>オリジナルミニアルバム
>タイトル:雪と砂
>アーティスト:泉まくら
>リリース日:2017年 1月 25日
>記事作成日:2017年 3月 9日





聴きました!

女性ラッパー・泉まくらさんの最新作。
昨年秋に『アイデンティティー』をリリースしたばかりなのに。ハイペースでのリリースですね。



『BLUE』からスタート。
一切張らないウィスパーボイス、健在。でも、初期はもうちょっとリリック的にも「お気楽」だった気がするのですが、以前に比べるとちょっとシリアス度が増してるかもしれませんね。
シンセの音もふんだんだし、コーラスもサンプリングされていたりして。キャッチーで華やかなトラック。

『ヘヴン』。
ラップではあるんだけど、メロディアス。そして、トラックは何だか妖しげ。
妖艶な魅力と、けだるさと。相反するような2つが、何故か違和感なく溶け込んでいる曲でした。

『おあいそ』。
食事の席での情景描写。基本的にはそこに尽きるんだけど、端々で、色んなカタチで盛り込まれている感情の動きが面白い。まるで、定点カメラで食事の風景を眺めながら副音声でそこに写る人の内面の気持ちが聴こえてくるような感じ。
しかし…「めんどくさいからおごる」なんて気風の良い事、ぼくも言ってみたいわ(笑)

『愛とよべよ  feat. 野崎りこん』。
頭のヴァースから、なんか「これまでの泉さんにはないドープでヘヴィな感じだな」と思ってましたが。それは、フィーチャーしている野崎りこんさんの影響なのでしょうか。
ふんわりとしていて、ちょっと気だるげで脱力系のウィスパーボイスが特徴的な泉さんですが…この曲では、エッジが効いていて毒のあるラップが印象的。そして、その雰囲気をそのまま引き継いでの野崎りこんさんのラップも中々にドープ。

『フィクション』。
なんだ…この、虚無感と投げやり感に満ちた曲は。しかも、ほぼほぼ語り。すげぇな、斬新。
『愛とよべよ』のところでも触れたように、ふんわり脱力系が魅力の泉さんにあって、とても異端な曲。聴いてると、鬱々としてくる。以前から、決してハッピーでハートフルな曲を歌っていたわけではないけれど。でも、ここまであからさまに内向的でネガティブなのは、新しい。リリックにある言葉自体がどうかじゃなくて、曲全体がネガティブなオーラのカタマリ。
嫌いじゃないぞ!

『砂の城』。
これもまた、ゾクリとする程にソリッドで冷たい。その切れ味が、病みつきになる感じ。
紛れもなく泉さんの声なんだけど、それは間違いようがないんだけど…だけど、まったく別の人の作品を聴いているよう。何だか、怖い。そして、この怖さが凄くいいんだ。。。

『SNOW』。
ラストの曲ですね。ここ何曲かで立て続けに見せてきた新機軸の、極め付けのような曲。
この曲もまた、声は紛れもなく泉さんなのに雰囲気はまったく別人の感じがする曲。トラックの雰囲気とか歌詞とかっていうだけでなく、歌声(表現方法)も含めた全体的に、まだ出会った事のない泉まくらでした。
低音の響く重たいトラック。だけどもそれ以上に重たくて閉塞感のある、MC。これは…病んでる時に聴いたら、2度とシャバには戻ってこれなくなるぞ(笑)



そんな、計7曲。

前半から、新しい要素は見え隠れしてました。でも、それでもまだ最初のうちは「泉まくらの曲」だったんです。
でも…中盤以降、五段飛ばしくらいの勢いで新しい表情を見せてきて。最初のうちはその変化について行く事すらままならず、大袈裟に言えば「誰の作品を聴いてるんだっけ?」とすらなりそうな感じがしました。

このまま、どこまで変貌して行くのか。それが楽しみ。正直、『アイデンティティー』辺りでは作品に既視感を感じ始めていたところだったので、是非とも本作でチャレンジした新機軸を突破口として更に多様な表現を見せてほしいです。





お気に入りは、
#01 『BLUE』
#04 『愛とよべよ  feat. 野崎りこん』
#05 『フィクション』
#07 『SNOW』





この作品が好きなら、
・『UTUTU EP』/daoko
・『私こぶたちっく』/ボンジュール鈴木
・『#ラブリーミュージック』/ラブリーサマーちゃん
などもいかがでしょうか。





iPod nanoにも入れておきたいレベル(^.^)










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