>カバー&ライブアルバム

>タイトル:男と女〜野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。
>アーティスト:野宮真貴
>リリース日:2016年 8月 31日
>記事作成日:2016年 11月 7日





聴きました!

大ベテラン、野宮真貴さんによる企画アルバム。
タイトルにもあるように、フレンチ渋谷系の楽曲を選んでカバーしたDisc 1と、同コンセプトの過去作に付随したライブの音源を収めたDisc 2。

フレンチポップは知ってます。渋谷系というのがどんなのを指すのかも、何となく把握しています。が、“フレンチ渋谷系”って何⁉︎   まずもって、日本なのかフランスなのか(笑)。
まぁでも、“野宮さんがやってる音楽”と言われれば、何だかストンと納得出来るんですけどね。



まずはDisc 1、スタジオ録音のカバー盤から。



『Prelude』
『男と女』
フレンチ感たっぷりのイントロ『Prelude』から始まり、アルバムタイトルにもなっている『男と女』へ。
この曲は、クレイジーケンバンドの横山剣さんとのデュエットですね。アダルト感満点の2人による、ムーディで優雅な一曲。
ちなみに、訳詞は小西康陽さんだそう。

『双子姉妹の歌』
続いては、クレモンティーヌさんをゲストに迎えての『双子姉妹の歌』へ。
クレモンティーヌさんのフレンチボッサはこれまでにも聴いた事があったのですが…野宮さんとクレさんの歌い方に、こんな親和性があったなんて。凄くふんわりとしていて、軽快で、何よりもまず本当にオシャレ!

『渋谷で5時』
その次も引き続きクレさんを、そして鈴木雅之さんもフィーチャーしての『渋谷で5時』。
鈴木雅之さんを招聘するなんて…ご本人登場パターンじゃないか!(笑)。
この曲も、大人の色香がムンムンの仕上がりに。オリジナルは(そんなにちゃんと聴いた事が無いけど)可愛らしい感じがするけど、こちらはもう、熟年カップルのオトナデートって感じ。

『或る日突然 -Gainsbourg Version-』
流麗なピアノが美しく、そこに絡み合うストリングスは芳醇なミドルバラード。
曲自体を存じ上げなかったのですが、トワ・エ・モアさんなんですね。

『ウィークエンド』
前曲のふんわり優しい世界観からギアをシフトして、軽快で爽快なこの曲へ。
これもまたクレさんとの共演ですね。
ピチカート・ファイヴの名曲を野宮さんが歌っているワケですが…意外と既視感がない。それどころか、とても新鮮。まぁもちろん、世代は幾らかズレているので、ピチカート・ファイヴのバージョンもそんなに聞き込んだ事はなくて。それも理由のひとつなのでしょうが…それにしても、“新しい曲”として、良い!

『男と女 All Scat Version』
なんか、テレビとかで耳にした事のあるオリジナルに、雰囲気が近いですかね。

『東京は夜の七時 -盆踊りVersion-』
急にどうした⁉︎(笑)。
まぁ、この曲は散々やってきてるでしょうからね。そういう意味ではこの『盆踊りVersion』は、野宮さんご本人にとっても古参のファンにとっても良いのかも知れませんが…ライトリスナーには、ひたすら驚きしかない曲(笑)。
クレさん繋がりで、フランス方面での展開を期待してるのかな。外国人にとっては、確かにこの分かりやすい“ニッポン感”はウケるかもだけど。

『スウィート・ソウル・レヴュー -盆踊りVersion-』
ラストも盆踊りをフィーチャー。何故にそんなに盆踊りにこだわるのか(笑)。フレンチ感はあるけど、渋谷系ではなくないか? ボーナストラック扱いだから、そこはもう関係ないんだろうか。



続いて、Disc 2のライブ盤へ。



『東京は夜の七時』
こちらは“音頭”ではなく、ベースのルートがオシャレなジャジーテイスト。うん、ぼくはフツーにこっちのオシャレなバージョンが好きです(笑)。

『MC1』
『WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE』
MCも収録されてるんですね。ご挨拶とショーのコンセプトを説明する『MC1』に続いて、『WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE』。
小洒落てるなぁー。うん、もう、オシャレ以外の何物でもない! ハーモニーが素敵、キーボードのオモチャっぽい質感も素敵、軽快でちょっとだけ感傷的でもあるリズム隊も素敵。もう、これ、ポップスのカタマリ!

