僕は強迫性障害を抱えているということを、特に誰にも隠してはいない。傷ついた経験は何度もある。強迫の確認行為はなるべく目立たないようにやるが、それでも奇異の目で見られたことは多い。
初めて会った人といろいろ話をした後、精神に障害を抱えていると言ったら、「全然ふつうじゃん」と言われたことがある。全然ふつう?? なにをもって「ふつう」と言われたのか。精神障害者はおかしなことをすると思われているのか? 就職には、障害者採用というものがある。障害者だということを、オープンにして仕事に就く。雇用主だけが知っている場合もあるのかもしれないが、仕事内容として、補助的なものが多いので、「この人は障害があるんだよ」ということは、基本的に同僚みんなが共有するんじゃないかと思う。
さて、考えてみよう。逆の立場だったら。
僕は健康でその会社で働いているとする。そこに精神障害を持つ人が入社してきた。精神障害? それって何だ? あたまがおかしいということか? 突然暴れだしたり、叫んだり、攻撃してくるんじゃないか? 一緒に働いていて大丈夫か?
という不安がよぎるんじゃないだろうか。普通の人の、精神障害に対するイメージとか知識なんて、
そんなものじゃないか? 異常だ、とか錯乱していると思っているのでは? 全員がそういうわけではないけれど、こわいと感じる人もきっといるはずだ。
病気を抱えている立場からすると、そういう無理解を体験をしたら精神障害があるということを、隠したくなることもあるんじゃないだろうか。
全員に知るように強要するのは、無理な話だ。それだったら、たまたま僕と縁があって、実際の精神障害者というものに接した人たちに、相手に無理のない範囲で、病気のことを話して、どういうものなのか知ってもらいたいと思っている。だから僕は隠さない。自分が多少傷つくことがあったとしても、今わかってもらえれば、その人はきっとこれから生きていく中で、精神障害者への接し方を考えてくれると思うから。
人はやっぱり体験してみないと、具体的に考えるのは難しい。