上海で日本人小学生の進学先には、3つの選択肢がある。

1.日本人学校(虹橋校、浦東校)

  文科省の学習指導要領に準拠し、日本語で学ぶ。

  週1回の英語及び中国語の授業あり。

 

2.インター校

  イギリス系、アメリカ系、シンガポール系等があり、各校によって英語や中国語の

  学習比率は異なる。

  中には、日本語(国語)が選択科目にある学校も。

 

3.ローカル学校の国際班(インタークラス)

  英語と中国語で学ぶ。

  インタークラスとは言え、実際は、中国からアメリカやカナダへ帰化した家庭が大半

  の学校も。

 

学費順の傾向としては、インター校>ローカル学校の国際班(インタークラス)>日本人

学校。

ただし、日本人学校の場合、文科省や上海日本商工クラブのご支援により、学費が抑え

られ、国外に居ながら日本政府の恩恵を受けている。

 

ローカル幼稚園(中国語&英語)で学んだ息子の進学先として、当時、検討したのは、

日本人学校とローカル学校の国際班(インタークラス)だった。

本人の希望で日本人学校を選択し、現在に至るが、結果としてこの選択で良かったと思っ

ている。

複数理由があるが、上海生活が長いネズミ家の視点としては・・・

1.高度な日本語を習得出来る。(日本と同じ授業時間が確保されている。)

2.蔵書3万冊の図書室を利用可能。(個々の家庭では、ここまでの環境は整えられない。)

3.日本的な行事(入学式や卒業式、運動会等)を体験出来る。

4.クラブ活動や委員会活動で協働を学べる。(将来、組織で働く基礎を築く。)

5.日本的な規律や協調性、思いやりが身につく。

6.将来、日本で高等教育を受ける環境に順応しやすい。

 

「日本人学校へ進学すると日本語のみのモノリンガル(単一言語の習得者)になる。折角の

海外生活なのに勿体ない。」とネズミ家も何度も言われたが、高度な母語を習得しなけれ

ば、抽象的な概念を理解する高等教育に対応することは難しい、という事実がある。

英語や中国語を本格的に学びたい場合は、余暇を使い、本人の努力と親の工夫次第で

習得出来ると思う。

 

「日本人学校は、座学が多く、プレゼン力が育ちづらい。」との外野の声も聞くが、実際の

授業参観で受ける印象は、少し違う。

アクティブラーニング(課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習)の手法を

取り入れ、校外でのフィールドワーク、グループでの話し合いと発表、各自によるプレゼン

という授業も行われている。

本帰国後、日本の公立小学校へ編入し、「日本人学校の方が、面白かった。」と言うお子

さんの声も聞く。

 

「日本人学校は、お弁当持参で面倒。」という声も聞くが、我が子の健康を思うとこの国

では、手作りが安心だと思い、毎日持たせている。

子育てなんて限られた年数だからこそ、今、出来る事を大切にしたいと思っている。

 

海外生活が長いからこそ日本人としてのアイデンティティの確立と高度な母語力(日本語

力)を習得したいというネズミ家には、日本人学校が合っている。

しかし、今後も世界各地に駐在予定のある家庭は、カバー力の高い英語で学ぶインター校

が向いているかもしれない。(日本人だが、母語は英語になる覚悟と親がどこまで英語に

よる勉強をフォロー出来るか、が鍵となる。)

そして、貴重な機会だからこそ思い切ってインター校やローカル学校の国際班(インター

クラス)を経験させたい、というご家庭もあるかもしれない。(ただし、臨界期の9歳未満で

本帰国した場合、現地で学んだ英語や中国語は忘れやすく、保持は容易ではない。)

各ご家庭のニーズとお子さんの性格を鑑み、最善の選択をなさって下さい。

 

* おまけ *

学校選択の際、核となる”母語”の決定も非常に重要だと思う。

母語で学ぶと深く理解出来るだけではなく、母語で思考することにより精神も安定する。

異なる言語の学校を転々とし、第1言語も第2言語も年齢相応に達していないセミリンガル

(ダブルリミテッド)の成人と遭遇したことがあるが、「日常会話は話せても大人の話題で

深い話をするのは難しい。」とのことだった。

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日本人学校は、セキュリティー体制の事情から見学不可のため、このブログがご参考に

なれば幸いです。