POWER>オリジナルフルアルバム>タイトル:POWER>アーティスト:chelmico>リリース日:2018年 8月 8日>記事作成日:2018年 10月 24日




聴きました!
脱力系のフィメールラッパー2人組によるchelmicoの、メジャー1st.アルバム。ここの感想はこのあと書きますが、アルバム全体の感想をざっくり一言で言うと「随分と聴きやすくなったなぁ」でした。


イントロダクション『Power』からスタート。冒頭は色んな音がザッピングされてるけど…例えば『20世紀少年』の「けーんじくん、あーそびーましょ」みたいなおどろおどろしさを感じるのはぼくだけ!??
本編開始、『Player』。適度にユルくて適度にチャラい、この方々の特徴がよく出ている、名刺代わりに最適な一曲。アレンジ的にも、よく聴くとキッチリ作り込まれているんだけれども遊び心がいっぱいだから気楽に聴ける感じがして、そのバランスも素敵。
『OK, Cheers!』。思わずラインダンスでもしたくなるような(笑)、リズミカルかつキュートな曲。メロディアスなボーカルラインなんだけど、ポイントポイントでは割ときっちりとラップもしている。オーバーグラウンドのヒップホップとしては、かなり理想的なバランスかと思います。
ちょっと緊張感を醸し出したトラックの、『Get It』。緊張感というより、ダーティな感じというのかもしれません。本作の中でも、かなりがっつりとラップしている曲。この方々を知らない人に「これがchelmicoだよ」って言ってこの曲だけ聴かせたら、アンダーグラウンドのラップユニットだと思うんじゃなかろうか(笑)カッコいいです。
シリアスなトラックの上でリフレインするバナナ(笑)、その名も『BANANA』。これもまた、緊張感のある曲。夜のパーリィ的な、パーリピーポーたちのような、メロウな危うさ。そんな世界と無縁なぼくは、憧れの気持ちをくすぐられます。
『サマータイム』。これもどちらかというとビターな感じのサウンドなんだけれども、緊張感というよりは落ち着きとかそういうほうのイメージかも。でも…フックの「テレビでは最高気温になるらしい」っていうフレーズだけ異常に気になっちゃって…いや、言わんとしてる事は分かりますよ?分かるけど、日本語としておかしいじゃん。テレビが最高気温になるんじゃなくて外の空気の事だからね。それをこのフレーズで表現してる事くらいは分かってるけども、「言葉や文章としてはおかしいけどニュアンスで伝わるでしょう」という事ではなくて…ニュアンスではなくて、言葉でちゃんと伝えてほしい。ラッパーには、言葉と表現を武器にしてほしいなぁって。たった1フレーズだけを切り取って論じるのは申し訳ないけれども、それくらい、そこが気になってしまったのです。
どこかもの悲しげで儚げな空気が漂う『UFO』。アダルティなサウンドに乗っかってるのは、若者特有の、「私」と「君」だけで完結しちゃうミニマムな恋物語。大人の雰囲気で語られる幼い恋には、ちょっとした気恥ずかしさすら感じてしまって…ぼく、年を食ったんだなぁと思い知らされる曲(笑)曲全体の雰囲気は、とても好きです。
メロウな『E.P.S.』。生音感が強い色気のあるサウンドに、がっちりとラップしている2MC。このトラック、このMCの感じには、インディーズ時代のRIP SLYMEの作風を思い出しました。
ここまでシリアス系とメロウ系が続きましたが、久しぶりにポップな曲調に戻って『Good Morning』。可愛らしいトラックに若者らしいリリックが乗っかっている分には、余計な気恥ずかしさを感じる事なく聴けていいです(笑) 
『デート』。この曲、好きだ。打楽器勢が刻むビートだけで、あとは2MCのラップが炸裂。ぼく、冒頭でこの方々の事を「脱力系ラップユニット」と形容したけれども、意外とガッツリとラップしてるんですよね。それでもその「ガッツリ」を感じさせないところも、ぼくは好きだったりするんだけど。
ダンサブルな『Highlight』。フックのあどけない可愛らしさと、ヴァースの毒っ気のあるラップ。そのギャップにもグッときます。跳ねるリズムのトラックはラップが映えるように絶妙なバランスを醸し出しているし、曲全体としてものすごくまとまりの良い曲だと思いました。
『午後』。柔らかくて可愛らしいサウンドと、そこはかとない感傷と。うたた寝をしてしまったあとの何故だかちょっぴり切ない気持ちの目覚め、あの感覚を思い出します。割と若者感の強い作風でここまで来たのに、急にグッと大人っぽい曲。そのギャップに、きゅんと来ちゃいますわ(笑)
ラストはポップに『Love Is Over (1UP Version)』。なんか聴いた事ある気が…とか思ったら、インディー作品に収録されてたヤツだ!このユニットの持つユルさ、キャッチーさ、可愛らしさetcが、端的に表現されてますね。


そんな、計13曲。
いやほんと、冒頭でも言ったように、恐ろしく聴きやすくなってる。正直、インディー作品は(全部聴いてきたわけじゃないけど)途中で中だるみしちゃうような印象があって。「もうちょっとバリエーションがほしいなぁ」と感じる事があったんだけど、本作ではその辺が絶妙なバランスで達成されていて。「やり過ぎる」事もない、本当に絶妙なバランス。聴き手を飽きさせず、かといって置いてけぼりにもしない。これは結構、声高にお勧めしたいアルバム。




お気に入りは、#02 『Player』#03 『OK, Cheers!』#07 『UFO』#10 『デート』#12 『午後』




この作品が好きなら、・『音樂ノススメ』/HALCALI・『TOKYO BANANA』/あっこゴリラ・『クロールと逆上がり』/水曜日のカンパネラなどもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/









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