失われつつある子どもの「間」について
「子どもたちの三間(時間、空間、仲間)が失われつつある」と言われている今。
子どもたちにとって一番大切な「間」とは何なのでしょうか?
今日はそこを深掘りしていきたいと思います。
自由に拘る子どもたち
最近の学童保育所の子どもたち。
やたらと「自由」に拘ります。
特に思春期に入り始めた4年生くらいの子からよく聞かれます。
子どもたちの言ってる「自由」とは?
自分の思うがままに身勝手にする。
これなんでしょうね。
だって、毎日やたらとこんな言葉を連発していますから。
「おやつなんて自分の好きな時間に食べたらいいやん」
「俺、おやつ要らないから自由に遊んでていいやろ?」
「席なんて決めなくても、いつでも自由でいいやん」
「先生、ずーっと自由にしよ」
まあ、一応集団生活ということで、それなりに決まった時間はあります。
とにかくそれが嫌なんですね。
とはいえ、学童保育所は小学校に比べると、かなり自由だと思いますよ。
学校がある平日なんて、おやつと帰りの会以外はほぼ自由に遊んでいますから。
というか、そもそも人はいつでも自由なんですけどね(笑)
でも、子どもたちは「自由」に拘ります。
なぜ「自由」に拘るのか?
ではなぜ、最近の子どもたちは「自由」に拘るのでしょうか?
第一に言えることは、日々忙しい子どもたちが増えているからではないかなと思います。
要するに今の子たちは「時間」がない。
実はこの子たち。
ほぼ毎日、小学校から学童保育所へきて、その後途中で習い事に向かいます。
そして家に帰った後、急いでご飯を食べて、ほぼ毎夜親子でスポ少の自主練に出掛けているそうです。
更に、土日はスポ少練習や試合。
しかもこのメンバー、小学校から夜までいつも絶えず一緒なんですね。
そしてまた月曜日が始まる。
他にも、毎日びっしり予定が詰まっている子の多いこと多いこと。
これが学年が上がれば上がるほど増えていきます。
この子たちが「自由」に拘る気持ち、何となく分かるような気もします。
どこで一番自由を望むか?
そりゃ、学童保育所になりますよね。
ただ、お家の人たちから言わせると、
「子が望んで、子が好きなことをやっているのだから、ストレスが溜まるわけがない。」
こういう思い込みがあるようです。
いや、子どもも毎日頑張ってるで。
ちょっと話はズレますが、YouTubeでこのテーマについても話しています。
こちらもぜひぜひご覧ください。
戻りますね。
一方で、習い事をしていない子や、土日も空いている子たちが「自由」に拘らないのか?と言われると、実はそうでもないのです。
つまり、必ずしも「時間」がないから「自由」に拘っているわけでもないのですね。
例えば、いつも「自由気まま」に過ごしている子。
その子は特に平日も休日も忙しくありません。
そこで先日、家ではどうですか?と母さんに聞いてみました。
すると、
「家では部屋でゲームばかりしているのであまり分からなくて…」
こう返ってきました。
では、時間より大切な「間」とは何なのでしょうか?
今の子どもたちにとって大切な「間」とは?
今の子どもたちに欠けている、大切な「間」とは。
それは、「心の隙間時間」なのだと思います。
これは子どもに限らず、大人も。
今の人たちは、「いつも何かしている」が当たり前になっています。
たとえ時間があっても、「何かしないといけない」「何かしていないと落ち着かない」
そんな思い込みがある人が多いですね。
つまり、家の中で特に何もせず、落ち着いてゆっくり過ごす時間=隙間時間が減っている。
この「隙間時間」が無いと、「心のゆとり」「心の満足感」が欠けてきます。
実はこの「自由」に拘る子たち。
時間が有る・無い、関係なく、一つだけ大きな共通点があるのです。
それは、こんなに毎日「自由、自由」を連発しているのに、なぜかいつも学童にきて、なぜかいつの間にか私たちの側にちょこんと座り、なぜかいつも話しをしてきます。
子どもたちが求めていることは何か?
それは、ふと空いた「隙間時間」の中でのたわいもない会話です。
私もですが、親はつい子どもに対して、「こんなに手を掛けているのだから満足しているだろう」と思ってしまいがち。
でも、違います。
手を掛けてあげることよりも、ほんの少しの隙間時間の中でのたわいもない会話の方が、子どもの「心の安心」「心の充実」に繋がります。
それがやがて「心のゆとり」に繋がるのではないんでしょうかね。
じゃあ、「習い事やゲーム時間を辞めさせて、子どもにゆっくりさせる時間を取らせたらいいのか?」と言われるとそうでもなく。
決してそれらが駄目という訳でもないんですね。
それはご家庭それぞれですから、否定はしません。
それよりも、ほんのちょこっとの隙間時間をどのように過ごすか?が大切なのだと思います。
たわいもない家族との会話時間を取る。
何となく家族が集まる時間を大切にする。
何もしていない時間を楽しむ。
これらが大切だと思いますよ。
ちなみに我が家では、みんながお風呂に入った後、何となくみんなが集まってきます。
夫と二人で少しお酒を飲みながら今日あったことを話し、そこに何となく子どもたちが集まってくる。
たとえその時間が短くとも、家族が何もせず「たわいもない会話」を楽しむ。
つまり、「隙間時間」とは?わざわざ作る時間でなく、何分以上作らないといけないものでもなく、何となくできた時間。
こういった時間を感じることが大切なのかなと思います。
もちろん「親御さんの隙間時間」=「自分の時間」も大切にしてくださいね。
ということで、先ずはこの「隙間時間」を感じることからはじめてみてはいかかでしょうか?
最後に、「自由」について一言だけ。
私もこの歳になって、最近ようやく気付いたのですが。
「自由」とは?
自分が不自由だと思っていたものが自由だったと気付くこと。
ということは、この世に何一つとして不自由なものはないということ。
「隙間時間」=「心のゆとり」とは、こういったことを気付かせてくれる、大切な「間」でもあるのですね。