>オリジナルフルアルバム
>タイトル:Say Hello to My Minions
>アーティスト:SKY-HI × SALU
>リリース日:2016年 10月 26日





聴きました。

AAAの方とラッパー・SALUさんのコラボレーションアルバム。
とりあえず、お二方に対する本作視聴前のイメージを…。

SKY-HIさん。
AAAの方だというのは存じ上げていました。で、そのAAAというのは、なんというか、アイドルユニットっぽい感じの「いかにもavex」っていう人たちだというイメージがあって。なので何となく敬遠しがちだったのですが、一方でSKY-HIさんとしてはいたる所で高評価を目にしていて。ぼくの好きなラッパーさんもSKY-HIさんをフィーチャーしていたりするので、今回、「だったら食わず嫌いせずにちゃんと聴いてみよう」と思ったんですよね。

続いて、SALUさん。
少し前のソロ作『Good morning』が凄く良くて、よく聴いてました。
主義・主張はしっかりとしているものの、個人的な不満や怒りというよりは社会(現代全般)が抱える不健全さやオブジェクションをリリックに乗せているところに好感を持っていました。

…で、本作。
結構、期待してプレイボタンを押しました。実際、カッコイイ曲が多くて、「凄くいいな」と思ってました。
が、ある曲で、実在するアーティストさんや歴史上の偉人などの名前が出てくる曲があったんですよねぇ。そこで…胸糞悪くなって聴くのやめました。

まず第1に、ヒップホップ界隈に居ないアーティストさんを実名挙げてディスるのは反則だと思いました。
ラッパーとしてやっている方は、「Disは文化である」という共通認識の下で創作活動をしていると思うので、そこでのDisりDisられは好きにやったら良いと思うんです。
でも…その共通認識のない相手に対して、一方的にDisるというのはおかしいと思うんですよね。プロとしての、ラッパーとしての矜持が感じられない。
例えば、サッカーしてる人たちのところに行って「俺はラガーマンだから」っつってボールを手で持って走り出す…それは、明らかにラガーマンがダメですよね?それと一緒。「ラグビーグラウンド行けよ」って話だし、そもそもが「何をやってんの⁉︎」という薄ら寒さがある。本作のその曲は、まさにそういう薄ら寒さを感じました。

第2に、相手の名前を出しておきながら、そこにピー音をカブせてる弱腰さが鼻につきました。
ケンカ売るならせめて正面から売ろうよ。ピー音で逃げ場とか確保してんじゃないよ。そうなると多分「発売禁止になっちゃうから」っていう事を言うんだと思うけど…だったらそもそも、そんな私怨や私憤をパッケージングして商業的見返りを得ようとするんじゃないよ。個人的に言いたい事があるなら、直接本人のところに言いに行けっつーの。そこで相手がMCバトルに乗っかってきたら、ようやくそこから「試合開始」でしょう。
その辺の、「Disってるクセにピー音をカブせて逃げ場を作っている」「逃げ場作って弱腰なクセに“言いたい事は言っちゃうよ”的な威勢の良さを見せつけてる」という辺りに、これまた薄ら寒さを感じたのです。



以上の2点の理由から、とても不快な気持ちで聴くのを中断しました。
「自由」というのは「他人の迷惑を省みない事」ではないし、「強さ」というのは「自分のフィールドに引きずり込んでこき下ろす事」ではない。そんな事も分かっていなさそうだったので、本当に、聴くに耐えませんでした。

SALUさんの、ソロ作での主義・主張が嫌いじゃなかったから。共感出来る部分が多かったから。だから、本作を聴いて尚更残念な気持ちになりました。「社会とか未来とか、そういう大きい視野で考えられるラッパーさん」だと思ってたのに…結局は「こんなに自由にNG無しでラップ出来るオレ凄い」的な自己顕示欲の人でしかないように聴こえて。

まぁ、人によって聴こえ方は違うのでしょうけど。ぼくには、そう聴こえました。
ここの曲の感想を書く意欲も湧かない。





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