>企画アルバム
>タイトル:懐かしい月は新しい月~Coupling & Remix Works~
>アーティスト:サカナクション
>リリース日:2015年 8月 5日




聴きました!

シングルのカップリングや、外部リミキサーらによるリミックス楽曲が収められた、2枚組の企画アルバムとの事。

新譜が出る度にチェックはしてきていて、大好きな曲も何曲かありつつ、でもそんなにガッッッツリと聞き込んできたという程ではないライトリスナーなぼくには、普通に新譜のように楽しめました。


まずはDisc 1、『月の波形~Coupling & Unreleased works』のほうから。

#01、『ホーリーダンス』。のっけからかっこいいわぁ。四つ打ちの生音とダンサブルなデジタルサウンドがガチッと融合してます。

アンダーグラウンドな匂いとキャッチーさとが共存するダンスチューン、『Ame(A)』。DTM的アプローチではあるんだけど、だけど曲に個性を与えているのは確実にメンバーの生音。全面にガーッと出てくるわけではないんだけど、要所をちゃんと抑えています。そのバランス感覚に、Mr.Childrenのギター・田原皇帝のスタイルを思い出しました。

#03、『multiple exposure』。バンド感強め。歌詞はネガティブなワードも並んでるんだけど、だけど内向的な感じはしないんですよねぇ。むしろ、躍動感であったり力強さのようなものを感じます。

#04、『years』。繊細で感傷的なギターリフに始まり、物悲しく滲んだボーカルがぎゅっと胸を締め付けます。サビの張らない高音が、逆にインパクト大。

日常の“生活の音”から始まる『映画(コンテ 2012/11/16 17:24)』。何気なく始まる歌、それはまさに日常生活の延長線上に音楽があるという事を示唆するかのような…考えすぎか(笑)

#06『スローモーション』。再び骨太なウーファーが効いたカッコイイ系の曲に。シンセが効いてます。この方々の音楽って、シンセが重要な役割を果たしている事が多い気がするのです。ダイナミックなバンドの音と、無機的な打ち込みの音。ともするとバッティングしかねない両者を、とてもバランスよく調和させてくれています。

#07、『スローモーション』。感傷的で繊細なパートあり、ノイジーでアシンメトリーなパートあり、聖歌のように神々しいパートあり。組曲のような曲。

緻密に作り込まれてるんだろうけど、他の曲よりもラフで遊び心重視のトラックメイキングをしているようにも感じられる『もどかしい日々』。アクティブというか、アグレッシブな印象を受けます。

#08、『スプーンと汗』。どことなくユーモラスな雰囲気すら漂わせるタイトルとは裏腹に、非常に重たく妖しげな世界観。ホラー映画の主題歌でもおかしくなさそう。でも、おどろおどろしいのともちょっと違い、美しさと儚さを兼ね備えているメロウチューン。

物静かな佇まいから始まって、浮遊感をもって広がっていく『ネプトゥーヌス』。(「構成」ではなく「佇まい」的な意味合いで)ヨーロッパの歌劇のような、美しさと深淵さを兼ね備えた曲。

幾何学的に刻むビートが印象的なインスト曲『montage』。インストながら、本作を象徴するような世界観。

イントロのコーラス(というかもはや合唱)が「まさにサカナクション」な曲『ナイトフィッシングイズグッド(Iw_Remix)』。ここからはメンバーによるリミックスが続きます。世の中の多くのリミックス作品がそうであるように、このリミックスもまたトラックにフォーカスした構成。

#12、『ミュージック(Ej_Remix)』。前半は比較的オリジナルの面影を残しているように感じましたが、中盤以降はエレクトロのモードが全開に。ウーファーMAXで大音量で聴きたい。

#13、『アイデンティティ(Ks_Remix)』。こちらはもう、ハナからケツまで全面的に再構築している感じです。やはりサカナクションは凄いですね、メンバーみんながトラックメイクを出来るんだから。この作品を聴くと、ライブでメンバー全員が横一列でMacに向かってパフォーマンスするあの斬新なビジュアルがむしろしっくりきます。

