える感じがしました(もちろんぼくはご本人の「素」を知る由もないんだけれど…「歌い手の感情が垣間見える」といった感じでしょうか)。
シングル曲、『Ref:rain』。メロディは、J-POP好きにはたまらない感じのキャッチーさがあります。伸びやかで、しなやかで、適度にセンチメンタル。そして、そこに乗っかる言葉も、葛藤がありつつも決して後ろ向きではないフレーズが沢山。燃え上がるような熱ではないけど、肚の奥底にある芯にそっと火を灯してくれるようなアツさが感じられる曲。
緻密なサウンドが幾何学的な美しさを見せてくれる『i-mage〈in/AR〉』。オケ的には幾何学的なんだけれども、ボーカルラインとその歌声に関しては伸びやかで自由な感じがして。その対比というかコラボレートというか、そういうのが特徴的な曲です。
ストリングスがドラマチックな『花の唄』。日本的な艶やかさというか、例えば「チューリップ」というよりは「桜」というか…しかももっと言うなら「夜桜」的な。そんな艶めかしさ。繊細さと奥ゆかしさの中に、ハッとするような鋭い輝きがある。日本人にこそ伝わるような曲なのかもしれない。
そして最後は、儚くも美しいバラード『April Showers』。鍵盤とストリングスによる、とにかくメロウなオケ。でも、その編成でもダイナミズムがあって、聴き応えは充分。芯の強い、曲。


そんな、計10曲。
美しい曲ばかりでした。重層的な美しさというか…曲ごとにあらゆる要素が折り重なって、その「折り重なり具合」こそが美しい感じ。ここまで作りこまれたアレンジというのは、本当に素晴らしい芸術だと思います。
「雨」というしっかりとしたテーマがあって。しかも、対極のような「太陽」というテーマのもう一枚があるので、ともすると限定的で似通った作品ばかりが詰め込まれちゃうんじゃないかなーなんてちょっと思ってたんだけど、実際に聴いたら全然そんなことなかったっす。




お気に入りは、#02 『I beg you』#04 『Sailing』#07 『Ref:rain』#09 『花の唄』#10 『April Showers』




この作品が好きなら、・『十九色』/清浦夏実・『Superfly』/Superfly・『二千花』/二千花などもいかがでしょうか。




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