福島孝徳先生ありがとうございました。やすらかに。 | DJ.CHAN-TAKAはDJなのです

福島孝徳先生ありがとうございました。やすらかに。

 
 
福島孝徳先生が、永眠されたというニュースをみました。
 
 
 
僕の母は、2017年の12月に福島孝徳先生による
頭蓋底髄膜腫の摘出を受け、
いまも元気に生きています。
 
 
孫も二人とも、だっこさせてあげることができました。
 
 
 
いろいろ思い返したので、ここに経緯を書いておこうと思います。
少し長くなりますが、お付き合いください。
 
 
 
 
 
2017年の夏
僕の母は、かねてから顔の右ほほにできたこぶのようなものが
最近大きくなっているのではと感じ、近所のクリニックを受診しました。
 
 
 
クリニックの医師は、
「顔のこぶは特に悪さをするものではないが、取りたいのであれば取りましょう、
ただし念のため、大きな病院で頭部全体の検査を受けましょう」
とのことで、
母も納得し、後日市内にある大学病院で頭部MRIを受けることになりました。
 
 
 
 
検査当日、頭部MRIの撮影が終了したときにそれは発覚して、
 
こぶの位置とは無関係な、頭部の中心中央左側に大きな何かが映っていました。
素人にもわかる異常な存在感を示すそれは、
 
 
 
「頭蓋底髄膜種」
 
 
 
と呼ばれる腫瘍であると告げられました。
 
 
 
この時点で、当時病院に勤務をしていた僕に、父から知らせがありました。
父はかなりショックを受けていた様子で、腫瘍の概要と、
「もう母は助からないかもしれない、よい医者を探してくれないか」
とだけ、僕に伝えました。
 
 
僕はわけもわからないまま、もてるネットワークをすべて駆使して、
一般の人間が診てもらえる可能性のある脳神経外科の名医を探し始めました。
 
 
 
 
 
その後、大学病院脳神経外科の医師から手術に関する説明がありました。
 
 
 
 
母の頭蓋底髄膜種は、小柄な人間の握りこぶしに匹敵するほどの超特大なもので、
 
写真に写るその存在感は、どかすことのできない壁、岩のような
言葉では言い表せない異様さがみて取れました。
 
 
 
大学病院脳神経外科の医師曰く
 
「良性ではあるが他の脳機関を大きく圧迫している。すぐにでも取るべき。
取らないのであれば、予後は長く見てあと5年程度。
オペの場合でも、一度のオペで取りきることはできず、
一度閉頭し、回復を待って再度行う、DCSのような術式を考えている。
手術難度はかなり高く、この病院でも経験はないもの」
 
と聞きました。
 
 
僕は、その医師の言葉を
「手術せず予後を過ごすか、危険を冒して手術するか。手術をした場合もほぼ助からない」
 
といっていることだと認識しました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
母が死ぬ
 
 
 
 
 
 
 
 
このとき妻のおなかには16週に満たない、
両親にとって初孫になる長女がいました。
 
 
 
 
 
孫の顔も見せられずおばあちゃんにしてあげられない
息子が人の親になった姿も見せてあげれないのか
 
 
 
あれほど自分が情けなく、親不孝者だと感じたことはなかったです。
 
 
 
 
そして肝心の医者探しはというと、
 
 
僕が当時勤めていた病院では、僕は医療連携の仕事はしていませんでしたが、
昔取った杵柄で、自身の仕事の手が空いているときは医療連携チームの
手伝いをすることもあったため、コミュニケーションは取りやすい状態にありました。
 
そこでそのチーム員から、
 
世界的に有名な福島孝徳先生が日本でオペをする際に
間借り的に利用している病院が都内にも何か所かあり、
その病院が、僕が勤めていた病院と最近大きく関係性を持ち始めた
南東北グループの「総合東京病院」である
 
という情報を得ました。
 
 
早速、個人的に総合東京病院に連絡をしましたが、
福島先生とのコネクションについては回答不可とのことでした。
 
 
 
理由は、福島先生は南東北グループ専属の医師ではないため、
その診療に関することはわからない、回答できないということでした。
 
 
 
諦めがつかなかった僕は、医療連携の時に一度だけ面識のあった
総合東京病院の連携室事務員にコンタクトをとることにしました。
 
 
 
結果として、その事務員の方から、
福島先生の診療を受ける可能性がある方法を教えていただくことができました。
 
 
その内容は、
東京都の千代田区にある小さなクリニックで、
福島先生の弟子先生が診察をし、
福島先生が行うべき症例かどうかを精査する外来、
通称「福島外来」があると。
そこで福島先生が担当すべき案件と判断された場合、
福島先生に診てもらえる可能性があると。
 
 
 
 
 
 
これだけでもなんと眉唾のような、都市伝説のような話です。
 
 
 
 
 
 
ですが当時、藁をもすがる思いだった僕は、
わずかでも可能性があるなら、と伝え、
親切なその方は予約の手伝いまでしてくださいました。
 
 
 
 
その時は、
まさか自分の母が世界的名医に手術をしてもらえるとは思っておらず、
 
母の症例にあった医師を紹介してもらえるかもしれない
もしかしたら、手術を受けて長く生きられる未来があるのかもしれない
 
程度の期待をもって、予約の日に母をそのクリニックへ連れて行きました。
 
 
 
ついてすぐ、そのクリニックで簡単な説明がありました。
それは、通常の保険診療プラス2万円の診察料がかかるとのこと。
 
 
 
 
 
 
 
え?それだけ?
 
 
 
 
 
 
 
ますます、福島先生に診ていただける可能性が低いことを感じていました。
普通こういうのって自立するほどの札束をもなかの箱底に敷き詰めて
「なんとか母を、、」「いやいや困りましたな」
みたいなドクターエックスに出てくるようなやり取りがあるのかと思っていました。
 
事務の方の説明書きの中には、そのような行為は一切受け付けないと
はっきり書かれてありましたので、なお驚きましたが。
 
 
 
診察の順番を待ち、診察室に呼ばれましたが、
外来にいた先生はかなりお若かったです。
 
その若い先生は、診察をし、
母の病状、画像等を一通り確認したあと
 
僕たちにしばらく待つように伝えました。
 
 
 
 
 
 
しばらくしてまた診察室に呼ばれて、
 
「この症例は福島案件です。
たまたまですが、来月の初めに福島が日本にくるので、
この日にまたこちらに来てください」
 
 
 
 
 
 
 
 
え?
福島先生に診てもらえるの?
 
 
 
 
 
 
 
 
あっけにとられたまま両親は、帰りの道中、
何度も僕に、「本当にあの福島先生なのか」と尋ね、
僕もあまりのとんとん拍子に、正直わからなくなっていました。
 
 
 
そのあとで福島孝徳先生の評判を再度調べに調べ、
調べるほどに今起きていることが信じられないものだという
認識を深めていました。
 
 
 
続く。。。。