Disc 1のラスト『GO TO THE FUTURE(2006 ver.)』。ここへ来て、まさかのアコースティックサウンド!でも、アルバムとしての統一感を壊すでもなく…何だかよく分からないけど凄いなこの曲(笑)


そして、『月の変容~Remix Works~』と題されたDisc 2へ。こちらは、外部リミキサー(もしくはメンバーとの連名)によるRemix集。

#01、『グッドバイ(NEXT WORLD REMIX)』。比較的王道なエレクトロのアプローチに聴こえました。それでも個性を失っていないのは、バンドの力かコンポーザーの力かリミキサーの力か…いや、その全部なんだろうな。

#02、『Ame(B) -SAKANATRIBE × ATM version-』。これはもはや完全にフロア仕様。声とボーカルラインは、サンプル素材の一部として断片的に使用されているに過ぎないですね。それなのに「ちゃんとサカナクション」だから凄い。

そう思って聴いているからかもしれないけど、電グルっぽさ満点の『ルーキー(Takkyu Ishino Remix)』。なんなら、『ルーキー』と電グル曲のマッシュアップ作品と言われても信じそうな感じ。とにかくカッコいいです。

#04、『三日月サンセット(FPM EVERLUST MIX)』。これまた「らしい」曲。FPMさんの、洒脱でポップでユーモラスなサウンドが全開。

#05、『ラストダンス(YSST Remix 2015)』。砂原良徳さんによるリミックス。こうやって見ると(聴くと)、サカナクションと電グル周辺の親和性の高さがよく分かります。

#06、『映画(AOKI Takamasa Remix)』。Disc 2は、エレクトロから始まって徐々にテクノに流れてきている感じがしますね。

これもまたテクノ全開、『サンプル(cosmic version)』。ダンサブルなビートに波のようなシンセが乗っかれば、嫌が応にも体がリズムを取り始めます。でも…もはやサカナクションという枠を超え始めている(笑)

サカナクションの原型を取り戻して(笑)の、『さよならはエモーション(Qurion Remix)』。
本作収録曲の多くに見られるように、この曲もまた繊細さと緻密さに溢れた仕上がり。

アダルトな雰囲気満点の、『YES NO(AOKI Takamasa Remix)』。バラの匂いが薫って来そうな程の、アダルトでムーディな仕上がり。

#10、『夜の踊り子(agraph Remix)』。オリジナルの派手でエモーショナルなアレンジとは対極と言っていいであろう、ビロードのような艶かしい仕上がり。オリジナルが陽光だとしたら、こちらは月光といったところか。
これはこれでイイぞ!

#11、『ミュージック(Cornelius Remix)』。サカナクションの楽曲は全体的にそうだし、本作もまさにそういう雰囲気で統一されていると言って良いであろう、ドライとすら言えるまでの緊張感と機械的ですらある緻密な構成。その中において、生音の温もりと柔和さとによって異彩を放っているこの曲。正直、なんだかホッとします。

ラスト、『ネイティブダンサー(rei harakami へっぽこre-arrange)』。楽曲の繊細さとは裏腹のタイトルに癒されます。
それにしても…rei harakamiさん、逝くの早過ぎですよ。。。


そんな、2枚組計26曲。
更に、初回盤にはドキュメンタリーDVDが付いているそうです。

バンドでありながら、バンドのアンサンブルに固執しない。全くもって斬新なグループである事を、改めて見せつけられる作品でした。
メンバーは、プレイヤーとしてのアイデンディティと同じくらいの分量でトラックメイカー・アレンジャーとしての意識も持ち合わせているんだろうな。




お気に入りは、
Disc 1 - #01 『ホーリーダンス』
Disc 1 - #04 『years』
Disc 1 - #08 『スプーンと汗』
Disc 2 - #03 『ルーキー(Takkyu Ishino Remix)』
Disc 2 - #10 『夜の踊り子(agraph Remix)』
Disc 2 - #11 『ミュージック(Cornelius Remix)』




この作品が好きなら、
・『Mirrors』/フルカワミキ
・『月の反射でみてた』/宇宙コンビニ
・『For Bored Dancers』/TAMTAM
などもいかがでしょうか。




iPod classicには入れておきたいレベルf^_^;)









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