『MC2』
『風のような音楽』
前曲と次曲の紹介『MC2』を挟んで、EPOさんの『風のような音楽』。
軽快で爽快な様は確かにフレンチポップのそれだし、親しみやすいのにさりげなくテクニカルなアレンジは渋谷系そのもの。うん、「フレンチ渋谷系ってのはこういう事なんだよねー」というのが端的に分かる曲です。

『MC3』
『フレンズ・アゲイン』
ご自身の音楽ルーツを遡る『MC3』からの、『フレンズ・アゲイン』。オリジナルはフリッパーズギターですね。
打楽器とアコーディオンをフィーチャーした、どこか牧歌的なアレンジが印象的。聴いていると自然と口角が上がってくる感じ。

『MC4』
『ダニエル・モナムール』
『MC4』を枕にしながら、『ダニエル・モナムール』を。
オリジナルを存じ上げないのですが、少なくともこのテイクは、紛れもなくフレンチポップ。フレンチポップと昭和歌謡を足して2で割ったようなテイスト。

『ジャズる心』
これまたオリジナルを知らないのですが…ほぼほぼメンバー紹介だけでは…?
ジャジーな演奏は聴き応えあり!

『コンタクト』
シタールの音が、東洋的なオリエントを感じさせる。
音はそんな感じなんだけど、ボーカル的にはかなり幾何学的というか、記号的な響きを帯びていました。なんだか、頭から離れなくなる曲。

『想い出のロックンローラー』
もう、ホントに、想い出のロックンローラーをそのまま歌詞にしたためたのであろう曲。
偉大なるロックンローラーたちをウィスパーボイスで聴くのは不思議な感じです。

『MC5』
『パリの恋人 / トーキョーの恋人』
なんかもう、物語のスケールが違いますよね(笑)。バブルを知らないぼくからすると、国境を越えた向こうの恋人たちの物語なんか、想像出来ないどころか存在している事自体にピンと来てないですから…。
ある意味では、“フレンチ渋谷系”というカテゴリを象徴する曲なのかもしれません。

『MC6』
『中央フリーウェイ』
ユーミン! 『MC6』の内容を踏まえると、「あぁそんなに“昔の”曲なんだー」と驚かされます。それくらい、メロディ的にもストーリー的にも、今聴いても瑞々しい。
野宮真貴さんを通じて、ユーミンがJ-POPの源流である事を気付かされます。
多くのアーティストさんがカバーされていますが、このバージョンが一番好きかも。

『MC7』
『世界は愛を求めてる』
MCトラックとしてはラストとなる『MC7』を挟んで、『世界は愛を求めてる』。
『WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE』の日本語詞バージョン。作詞を手がけたのは小西康陽さんという事です。『MC7』で野宮さん自身も仰っていますが、ピチカート・ファイヴのプチ復活ですね。その事実に、ちょっとグッと来ます。

『ピチカート・ファイヴ・メドレー2015』
本編も去る事ながら、高揚感を煽られるイントロがもう最高! そしてそこから怒涛のヒットメドレー。知っている曲も、「テレビで聴いた事のあるこの曲はピチカート・ファイヴだったんだ!」な曲も、いろんな曲がギュッと集まったメドレー。何だか素敵。



そんな、2枚組計28曲。

まぁ、MCもトラックとしてカウントしているからというのもありますが、それでも28曲というのは大ボリュームである事に変わりなし。そして、それなのにさらりと聴けちゃいました。フレンチポップやシャンソンという音楽性というのも理由のひとつでしょうが、アレンジのテイストが統一されていたから(コンセプトが一貫していたから)というのも大きいかと。
だからと言って、飽きがくる感じでもなくて。その辺のバランスが良かったです。

ピチカート・ファイヴをリアルタイムで体験していない世代なので、「全体的に、もうちょっと刺激的な音作りでも良かったのに」とは思わないでもなかったですが。





お気に入りは、
Disc 1 - #03 『双子姉妹の歌』
Disc 1 - #05 『ウィークエンド』
Disc 2 - #03 『WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE』
Disc 2 - #16 『中央フリーウェイ』





この作品が好きなら、
・『S.F. sound furniture』/capsule
・『Japan Collection』/マイア・ヒラサワ
・『カヴァメンティーヌ』/クレモンティーヌ
などもいかがでしょうか。





iPod classicには入れておきたいレベルf^_^;)










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