>オリジナルフルアルバム
>タイトル:醒めない
>アーティスト:スピッツ
>リリース日:2016年 7月 27日





聴きました!

ベテランバンドのスピッツさんによる最新作。
ジャケット見ただけでもそう思うのですが…この方々の作品は、どうして、年齢とともに可愛らしく、愛らしくなっていくのでしょうか(笑)単に「若々しくなっていく」というよりも、なんというか「ガーリーなポップさ」をまとって来始めている気が。



表題曲『醒めない』からスタート。
ラインダンスでも踊れそうな、軽快に跳ねるビート。そして、高らかに鳴り響くファンファーレのようなシンセ。これから始まる物語へのイントロダクションとでも言えそうな、珠玉のポップ。

優しいミドルチューン、『みなと』。
スピッツの王道、シンプルでさりげないんだけどしんと奥まで沁み込んでくる楽曲。
歌詞は相変わらず抽象的だけれども、他の作品群に比べると飲み込みやすいかも。

ヤンチャな側面が顔を出しました、『子グマ!子グマ!』。
まずタイトル(笑)こんなタイトルの新譜を出せるアラフィフは、おそらく草野さんだけ。
ボーカルのメロディラインや、それを補完する演奏陣のアレンジのテイストには、ぼくが大好きな過去作『ミカンズのテーマ』(アルバム『三日月ロック』に収録)に通じるものがある気がして良かった。

これはまた、別の意味での「スピッツの王道」、『コメット』。
流麗で軽快なBPMなんだけれどもシリアスで切ない世界観。そのギャップのおかげで、胸が苦しくなるのです。
透明感のあるトラックも、ガラス細工のように繊細。

何だこのタイトル、『ナサケモノ』。
サビまで来てようやく、これがミスタイプではない事が分かる(笑)
凄くポップでキャッチーなんだけれども、端々にクセがあって。それが絶妙に頭に残るんですよねぇ。

奔放なプレイが印象的なアッパーチューン、『グリーン』。
そういう意図があるのかどうかは分かりませんが…青春の蒼い時代を歌っているような気がして。「それは確かに『グリーン』だ!」と。

一転して、演奏陣が重厚感のあるプレイを見せる曲『SJ』。
凄く奔放で自由な音楽を生み出す一方で、このように重厚感のあるバンドアンサンブルを聴かせてくれる曲もある。スピッツというバンドが支持される理由のひとつは、この辺なのでは。

そして、ヘヴィなバンドサウンドと奔放で自由なプレイの両方をミックスしたような曲が、この『ハチの針』。
ベースの田村さん、ノリノリですね。グルーヴィ!リズム隊が音圧全開で響かせる反面、ギター三輪さんは軽重を軽やかに行き来するアグレッシブさを見せ、ボーカル草野さんは無邪気に歌う。「ここがバンドの現在地なんだろうな」というのがよく分かる一曲。

アンニュイな曲、その名も『モニャモニャ』。
近年の草野さんのネーミングセンスは、他の追随を許さない独創性がありますよね。しかも、ただ奇抜なだけではなく、的を得たタイトルだから驚きです。この曲も、どう考えても『モニャモニャ』だもんなぁ(笑)
スチールギターなのかな…浮遊感のある音色が全体の空気感を作り出していて。ふんわりと浮かび上がるような、微睡むような曲。

遊び心満点の『ガラクタ』。
ボーカルのメロディラインなどは予想外の方向に流れていって、「あぁ、スピッツだなぁ」っていう感じがします。ヤンチャで陽気なんだけど、そういう意味で安心出来る曲。

透明感のあるトラックと緊張感のあるボーカルの相性が絶妙な、『ヒビスクス』。
まず、『ヒビスクス』というのが何なのかを調べてみたら、ハイビスカスの事なんですね。ラテン語だそうで。
歌詞はとても抽象的。後悔の歌のようであり、希望の歌のようでもある。過去を思う歌のようでもあるけど未来に思いを馳せている歌にも取れる。
それは曲全体にも当てはまり…切ない曲のようでありつつ力強くもあって、哀しく響くけれども前向きにもなれる。
不思議な曲。

可愛い系ポップチューンに戻って、『ブチ』。
チープなシンセの音が、懐かしくて新しい。例えばサニーデイ・サービスとか、スピッツさんと似たような世代のフォーキーなバンドの曲っぽい印象を受けました(もちろん、似通ってるとかカブってるとかそういう意味ではないんです)。

配信シングル、『雪風』。
冬の北海道を舞台にしたドラマの主題歌でしたね。あのドラマの印象と相まって、とても幸福で「温かい」冬の空気を感じる曲です。
僕の実家も結構な雪国なのですが…しんしんと雪の降る夜や時間が止まったように静かな朝など、寒いんだけどそこはかとなく温かい、そんな冬を、北の人たちなら分かってもらえるのでは。
この曲は、そんな空気感をそのまま音にしたような曲。

ラストは『こんにちは』。
ポジティブ弾ける爽快チューン。スピッツさんは、こういうポップでハッピーな曲でアルバムを〆る事が多い気がします。今回もそのフォーマットに則って、上向いた気分で終わらせてくれる曲。



そんな、計14曲。

ボリューミーな曲数ですが、それを感じさせる事なくさらりと聴き終えられました。
悪く言えば「引っかかりが無い」という事になるのでしょうが…ここは敢えて、「味わい深い」と言っておきたい。聴けば聴くほど味わいが増す作品集でした。

この方々の過去作で言えば、個人的には『三日月ロック』に似ているなぁと、感じました。あのアルバムは大大大好きなので、本作もとても好意的に聴く事が出来ました。





お気に入りは、
#01 『醒めない』
#03 『子グマ!子グマ!』
#08 『ハチの針』
#11 『ヒビスクス』
#13 『雪風』





この作品が好きなら、
・『風のクロマ』/レミオロメン
・『純情ランドセル』/赤い公園
・『猫とアレルギー』/きのこ帝国
などもいかがでしょうか。





iPod nanoにも入れておきたいレベル(^.^)










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