red(通常盤:CD)>オリジナルミニアルバム>タイトル:red>アーティスト:藤原さくら>リリース日:2018年 9月 19日>記事作成日:2018年 11月 23日




聴きました!
今年の初夏に出したミニアルバムが『green』。そして今回の『red』。なんか、コンセプチュアルな繋がりがあったりするのか、シリーズ物なのか…と思ってちょっと検索してみたら、「この2枚で、アナログのA面とB面のような」っていうイメージらしいですね。「対」というのともまた違うこの「アナログ」のイメージ、両作ともに聴くと、なんかしっくり来ます。


弾けるような可愛らしい音とビートの『Lovely Night』からスタート。例えばディミーキャットさんみたいな、底抜けに可愛らしい曲。どちらかというと低音で安定感が先に来る感じの歌声の藤原さんですが、この曲は最高に可愛いです。
牧歌的な雰囲気の『また明日』。アコーディオンが軽快に鳴り渡る一方で、ボーカルには何とも言えない哀愁が漂っていて、その対比というかグラデーションというかにキュンとします。優しいんだけど、そこはかとなく感傷的な曲。
『NEW DAY』。押し付けではないけど、さりげなくポジティブな歌詞の曲。うん、ポジティブというのはこれくらいさりげなく提示してほしい(笑)刺激が飽和状態なのか、最近の邦楽曲には極端で分かりやすくて現実味のない喜怒哀楽で溢れかえってますからね。サウンドとアレンジは、他の曲より対象年齢低めかな?
英詞をさらりと歌い上げるカッコよさ、『Dear my dear』。シンプルなんだけど安定感のあるバンドサウンドも、柔らかいんだけど印象に残るアレンジも、全体的に凄く良い。ガツガツした「圧」が無いので気軽に聴けるし、でもちゃんと「引っかかり」のある曲です。
『うたっても』。ポロリポロリと紡がれるアコギのアルペジオ以外にはデジタルな音で構成されていて。でも、無機質な感じではなく適度な愛嬌とユーモアが感じられます。歌声には、本作の中で一番艶っぽさを感じました。
最後は『クラクション』。なんだよ、最後にこんな曲持ってきて。なんか不意打ちされた感じで泣きそうになっちゃうじゃないか(笑)幸せな光景で、輝いていた時間で、喜びに溢れた記憶でいっぱいの歌詞。だからこそ、水たまりに落ちたたった一滴の水が広げる波紋のように、端々にさらりと紛れる過去形の表現が圧倒的な悲しさと切なさを引っ張ってくる。この歌詞、何回読んでも明確な「別れの歌」ではないんです。むしろ、「想いが高じた二人のラブソング」と解釈する事だって出来る。それでも、曲を聴き終えると、どうしても切なくて哀しい気持ちになる。解釈は人それぞれかと思いますが、ぼくにはそう聴こえました。作詞家としての藤原さんのポテンシャルと、mabaunaさんのアレンジのスキル…その両者が最高の状態で激突してます。


そんな、計6曲。
前作『green』が凄く良かったので、今回はちょっと過度にハードルを上げて聴いてしまった。作品のクオリティは高いけれど、ぼくの過失。
決して派手で華やかな感じではないんだけれども、聴き終えたあとにはちゃんと「感触」の残るアルバムでした。その辺はもう、藤原さくらというアーティストの安定感ですよね。
ここからはもう藤原さんがどうこうって話じゃなくなるんだけど…近年、「ミニアルバム」サイズのものを「EP」という名目で連続して出して、最終的にそれらを再構成して新曲を1〜2曲添えただけのものを「フルアルバム」として出すパターンが非常に多くて、それがホンッッットに嫌いで。プロモーションチームにしてみれば「EP=シングル曲なんだから、それらを再収録・再構成してアルバムにするのは別におかしくないっしょ」という詭弁を盾にするんだろうけど…最少の制作費で最大限搾取してやろうっていう魂胆がある気がして凄く嫌なんですよね。そんな事してるから益々フィジカルが売れなくなるんじゃんか!…藤原さんには、その悪徳商法に乗って欲しくないなぁ。




お気に入りは、#02 『また明日』#06 『クラクション』




この作品が好きなら、・『guitarium』/miwa・『色』/FLOWER FLOWER・『ハローグッバイ』/新山詩織などもいかがでしょうか。




iPod nanoにも入れておきたいレベル(^.^)









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