スポットライト>オリジナルフルアルバム>タイトル:スポットライト>アーティスト:FLOWER FLOWER>リリース日:2018年 3月 14日>記事作成日:2018年 5月 21日




聴きました!
FLOWER FLOWER最新作。なんか、新譜が出ると当たり前のようにチェックするバンドなんだよなぁ。かといってじゃあ熱狂的なファンなのかと問われればそれは恐れ多いので否定するけれども。
というワケで、今回も当然のようにチェック!


ゴリゴリとブリブリとしたラウドなサウンドに意表を突かれる『命』からスタート。繊細さとサイケデリックさが不思議と両立しているこのバンドだけれども、その作風のひとつの完成形といえそうな曲。ストリングスと、これはマリンバかな?…そのオーガニックな音色と、とにかくアグレッシブで都会的なバンドのアンサンブルと。とにかくうまくやらないと融合しそうにない2つのアプローチが、絶妙に絡み合っています。生命の持つ躍動感と繊細さ、その二面性をその通り曲にしたような名曲。
タイトル通りの雰囲気の『パワフル』。前曲以上にアグレッシブで、そして何よりも自由で。アレンジも自由だし、ボーカルも奔放だし、なんというかとにかくエネルギッシュ!バンドとしてのポテンシャルが分かります。こんなに自由な発想の曲、よほどバランスの良いバンドじゃないと成立させられないでしょう。
アコースティックなアプローチがとにかくオシャレな『コーヒー』。決してベタな「フォークソング」にはなっておらず、前衛的でアバンギャルドな部分を持った「ロックンロール」なオーガニックサウンド。もちろん、ソングライターとしてのyuiさんのセンスは存じているつもりですが…本作は、演奏陣のプレイの素晴らしさが際立っているアルバムなんだと気付かされます。
ウィスパーボイスが光る『あなたと太陽』。クールな…というか、幻想的なというか。フワリとした空気感が印象的。ここまでゴリっと彫りの深い曲を続けてきて、急にこれ。その「球種」の豊かさに、鳥肌すら立ちそうです。
気だるそうなボーカルがカッコいい『地図』。荒々しいリズム隊と、サイケデリックなギターと。この曲もまた、とにかく演奏陣のコンビネーションが光っている曲。ここまでのグルーヴ感が出せるのは、スキルあってこそでしょうね。
緊張感とメロウ感の2つが重なり合う『塵』。うん、こうやって聴いていると、このバンドの軸はベースだなぁと思います。骨太なのに表現力が豊かで、とにかくメロディアス。その立ち居振る舞いは、むしろボーカリストに近いような感覚すら覚えます。
生音の柔らかさとデジタルのビビッドな音が上手く絡み合っている『アイス』。ここまではカッコいい!という曲が多かったが、この曲はどちらかというと「可愛らしい」。ソロ時代のYUIさんが、ちょっぴり思い出される感じとでもいうか。声が、「まぁるい」感じがしました。
ウーファーとシンセが幅を利かせたダンサブルな『踊り』。うねるビートは、まるで暗がりで獲物を狙う肉食獣のような荒々しさと獰猛さ。一方で、ソツのないクールなイメージもあるし。ライブハウスで大きなアンプを震わせてプレイするところも想像出来るし、クラブでDJがこの曲を回すところもまた想像出来る。どんなシチュエーションでも存在感を放てる、ある意味で最強の曲かと。
一転して、ピアノという生楽器の芳醇でしなやかなサウンドが心に沁み入ってくるバラード『産声』。これはもう、yuiさんの日記のような曲ですね。でも、独りよがりにはならず、あくまでもリスナーが想いを重ねて「自分の曲」として聴けるような表現にしている辺りがまた素晴らしい。その歌声にも、演奏陣のプレイにも、圧倒的な優しさを感じます。
ここまでのどの曲ともまた違うアプローチ、アコギのストロークが軽快に鳴り渡るポップチューンの『時計』。アコギとピアノというクラシカルな楽器の音が曲をリードする、普遍性のあるサウンド。いっぽうで、終始小刻みに鳴り続けるベースなどには個性も感じられて。決して無駄に派手派手した曲ではないんだけど、なんとも印象に残る曲です。
優しいけれど儚さもある『小さな窓』。まさに、子どもの頃を思い返す時の感触に近い。心の芯に火が灯るような温もりと、キュッと胸を締め付けられるような切なさとが同時にやってくるあの感覚。それと似たようなものを、この曲からも感じるのです。
ラストは『日常』。派手さはないけど重みはある、そんな、まさに日常をそのまま切り取ったかのような曲。さらりと展開していくアレンジには、深読みするなら一期一会すら感じるのです。


そんな、計12曲。
「ヴォイス理論」なる作詞作曲の為のロジックがあるそうで、その提唱者の門下生であったソロ時代のyuiさんは、それに則った創作活動をなさっていたと思うのです(のちに続いた絢香さんや家入レオさんなどの作品を聴いて比較すると、ロジックを知らなくても何となく類似性は見えてきます)。しかしyuiさん、このバンドを組んで以降は、明らかにそれと異なる作風を見せてきています。ロジックに基づいたクリエイションというのは、ファミレスのハンバーグ的なイメージで。無難に美味しくはあるけれども唯一無二の存在感は示せない。対して感性に従った創作というのは、好みは分かれるかもしれないけど熱狂的な支持者を生み出す。ぼくは、今のFLOWER FLOWERというバンドは、完全に後者のスタンスに達していると思うのです。きっと「どちらがいいか」という話ではないんだろうけど…yuiさんにとっては、現在のほうが似合っているような感じがしました。




お気に入りは、#01 『命』#02 『パワフル』#03 『コーヒー』#05 『地図』#08 『踊り』




この作品が好きなら、・『変身』/チャットモンチー・『FANTASY』/My Little Lover・『熱唱サマー』/赤い公園などもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/









ぼくの、もう1つのブログもご贔屓に!▶︎音楽雑記帳