上海生まれ&育ちの息子だが、いつか本帰国し、”帰国子女”と呼ばれる日が、待って

いる。

その日のために乳児期から日本語での読み聞かせを続けて来た。

日本人学校へ進学したこともあって、日本語力は、日本育ちのお子さんと遜色ないレベル

だと感じている。

 

一方、上海育ちは、なかなか経験出来ないこともあるのは、確かだ。

その最たることは、”単独行動”だ。

この国では、残念ながら売買を目的とした子どもの誘拐が、後を絶たない。

また、急激なモータリゼーション化によりドライバー歴の浅い運転手が多く、上海では、

交通事故が頻発している。

これらの事情から日本人学校では、子どもの単独行動を禁じている。

中国語を話せるとは言え、親としても1人で歩かせる勇気はなく、息子は、未だに単独行動

をしたことがない。

結果、上海日本人学校の児童が、本帰国後、最初に直面する困難は、学校の登下校。

何しろスクールバスもしくは親の送迎で通学していたため、1人で通学したことがないのだ。

先に本帰国した先輩ママからは、心配のあまり密かに尾行し、電柱の陰から見守った話や

徒歩10分の通学路をいつまで経っても戻って来ないと心配していたら、道に迷ったお子さん

が、泣きじゃくりながら帰宅した話なども聞く。

日本にお住いの方からしたら、”過保護”に思われるだろうが、これが、真実の姿だ。

 

一時帰国の際は、出来るだけ”日本の日常”を体験させるように工夫している。

最初に教えたのは、見知らぬ人に道を尋ねる方法。

尋ねる相手は、インフォメーションセンターや警察官、駅員さん等の信頼出来る人を選ぶ。

実際に道を尋ねる練習も何度もした。

 

次に買い物での支払い方法を教えた。

小学生になって、息子専用の首から下げる財布を用意し、自分の買い物は、自分で支払う

ようにした。

日本の紙幣や硬貨の種類を説明し、レジで支払う実践練習を重ね、スムーズにお金のやり

取りを出来るようになったと思ったら・・・息子の聖地”書店”にて千円札と間違い、うっかり

10元札(約150円)を取り出し、店員さんも”毛沢東主席”とのご対面にビックリ!ポーン

(上海での釣銭を同じ財布に保管していたらしい。)

気が動転した息子は、「母さ~ん、お金が足りない!」と離れた場所で見守っていたネズミへ

出動要請。

 

旅先では、レンタサイクルを利用し、日本で自転車に乗る時の交通ルールも教えた。

道を渡る時、一旦停止し、左右を確認してから渡り、風を切って初めての土地を巡った。

 

また、バスや電車の乗り方、切符の買い方、乗り越し精算の方法も教えている。

夏休みに立ち寄った東京で山手線に乗車するため、券売機の上にある運賃が示された

路線図を見ながら、「新宿駅までは、いくら?」と出題したら・・・

「母さん、新宿ってどこにあるの?」と息子。

えっ、新宿を知らないの?とばかりに周囲の方々が、一斉に振り返ったが、土地勘のない

上海育ちが、知るわけがなかった・・・。

周知の事実とばかりに尋ねた母さんが、悪かったと平謝りし、丁寧に教えておいた。

鉄道好きな息子の飲み込みは早く、久しぶりの日本の券売機の扱いにまごまごしていると、

「はい、ここを押して!」と逆に指導されることもある昨今。

誰が、教える立場なのか、ビミョーになって来た・・・。ニヤリ

 

いつか帰国子女となった時、日本の暮らしにソフトランディング出来るよう、サポートして

いきたい。

 

* おまけ *

日本での買い物で息子にとって難しいのは、消費税が外税であること。

基本的に内税の中国では、値札の金額を支払えばよいが、日本では、消費税分を計算し、

上乗せしなければならない。

10月から消費税が10%になり、計算しやすくなるが、息子の財布には、痛手だ。

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日本で時折息子が、「●●元」と通貨を間違えるのは、ご愛嬌ということで・・・。てへぺろ