True Blue  - 思い出に変わるとき - -2ページ目

True Blue  - 思い出に変わるとき -

ねえ、荒川さん。
思い出ってどんなふうに完成するか知ってる?
最初は鮮明で、声も憶えている。
だけど時がたつにつれて、どんな声だったのか記憶が定かでなくなる。
だんだん色が薄れてきて、セピア色になる。
最後に輪郭もおぼろげになり、思い出は完成するんだ・・・

それは10月最後の土曜日だった・・・

僕は理砂に電話した。


いつものように、自分のことを喋り捲るあの子を遮って・・・


"ねえ、理砂。あまりいい話じゃないけど聞いてくれる?"


"はい。何ですか?"


"あのね・・・"

"理砂は俺のこと見てないだろ?"


"・・・"


"あの夏の日、手紙に書いた内容を今伝えるね。"

"理砂・・・"

"2年後、理砂が店を辞めたとき、俺に会いたいと思ったら、そのとき、今度は理砂のほうから電話ちょうだい。"

"もう、店には行かない・・・"


"・・・"


"理砂、喉が痛くなったら、すぐにお医者さんに行って薬をもらうんだよ。"

"大丈夫ですから・・・。独りでやっていけますから・・・"

"元気でね。理砂・・・"


"・・・"

"大丈夫ですから・・・。独りでやっていけますから・・・"



ねえ、荒川さん


僕はもう理砂の店に行かない決心をしたんだ。

あなただったらきっと分かってくれるよね。



2ヶ月の月日が流れた・・・

そして2010年が来た・・・