木々は青く
風は西から東へ
水面を駆ける
大地は深く
今日麗らか
アスファルトの間から芽生えた雑草
水瓶の中で踊るミジンコ
尻尾の千切れた蜥蜴
一瞬、一瞬、移り変わる世界が
毎瞬、毎瞬、美し過ぎて
曇った瞳で眺めてしまうのは
もったいないと思った
俯いてしまうのは良いけれど
そこに新しい命を発見しないのは
もったいないと思った
身を乗り出し必死に生きなければ
もったいないと思った
これから始まる命だとか
安らかに終わる命だとか
平等に暖かい陽の薫りを
余すことなく全身に感じて
歴史を刻んでいく
まるで何も終わっていないかのような時の流れ
まるで初めから何も無かったかのような静けさ
体はしっかり前を向いているのに
真っ直ぐ歩くためだけの
情報さえ入ってこないのは
その事実に辿り着けないように
少しずつ自分を騙していた
生きているものは皆
産声と共に漏斗の中へ滑り落ち
ぐるぐるとかき混ざり
少しつっかかった後に
瞬く間に押し出される
何百億光年先に弾かれ
マルチバースの何処かへと
また生まれる
乾いた空気を満たし
湿った空気を裂く
枯葉が擦れあって立てる音や
雪道を長靴で歩いた時の音の様に
声は常に自然の中に在った
抱き上げた時の得ならぬ胸の痛み
それら全て
するりするりと
狭まった出口へ
抗うことも許されぬスピードで
か細く、か弱く姿を変え
落ちていく
無常
尊い
サヨナラ